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【連載小説】第三部 #11「あっとほーむ ~幸せに続く道~」三人で、ゆっくり、親になる

前回のお話(#10)はこちら

前回のお話:

夏になり、めぐの二十一歳の誕生日を祝おうと計画していた矢先、悠斗は彼女から妊娠の報告を受けた。今度こそは無事に出産できるよう、彼は陰ながら胎児の成長を見守っている。
                *
そんな折り、永江が悠斗たちの提案通り市内に引っ越してきた。彼はたびたび鈴宮&野上家に顔を出すようになり、日ごと心を開いていく。そんな彼を見て悠斗は彼に『生きていてよかった』と言わせるのが自分の使命だと思うようになる。
                *
季節は巡り秋が訪れた。高校の同期会の知らせが届き、悠斗、彰博、映璃の三人は揃って出席することとなった。同級生とは三十数年ぶりの再会だったが、話題に上がるのは当時の恋愛話ばかり。とりわけ悠斗と彰博は、映璃を巡って争っていたことが学年中に知れていたため、会えば皆その話を持ち出した。
三人のその後をよく知らない同級生からみれば、悠斗は単に諦めの悪い男にしか見えなかった。彰博でさえ、悠斗が妻の肩を抱き寄せるのが気に入らず、いつかは本心を聞き出してやろうと思っていた。そこで彰博は、これを機に本音トークをしようと行きつけのバーに誘う。
悠斗は酒の力を借り、未だに映璃を想っていることを告げた。映璃も彰博も本音を口にした。三人はそれぞれの想いを知り、それでもなおこれからの人生を共に生きていこうと誓ったのだった。

※今回も長編ですが、ラストスパート回なので、最後までお付き合い下されば嬉しいです🥰

<めぐ>
十一

 最近、両親が妙に仲良しだ。今日も、二人してテーマパークにクリスマスデート中らしい。ママから送られてきたツーショット写真を悠くんに見せると、彼は酷く腹を立てた。

「くそっ……。ちょっと前までおれが映璃えりといい雰囲気だったのに。やっぱり同期会がきっかけなのか……」

「あー、それ、俺のせいかも。アキ兄から、妻への甘え方を教えてくれって言われてさ。仕草やら口調やらを伝授してあげたんだよ。その後からじゃないかな、あの二人が以前より仲良くなったのは」

「はぁ……? 何だよ、それ……。絶対、映璃のやつが何か言ったな? あいつが急にそんなことを言い出す訳がない」

 憤慨する悠くんに恐る恐る質問する。
「えーと……。一応確認なんだけど悠くんは、ママとは『友だち兼家族』……なんだよね?」

「もちろん。映璃だってそう言ってる。だけどな……。いい女ってのは、夫がいても、いくつになっても男を惹きつけるもんなんだよ。……言っとくけど、映璃とはあくまでもプラトニックな関係だから」

「……んー。何だか複雑な気持ちだけど、まだまだわたしの知らないオトナの世界があるってことなのかな」

「はぁ……。これだから恋に生きる男は困る。めぐちゃん、気をつけてよ? エリ姉に気があるようなことを言ってるけど、悠斗の本命は今でもめぐちゃんなんだから」

「分かってるじゃねえか。だったらおれにつけいる隙を与えないよう、お前が男を磨いておくんだな。そうすりゃおれが口説いても、めぐがなびくことはないだろうさ」

「けっ、言ってくれるぜ……。でもま、さすがの悠斗でも、これから生まれてくる赤ちゃんのことが気になってるうちは心配しなくていいだろう」

「まぁな」
 そう言うと、悠くんは私のお腹に手を置いた。
「女の子だってことは分かってるんだし、もう考えてあるんだろう? そろそろ名前を教えてくれよ。いいだろ?」

「ダメダメ、生まれてからのお楽しみ!」

「ケチケチすんなよ。意地悪だなぁ、めぐは」

 そう言いながらも悠くんは穏やかな表情をしている。彼は赤ちゃんの誕生を本当に楽しみにしているようだ。たぶん、わたしよりも熱心に予定日までのカウントダウンをしているんじゃないだろうか。。

