【連載小説】「愛の歌を君に2」#11 ピアノ曲、完成
前回のお話:
31.<麗華>
ライブ日は奇しくも一年前に、サザンクロスを再結成すると宣言した祝日に決まった。それもこれも弟たちがうまく話を付けてくれたおかげ。本当に感謝の言葉しかない。
特別に球場内に入れてもらい、広さを体感する。ショータさんは観客席を見回しながら「これだけの人数、集められるかなぁ?」と不安を吐露したが、その隣であたしは自分が球場の真ん中に立って歌うイメージをする。ステージに立つ前にはいつもこうしてイメージトレーニングを行う。これまでは一人きりだったが、今回は三人。こんなに心強いことはない。
脳内のあたしたちは満面の笑みを浮かべている。全方位を埋め尽くすお客さんに見つめられ、一つになっているのを想像するだけでワクワクしてくる。
「大丈夫よ、ショータさん。今日は拓海たちが売り込みをしてくれてるんだもの。認知度が上がれば必ずここを満員に出来る。あたしはそう信じてる。……ショータさんが最終的に目指していたのもそのイメージでしょう?」
「……確かに、アリーナ級の会場でライブをするのが目標だと言ったのは自分ですが、わずか数ヶ月でその舞台に立つなんて。さすがに想定外です」
ショータさんの発言を聞いた弟が「ちっちっ」と指を振る。
「一点ビハインド。九回裏でツーアウト。塁に一人いる状況で打席には九番バッター。誰もがこのまま試合終了だと思うような場面で、そいつがホームランを打ってサヨナラ勝ち、みたいな奇跡が起こりうるから人生、面白いんじゃねえか」
「……音楽と野球を同列に扱わないで下さい」
「いやいや、おんなじだって。なぁ、孝太郎?」
「まぁ、そういう面白い試合があることは否定しないが、それは奇跡ではなくバッターの強い想いがホームランという結果を生むのだと僕は思う。だから、麗華さんがここを満員にすると強く願い、そのための行動を取れば実現するんじゃないかな」
いかにも元プロ野球選手らしい、それでいて実体験に基づいた発言にはさすがのショータさんも納得したようだ。頷いて話を続ける。
「集客のための作戦は動いているので今はおいておきましょう。会場を押さえても問題はまだあります。準備の人手が足りないことです。ライブの演出をするスタッフ――カメラマン、音響担当、ライティングなど――の目処はついているのですが、ステージの設営やチケットの販売、管理をする人員が圧倒的に足りない」
「それなら心配はいらないよ。俺らの方で人を集められる。無論、どんな手伝いをするかにもよるが、元野球部の男をかき集めりゃ、そこそこ役には立つはずだ」
「それって、高校時代の……?」
庸平は頷く。
「それだけじゃ足りないから、長年勤めた社会人野球部の元部員にも協力をお願いしてみるよ。……どういうわけか、レイカのファンだって言うやつが多くてさ。俺が弟だと知って会いたがる人も多かったから、サインでも書いてやれば喜んで手伝ってくれると思う」
「サインだけじゃ申し訳ないわ。もしその方々に協力を仰げるなら、あたしが自腹を切ってでもチケットを買ってお渡しするわ」
「おおっ、それなら絶対手伝ってくれるよ。何十人かは確保できるはず。近々、連絡とってみるよ」
「ありがとう、庸平」
「……まさか、姉さんの過去の偉業がこんな形で光るとは」
ショータさんはこの状況を面白がっているようだった。
「人員の目処が立ったところで早速ライブの構成についても話を進めたいんだけど、今回のライブでは新旧のファン、それぞれが満足するようなものにしたいと思っているの」
提案するとショータさんは意味ありげに笑いながら言う。
「智篤兄さんが言っていた、昔からのファンを大切にしながらも新しいファンを取り込む、と言うやつですね? それについては考えがあります。ちょっとリスクのある話ですが」
「今更、何を言われても驚かないわ。聞かせて」
「それではお耳を拝借」
ショータさんはほくそ笑み、耳打ちする。
