直線的な光と規則的に点滅する光の中間/Emile Bojesen - Surface [Sound Aginst Humanity]
Artist: Emile Bojesen
Title: Surface
Label: Sound Against Humanity
Genre: Drone
Format: Cass
Release: 21st Jan 2021
イタリア共和国のトリノに拠点を置く、コンクレート・ミニマル・ドローンレーベルSound Against Humanityより、音響作家Emile Bojesenの2021年作。
最もミニマルな音楽は何かと問うたとき、持続音か単発音のどちらかになるだろう。どちらもタイプの異なる没入感があるが、前者はメロディック(?)という点で陶酔的であり、後者はリズミカル(?)という点で洗脳的である。本作は前者寄りではあるもののその中間に位置する。
天然素材の繊維を縒り合わせて創られた糸のように有機質ではなく、光ファイバーのように人工的かつ無機質であり、それでいてある程度の柔軟性を持つ、そんな直線のような音楽である。
ミニマルデザインされた直線の人工物をヘリカルスキャンするかのように360°ぐるっと見渡しているような気分になる。自然光のような肌で熱を感知する光ではなく、人工的で冷たく金属質な光沢色が魅力的で、規則正しい幾何学的な空間の中に閉じ込められたような錯覚さえ引き起こす。時間軸は流線形であり、構造の表面が規則的に色が変化(点滅)する光沢なのである。時間経過と共に気づかぬ内に緩やかに表層の色が変化し展開していく。終わりがあるのか無いのか、無限反射を繰り返す合わせ鏡の世界によく似ている。
音の奔流に一人静かに身を任せ、トリップするときに。