継ぎ接ぎだらけのゴルトベルク変奏曲/Claudio Rocchetti - Goldberg Variations [Kohlhaas]
Artist: Claudio Rocchetti
Title: Goldbergs Variations
Label: Kohlhaas
Genre: Experimental, Collage
Format: LP
Release: 2017.12.08
https://www.discogs.com/ja/release/11330548-Claudio-Rocchetti-Goldberg-Variations
イタリア共和国の北部の都市トレントに拠点を置く、実験音楽レーベルKohlhaasより、前衛音楽家のClaudio Rocchettiの16枚目のアルバム。
タイトルにあるように、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのゴルトベルク変奏曲を再構築した楽曲群である。アルバムの楽曲の構成は、元ネタとなっているバッハのゴルトベルク変奏曲と同じで、アリアに始まり、アリアに終わる、全32曲となっている。
楽曲から抽出された断片を、時には継ぎ接ぎように接合し、時にはフィールドレコーディングの背景に潜ませたり、時にはクスッと笑えたり、時にはエフェクターで歪めたりと、1枚のアルバムを通して聞き飽きない工夫がなされていると同時に32曲もあるため、音の迷宮が構築されている。
バッハのゴルトベルク変奏曲は、曲そのものを知らない人でも名前くらいは聞いたことはあるだろう。1741年にクラヴィーア練習曲集の第4巻として発行され、現在に至るまで様々な音楽家たちに演奏されている楽曲群である。
実験音楽とは何なのか?
1950年代にジョン・ケージが定義した内容によると、不確定性もしくは偶発的な音楽のことを指すが、時間の経過と共に定義とは曖昧になり、当初の路線とは逸脱することが多いように思う。これを踏まえると、筆者は実験音楽は未知の探求をした音楽であるように思う。
ゴルトベルク変奏曲は先述の通り、既に世界的に知られている楽曲であり、またクラシック音楽における完成形であるように思う。これらの楽曲群に敢えて手を加えることで、未知の探求、すなわち好奇心とも言い換えることができるような様々なアプローチで、一度解体した楽曲を再構築して、遊び心を通して、ゴルトベルク変奏曲を全く別の角度から解釈しているようにも見える。こういったアプローチの合間に作曲家本人の素顔が見えるような気がする。