「……レイカ時代の歌を歌って下さい。そうすればいま話に出てきたような、昔からのファンを喜ばせることが出来ます」
「昔の歌を歌う……。それがリスクになる、ってことはもしかして……」
脳裏に社長の顔が浮かんでは消えた。ショータさんは「ご想像の通りです」と言い置いて続ける。
「契約書を見たわけではありませんが、おそらくレイカの作った曲は今も事務所に帰属しているはず。それを、退所した姉さんが歌うとなれば向こうは当然、指摘してくるでしょう。歌ったのが本人であろうとも」
「……相手の出方が分かっているのに歌うの?」
「メジャーとインディーズの架け橋になりたいんでしょう? だったら危険な橋を渡る覚悟をしてもらわないと。生半可な氣持ちではリオンも取り戻せないと思っています。……出来ますか?」
彼は腕を組むと、あたしを試すようにじっと見つめた。
活動場所を制限されたとて、その範囲内でも細々と音楽をやることは可能だ。また、力のある者に従っていれば命まで取られることはないと、不自由を甘んじて受け容れる道もある。にもかかわらず反発するのはなぜか問われれば、理由は一つ。自分の人生は自分の足で歩きたいからだ。流されて生きたくはないからだ。
振り返ってみれば、大きな力に抱き込まれていたあたしは、与えられた仕事を淡々とこなすだけのロボットだった。事務所がデザインした「シンガーソングライター・レイカ」を演じ続けたし、CDアルバムに時折、神様のギフトである曲を収録することは出来たがその数は少なく、大半は販促用の曲。そこにあたしの意思はほとんどなかった。
再び仲間と一緒に活動する日々は昔を思い出せて楽しい。多分二人も同じ氣持ちなのだと思う。だが、残された人生で成し遂げたいことがあるならいつまでものんびりしているわけにはいかない。拓海がそうであったように、いつ病に倒れ、死に瀕するか分からないのだから。
「歌うのは簡単。だけどショータさんのことだから、歌ったあとのシナリオも考えてあるんでしょう? それを聞かせてほしいわ」
あたしは覚悟を胸に抱き、問い返した。
「もちろんです」
彼は嬉しそうにうなずき、話し始める。
「地方の球場とはいえ、一万人を収容できる施設を一日貸し切ってのライブです。告知もしているし、向こうが動かないはずはない。当然のことながら視察……いや、最悪の場合、邪魔をして来ることも考えられるでしょう。レイカ時代の歌を歌えば尚更です。しかし我々には心強い味方がいます。会場に集まった一万人のファンと、ウェブ上でライブを鑑賞する何万という視聴者の目がある中で彼らがどれだけ動けるでしょう? 仮に、ライブを中断するような事態になればファンは黙っていません」
「なるほど。こっちは数で勝負、って訳ね」
「ええ……。それでも権力を乱用してくる恐れはありますが、少なくともライブが失敗に終わることはないと思っています。ただし先ほども言ったように、ここをファンで一杯にするのが大前提ではありますが」
「埋め尽くしてみせるわ。そして必ずやあたしがメジャーとインディーズの架け橋になってリオンを振り向かせる」
「自信がおありなのですね? いいでしょう、ならばもう一つ。せっかく一日貸しきれるのですから、それを利用しない手はありません。自分は二部構成でいこうと考えているのですが、どうでしょう?」
「たとえば午前と午後に分けるってこと?」
「ええ。前半はサザンクロスメインで、後半はレイカとウイングメインにすれば、新旧どちらのファンも楽しめるライブになります。欲を言えば、曲のかぶりがない方がいいですね。そうすれば、通しでチケットを買ってくれるファンも出てくるでしょうし、前半と後半でお客さんが入れ替わる場合でも累計客数は何割か増すはずです」
「サザンクロスの曲はそんなに多くないけど……」
「だったら今からでも、何曲か足して下さい。未発表曲なら食いつきもいいでしょう」
「……無茶言うわねぇ。まぁ、いいわ。考えておきましょう」
