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公共交通経営者だから言える「地方公共交通が衰退するワケ」 03

【公共交通経営者だから言える「地方公共交通が衰退するワケ」】シリーズは今回の03で最終回となります。
01では「日本の地方公共交通が衰退していく理由は交通事業者・行政・地元住民すべてにある。」とお伝えしました。次に02では観光客目線で地域及び公共交通の問題点を分析し、私が実際に運営する定期航路がどの様な取り組みで黒字化を成し遂げたかをお伝えしました。

最終回の03では過疎化が進み、沿線人口が減少する中で全国の地方鉄道会社やバス会社が観光列車やオープントップバスなどを導入し、観光需要を早出することで路線の維持を目指していますが、実はこの様な取り組みは既にレッドオーシャン化しつつあることを取り上げます。そして公共交通の利用促進のためにはどのようなところまで取り組む必要があるかを当社が運航する定期航路「天草宝島ライン」と特急「A列車で行こう」の連携を事例に挙げご説明したいと思います。

観光列車の第一人者「JR九州」

全国の観光列車の先駆けであり、第一人者は間違いなく九州旅客鉄道株式会社(JR九州)だと言えます。「D&S(デザイン&ストーリー)列車」と名付けられた観光列車は運行する地域に基づくストーリーが考えられ、移動そのものが観光となる画期的なコンセプトが人気を呼び「九州=観光列車王国」と認識されるほどとなりました。
国鉄民営化後に本州三社(JR東日本、JR東海、JR西日本)」とそれ以外の三社、すなわち「三島会社(JR北海道、JR四国、JR九州)」は大きな差があり黒字化は難しいと言われた中で駅ビル事業やマンション事業など多角化を進め非鉄道事業が売り上げの50%以上を占める状況ではありますが2016年に本州三社以外で初めて上場を果たしました。
連結4,000億円を超える売上を誇る同社の中で微々たる収益にも関わらず、【D&S列車】のブランド力は大きく、同社の代名詞となっています。

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