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マフィアダブという、かつて聞いたことのないパワーワード/Répéter - Blue Perfidia [Tropiques Dangereux]
Artist: Répéter
Title: Blue Perfidia
Label: Tropiques Dangereux
Genre: Jazz, Dub
Format: Cassette
Release: 2022.08.19
オーストラリア連邦のグラーツを拠点に活動しているエキゾチカ作家Répéterによるムーディーなジャズ/マフィアダブなセルフリリースアルバム。元々は、ハウスやテクノのような四つ打ち界隈の活動経歴があるアーティスト。
マフィアダブとは何なのか?
答えは至って単純で、マフィア映画に使われていそうなダブミュージックである。サーフミュージックの影響の元、トレモロギターが印象的なエキゾチックなダブミュージックとでも言えばよいだろうか。ダブと言っても、レゲエダブのような煙たい音の飛ばし方ではなく、UKダブのようなパンクな飛ばし方である。マフィア映画と言っても、ゴッドファーザー、アンタッチャブル、ヒートなど数々の名作はあるが、アルバムの印象として個人的にはパルプフィクションのような(ピストルが暴発しがちな)コメディ寄りのイメージに近いと思う。ある意味では、スパイ・サスペンス映画などのクライムジャズと在り方としては似ているのかもしれない。
随所に効いてくるトレモロギターがお決まりの約束のようで、何とも言えないいなたい雰囲気とちょい悪っぽさを演出している。さらに、土着的な質感で跳ねるパーカッションや適度に気怠いベースは葉巻のような煙たさをより際立たせている。そこはかとなく胡散臭いというか、危険な雰囲気がぷんぷんと漂ってくるというか。そんな本作の白眉なところは、まさにこういった分かりやすさに他ならない。マフィア映画に似合うよね、と言える針の穴を通すような絶妙なラインで作品を仕上げるあたり、マフィア映画への愛着があるが故に成せる業か。
バスローブを着て葉巻を燻らせながらウィスキーを嗜みたい夜のお共に。部屋の照明は間接照明にてお願いします。