経験上、ライブでなら、即興に近い曲を弾いてもお客さんは喜ぶ。日常を歌った曲の方がウケる場合もある。今回は三人でステージに立てるのだからトークで繋いだっていいし、拓海の手話を取り入れたっていい。
「昼と夜で、イメージを変えるのもいいわね。ああ、今から楽しみだわ」
ソロでのライブ前はいつも緊張していたが、今回は大規模会場にもかかわらずそれがない。それだけ二人が心の支えになっているのだろう。多分あたしはもう、一人には戻れない。
(どうか、たくさんの人にあたしたちの想いが届きますように……。)
32.<拓海>
ライブハウス前での生演奏と歌の披露に加え、喫茶「ワライバ」で俺たちの曲を流してもらう作戦が功を奏し、サザンクロスの存在を知らなかった層にも少しずつ浸透しているのを肌で感じるようになった。
意外な効果を上げているのが球場内に貼ったチラシ。永江くんの提案で、高校野球の観戦に訪れる人が目にする場所を占拠するようにポスターを貼ったら、チケットが飛ぶように売れ出した。この調子なら完売も夢ではない。ミュージシャンになって数十年。遂に大舞台に立てる日が近づいている。
◇◇◇
立秋を過ぎたというのに秋の氣配は微塵も感じられず、それどころか最高氣温を更新する日々が続いている。日が落ちても三十度を下回らないので、店の前での演奏は夜遅くなってから。人通りの多い時間帯を選んだほうが宣伝に向いているのは百も承知だが、こうも暑くては倒れてしまう。当日に最高のパフォーマンスができるよう、氣力と体力を温存しておくことも必要だ。
お氣に入りのフレーズを弾いていると、今日のライブを終えた旧知のバンドメンバーが裏口から出てきた。こちらを見るなり微笑み、手を挙げる。
「あ、姉さん。お先に失礼しまーす。お疲れさまー」
「お疲れさま。おやすみなさい」
「うわぁ、おやすみなさい、だってー! こりゃあよく眠れそうだー!」
麗華に挨拶されたバンド仲間は上機嫌で帰っていった。
――ここで歌い続けて半月。すっかり仲間に受け容れられたな。
メジャー出身である麗華はインディーズの人間と仲良くやれるか心配していたが、メジャーとインディーズの架け橋になりたいという想いを聞けば誰だって応援したくなる。加えて持ち前の美声を響かせれば大抵の男はイチコロだ。女の場合、麗華のさっぱりとした性格が好印象らしく、何人かの妹分が出来たようだ。
――さて、と。俺たちもそろそろ引き上げるか。
仲間の背中を見送った俺はギターを片付けようと立ち上がった。すると、仲間と入れ替わるように誰かがこちらへやってきた。
「……セナ? こんな時間にどうしたの?」
麗華が声をかけ、近寄る。
「どうしたも何も……。オーナーから聞いてないの?」
「いいえ、何も」
三人揃って首をかしげているとライブハウスの看板がライトオフした。時計を見ると普段の閉店時刻より早い。今日はもう店じまいのようだ。そのうちにバイト中のユージンが出てきて、表に出ている立て看板を片付け始める。
「お疲れさまです。……ああ、セナも来たのか。よし。それなら皆さんも入って下さい。もう準備は出来てますから」
「だから、いったい何が始まるんだよ?」
「何って……。オーナーがセナを呼びつけた時点で氣付きませんか? ピアノ曲が完成したに決まってるじゃないですか」
智篤の問いにユージンが答えた。
「立ち話をしてたら怒られます。早く中へ」
急いでギターをケースにしまい、店内に入る。ホールスタッフが店内の片付けにいそしむ姿を横目で見ながらステージに歩み寄る。
ステージ上のピアノの前にはすでにオーナーが座っていた。普段の厳つい顔からは想像も出来ない、優美な演奏姿に思わず息を呑む。オーナーは俺たちに氣がつくと演奏をやめた。
「よう、お前らも聴いてけ。終電を逃したらタクシーを手配してやる。今日は特別だ」
余程、機嫌がいいと見える。オーナーは笑顔のまま手招きし、セナをステージに上げた。
