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熱帯雨林系疑似民族音楽の空想世界/Evan Crankshaw & The Dead Mauriacs - Expedition [Akuphone]

Artist: Evan Crankshaw & The Dead Mauriacs
Title: Expedition
Label: Akuphone
Genre: Collage
Format: CD
Release: 2021.12.04

https://www.discogs.com/ja/release/22775759-Evan-Crankshaw-The-Dead-Mauriacs-Expedition



2015年に設立され、1940年代から90年代における世界の珍しいポップスやフォークソングを中心にリリースしている、フランス共和国のパリに拠点を置くレーベルAkuphoneより、英国のDiscrepantのアートワーク担当のEvan Crankshawと実験音楽作家のThe Dead Mauriacsの両名によるコラボレーション作品。

「エキゾチック」を主題とし、熱帯雨林のようなフィールドレコーディングをベースに、楽曲中の随所に小ネタのようにラテン系の民族音楽・大衆音楽、電子ノイズ、ジャズ、スポークンワード、ピアノ、アンビエントサウンド、ラウンジミュージックなどが織り交ぜられており、空想的で奇妙でシュールで、徹底した世界観により1枚のアルバムとして非常に完成度の高いものとなっている。

どことなく仄暗い空気間の中に陽気な音楽が泡のように現れては消え、不規則的に電子ノイズが絡み合い、予測不能な展開が最初から最後まで続く。時折挟まれるナレーションの効果も相まって、想像の世界での映像を見せられているように感じる。熱帯雨林を彷彿とさせるフィールドレコーディングに挟まれる小ネタとしての楽曲は、密林の中を搔き分けて進んだ先に突如として謎の人工物や全く別種の生命体の文明が現れたかのようにも感じさせられる。原始的な密林と文明的な人工物はミスマッチであるが、何故かこの矛盾のようなものは矛盾ではなく、物語として明らかに成立している。

見たことも聞いたこともない、奇妙な世界に引きずり込まれたい方はぜひ。

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