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質問に答える:あなたを全肯定している、と伝える育児

質問:子どもと接するときに気にかけていることはありますか?

うるかの回答:
息子たちが1歳3歳だった年の1年間、「子育ち講座」という育児講座を受講していました。
その教えの一つ、「子が言ったことをそのまま真似で返す」ということを心がけています。

相手の言ったことをオウム返しするというのは、コミュニケーション手法の一つとしてよく知られています。
「ママ、アリがいるよ」
「うん、アリがいるね」
と、そっくりそのまま返すことで、「自分の言ったことを聞いてもらえた」「わかってもらえた」という満足感につながります。それが日々続くと、「自分の言うことは聞いてもらえるんだ」「わかってもらえるんだ」「その価値があるんだ」と自己肯定感につながるという考え方です。
この手法は子に限らず、大人相手でも同じ効果があります。

子育ち理論の提唱者である遠藤氏は、自分は世界に肯定されている存在だ、この世に生まれてきたことを祝福されている存在だと自分で思えるベースを作るために「子の言ったことを真似で返す」が有効だと確信していました。
そのため子に「なんで○○なの?」と尋ねられた場合もその理由を答える必要はなく、
「なんで○○なんだろうね?」
と返せば良い、という提案があり、私もそうしてきました。
遠藤氏は、母(または母親の役割を担う人)は共感する人、父(または父親の役割を担う人)は教える人、とも言っていて、その点も私が賛同し自分の育児に採用しているところとなります。

なぜ○○なのか、その理由を教えてくれる人は世の中にたくさんいます。父、祖父祖母、兄弟姉妹、学校の先生や地域の大人、少し大きくなれば本やインターネットで自分で調べることもできます。
けれど、なぜ?と不思議に思う気持ちに寄り添い、分かち合ってくれる人というのは多くありません。
息子たちの「なんでだろう」の気持ちに共感する。母親である私は、そういう存在でいようと思っています。疑問の答えを知っている場合でも、私は教える人ではない、と思って教えない場合がほとんどです。

さて、ここで「共感」について補足します。
子の言ったことを真似して返すとき、必ずしも自分は、その内容に共感している必要はありません。「あなたはそう思うんだね(私はそう思わないけど/本当は違うと知っているけど)」と思いながら真似で返せばよい、と教わりました。質問の答えを知っているのに答えを言わず「なんでだろうね」と返しているのは、そういうことです。
こちらが内心共感していなくても、真似で返された方は共感してもらえたと受け取るのが面白いところだなあと思います。

そうやって育ててきた息子たちですが、今や二人とも10歳を越え、話の内容は高度になり、長くなり、さすがに今は一言一句全てを真似で返すことはやっていません。
話の最後あたりのキーワードをつかまえて「○○なんだね、へえ」と目を見て相づちを打つだけです。それだけで、息子たちは満足げな顔をして去って行きます。
「ちゃんと聞いてもらえたぞ」と言わんばかりのその顔を見て、「私があなたを肯定している気持ち、ちゃんと伝わってるね」と私も満足できるのです。

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