「隣に座れ」
「隣に……? 弾いているところを間近で見ろってこと?」
「いいや。私と一緒に弾くんだよ」
セナは目を丸くした。
「……連弾、ってことですか?」
「そうだ」
33.<智篤>
連弾、とは一台のピアノを二人で演奏するものだ。先日オーナーは「いい考えが浮かんだ」と言っていたが、まさか連弾とは思いもしなかった。
「楽譜だ。見ながらだったら弾けるだろう?」
譜面台のそれをオーナーが指し示し、セナが確認する。
「……多分。って言うか、何で連弾にしようと? 確かに子どものころは良くリオンと二人で弾いていたけど、そのことは誰にも話したことがないよ。もしかして、お兄ちゃんから聞いたとか?」
「何も聞いてはいない。ただ、二人が弾くイメージが浮かんだからそれ用に作曲してみただけだよ。とにかく一度、通しで弾いてみよう。絶対に氣に入るはずだ」
「はい。アタシは鍵盤の左側を担当すればいいですか?」
「ああ。セナのサポートで、目立ちたがり屋のリオンがちゃんと目立てるように作ってある。ペダルは、今日は私が担当しよう」
「分かりました。それじゃあ、お願いします」
セナの合図のすぐあとでオーナーが鍵盤の上に手を置き、弾き始める。
ジャズのような格好良さと、クラシックのような静かさと、ポップスのような明るさが、まるで壮大な物語のように流れていく。はじめは遠慮がちに弾いていたセナも、次第にオーナーと息が合ってきたのか音のずれが減り、最後の盛り上がるところでは完全に一体となった。
僕はピアノの世界を知らない。そんな僕でも二人の演奏が始まった瞬間から鳥肌が立ち、言葉では言い表せない感動を味わっている。
オーナーは無名のピアニストだが、プロより劣っているのかと言えばまったくそんなことはない。こうして素晴らしい曲を作ることができ、僕の心を震わせられるのだから。もしスポンサーがいるかどうかで奏者の良し悪しを判断する人がいるなら、今すぐやめろと僕は言いたい。ピアノに限らず、歌とギターの世界においても同様だ。
レイちゃんが、メジャーとインディーズの架け橋になると宣言しているように、オーナーもまたメジャーとインディーズの境界をなくそうとしているに違いなかった。でなければ僕らに期待を寄せ、曲まで提供してくれるはずがない。
二人が弾き終え、拍手を送る。ホールに残っていたスタッフからも大きな拍手が響く。
「まさか、無料でこんなに素晴らしいピアノ演奏が聴けるとは思ってなかったよ。感動した。ありがとう、オーナー、セナ」
正直な感想を伝えると、オーナーは満足そうにほほえみ、セナは恥ずかしそうに顔の前で手を振った。
「アタシは全然だよ……。感動したのはオーナーのテクニックが優れていたから。でも……」
セナは楽譜を手に取る。
「オーナー。もし良かったらこの曲を、サザンクロスのライブで一緒に弾いてくれませんか? アタシ、一万人の前で弾いても恥ずかしくないように一生懸命練習しますから」
「うん? その大舞台でリオンと弾くんじゃないのか?」
「今、一緒に弾いてみてメッチャ鳥肌が立ったんです。アタシ、大舞台でまずはオーナーと弾きたい。お兄ちゃんが言ってたけど、コンクールで何度も入賞した経験があるんでしょう? オーナーも久々に人前で格好いいとこ、見せましょうよ!」
「……まさかセナからラブコールを受けるとはな。お前らはどう思う? 私が弾いてしまったら、おいしいところを全部持って行ってしまうかもしれんが」
その可能性も否定できないくらい素晴らしい演奏ではあったが、それで慌てふためく僕らではない。
「仮にそうなったとしても、次の演奏でまた僕らがおいしいところを持って行くさ。空氣をがらりと変える曲ならいくらでもある」
僕の発言を受けて二人も頷いた。
「まぁ、お前らがいいというなら遠慮なく弾かせてもらおうか。……さて、リオンはどんな感想を持つかな」
「ねぇ、こういうのはどう? ライブは二部構成にすることに決まったから、まずは前半で二人の連弾を披露して、リオンとは後半で弾くの」
