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00年代のProgressive Tranceを振り返る/Audioholics - External Key [Electronic Elements]

Artist: Audioholics
Title: External Key 
Label: Electronic Elements
Genre: Progressive House, Progressive Trance
Format: EP
Release: 2005

オランダ王国に拠点を置いていた、Perry O'Neil主催のProgressive House ~ Progressive TranceのレーベルElectronic Elementsより、David Westerlund & Özgür CanのユニットAudioholicsのEP。Electronic Elementsは 現在、Armin van Buuren主催のArmada Musicに吸収合併され、傘下レーベルArmada Electronic Elementsとして活動を継続しているが、リリースは完全にデジタル配信へ移行。ジャケットが電子回路の基板のようなデザインが印象的なレーベル。

00年代初頭より、90年代後半には衰退したDutch Tranceの後継として、BPMがHouseと同程度(BPM128前後)まで落ちた、いわゆる低速TranceであるProgressive Tranceが流行り始め、同時期にはMarkus Schulz主催のColdharbour Recordings(現:Black Hole Recordings傘下)などの新興勢力が活躍していた。Dutch、German、Hard、GoaなどTranceにも様々な派生のサブジャンルがあるが、それらよりも後の時期のTranceで、Houseに近いBPMからProgressive HouseともProgressive Tranceともどちらとも混同されていた。Progressiveという言葉自体はProgressive Rockからの由来で、他のジャンルの要素や展開を加えた長尺な楽曲を指すことが多いが、現在のProgressive Tranceでは長尺な楽曲が少なくその在り方には縛られていないように見受けられる。

A面はOriginal Mix、B面はレーベル主催者であるPerry O'NeilによるRemix。

A面はトランシーなウワモノシンセが美しく、緩やかにグルーヴィーに展開していく。一般的なTranceのような過激な展開や音づかいではなく、揺蕩う女性ボーカルが響き渡り、落ち着いた品のある陶酔感が印象的でヨーロッパスタイルなProgressive Trance。ユニットの片割れであるÖzgür Canは2007年にLost Laguageより発表したIronyのスマッシュヒットが最も有名であり、またキックの音の使い方が特徴的であるが、本作はそのクセのあるキックは控えめな印象。

B面はOriginal Mixが落ち着いた雰囲気であったためか、原曲を踏襲しつつ、ややテクノ寄せている印象があるが、ブレーク明けからのドラマチックなメロディーやブレークビーツが加わることでより派手で展開のある仕上がりになっている。また現在のシーンからすると9分23秒は非常に長尺ではあるが、聞き応えのある重厚な内容となっている。

00年代を代表とするProgressive Tranceに相応しく、またA面とB面では使い勝手が異なる良作。

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