「アタシも同じことを考えた」
レイちゃんの提案にセナが同意する。
「今日のことはアタシからリオンに伝える。もちろん、興奮しながらね。そうすれば絶対にライブ中継を見るはずだし、こんなに素敵な曲が弾けると分かったら、自分の演奏で魅了してサザンクロスのライブをブラックボックスが乗っ取ってやろう! って言うと思うんだよね」
――それもありじゃねえか? 一応、俺たちのライブって銘打ってるけど、スペシャルゲストでブラックボックスが来てることにすりゃあ盛り上がるし、これまでの恩返しが共演って形でできるならこっちも嬉しいからな。
拓海の手話を通訳しながら頷く。
「前半でブラックボックスの出演を知ったファンが、後半の当日券を買い求めて会場に足を運ぶってことも考えられる。僕らにとってもメリットが大きい」
「え、嘘?! アタシ、冗談で言ったんだけど?! って言うか、本氣? 言っちゃ悪いけど、アタシたちの方が知名度、上だよ?」
「ギターの腕は僕らの方が上だ……と言いたいところだけど、前回の対バンの件があるからね。ここは互いに尊敬し合って、最高のライブを作り上げようじゃないか」
「ふっ……。智篤が和協するとは。ちょっとは大人になったな」
まるで親が子の成長を喜ぶような言い方だったが、支援者であるオーナーからすれば僕らは子どもみたいなもの。異議を唱える必要はなかった。
ここで拓海が咳払いをし、リーダーらしく音頭を取る。
――一旦、話をまとめるぜ。二部構成のライブのうち、前半戦でオーナーとセナの連弾とブラックボックスとの共演を挿入。そこでの反応を見て、後半戦ではブラックボックスの出番を増やすかどうかを決め、リオンが合流した場合は、最高の形で目立てるよう演出する……と。もし、異論がなければこの案をショータにも伝えておこうと思う。あいつなら更にいい案を出してくれるかもしれないからな。
僕が通訳するとオーナーが、
「ショータには私から伝えよう。ピアノ曲も聴かせたいしな」
と言った。
僕の腕時計がピッと鳴り、日付が変わったことを知らせた。都内から出るK市行きの最終列車は二十三時台。最終便を逃すと本当に帰る足がない。時計を見た僕はため息をついた。
「約束だ。こいつを使え」
オーナーは内ポケットから一枚の紙を取りだすと僕に手渡した。タクシー券だった。
礼を言い、店を出ようとしたところでセナがオーナーに言う。
「明日から毎日通います。お忙しいとは思うんですが、練習に付き合ってもらえませんか?」
「もちろんそのつもりだ。しかし、私の指導は厳しいぞ」
「構いません」
「よし。それなら、ライブまでみっちり指導してやるから今のバイトはすぐに辞めてうちに来い。店が開いてる時間はバーフロアのピアニストとしてピアノを弾き、閉店後からは私が指導すれば今よりずっとマシになるはずだ。本番ではリオンが嫉妬するくらい、二人で息のあった演奏をしよう」
「は、はい! ありがとうございます!」
「と言うわけだから、お前らも精進しろよ」
オーナーは、店をあとにする僕らの背中に向かって言葉を投げた。
――俺らも負けてらんねぇ。明日からは一日中、自宅のスタジオでみっちり練習しようぜ。オーナーをぎゃふんと言わせてやるんだ。
闘志に燃える拓海とがっちり握手を交わす。
「もちろんさ。何しろ、僕らが主役のライブなんだからね。おいしいところは持って行かせない。だろう、レイちゃん?」
「ええ。一万人を、この声で魅了してみせるわ」
「うっわ、三人ともやる気満々だぁ……。あのぉ、足手まといにはなりたくないんで、オレも練習に加えてもらってもいいですか……?」
「もちろん! 一緒にやろうぜ!」
「良かった……。それじゃ、また明日」
ユージンはホッとしたように言い、セナと一緒に帰っていった。
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