 妊娠二十五週目。もうずいぶん大きくなって、日々胎動も感じている。毎回三人で赤ちゃんの様子を見に行くから、看護師さんたちの間で悠くんは「心配性のお父さん」だと思われているが、出産まではそれで通すことになっている。

 居心地がいいのか、赤ちゃんは逆子のまま動く気配がなく、担当の先生には帝王切開での出産になる可能性が高いと言われている。手術かぁ……って思うけど、出産日が決められるので、翼くんは「前もって休みを申請できるならむしろ有り難い」と言う。三月の園は忙しいみたいだけど、我が子との対面の方が大事だからと、何が何でも休みを取るそうだ。

 今ではわたしも悠くんも「あの子」のことは口にしない。前回の流産以後、悠くんでさえ一度も「会って」いないと言うし、話題にすればどうしても流産のことを思い出すからだ。

 悠くんは尚もお腹に向かって呼びかける。
「ちゃんと無事に出てこいよ。……って、手術になったら安全に出てこれるのか。早く会いたいな」

「……ったく。前回の時もそうだったけど、これじゃあどっちが父親か分かりゃしないぜ」

「今のうちからこのくらいの愛情を注いでおかないと新生児の世話なんて出来ないよ。他人の子だと思ったら、とてもじゃないが一晩だって一緒にはいられないだろうさ。とにかく全力で泣くからな、赤ちゃんってのは」

「泣く子どもに耐性はある方だけど、そんなに大変なの?」

「……まぁ、その時が来てみたら分かる」

 悠くんの話を聞いていたら段々心配になってきた。こんなとき、ママに相談できたらいいんだろうけど、ママは新生児のわたしを育てていないから体験談を聞くことが出来ない(養子のわたしがママたちと出会ったのは生後四ヶ月頃だと聞いている)。パパを産み育てた祖母も、新生児の頃の記憶はほとんど残っていないと言うし、身近な先輩ママであるクミさんに至っては「大丈夫、なんとかなる!」としか言わないから参考にならないのだ。

「わたし、ちゃんとお母さんになれるのかなぁ……?」

 無事に生まれて欲しいけど、このままお腹にいて欲しい気持ちもある。妊娠中のクミさんが鬱っぽくなってたのも今なら分かる。

「大丈夫さ」
 不安げなわたしを見て翼くんが言う。
「なんてったって、この子には父親が二人もいるんだぜ? それだけじゃない。ばあちゃんもいるし、近所には俺たちの両親も住んでる。今時、こんなに手助けしてくれる大人がいるなんて珍しいし、恵まれてると俺は思うよ。だからめぐちゃんは、なーんも心配しなくていいんだよ」

「……だね!」
 直前では、どっちが父親か分からないと言っていたのに、ちゃんと「二人の父親」と言い切るのが翼くんらしい。なんだかんだ言って、悠くんのことを「父親」だと認めているし、頼りにしているのだろう。

 そのとき、赤ちゃんがお腹の内側を蹴った。私も早く会いたいよって主張しているみたいだった。

◇◇◇

 年が明けてしばらくの後、産休に入った。ワライバに産休制度なんてないけれど、オーナーたちが、わたしのお腹がいよいよ大きくなってきたのを見て「出勤停止命令」を出したのだった。確かに、出産予定日まではひと月以上あるのに、自分でも驚くほどお腹が膨れ上がっている。祖母なんて「今日にも生まれそうね」と、このお腹をみるたびに言ってくるほどだ。

 さて、仕事が完全に休みになってしまうと案外手持ち無沙汰なことに気づく。赤ちゃんグッズは悠くんが先んじて用意してくれているから、あとは赤ちゃんの誕生を待つだけ、である。

 祖母がデイサービスに行っている平日は基本、家には悠くんと二人きり。互いにおしゃべりだから話題があれば長時間話すことも可能ではあるが、さすがに一日中は無理。かと言って、ごろごろしていられる性分でもない。あれこれ考えた末に思いついたのが「お手製弁当を幼稚園まで届ける」というものだった。

 これまでもお弁当は時々作ってあげていたが、わたしが仕事の日はどうしてもバタバタしがちで、前日の残り物や手軽に作れるおかずを詰めておしまい、という日も多かった。時間のある今なら少し手の込んだものが作れる。

 中途半端な時間にお弁当の支度をしていると悠くんに不思議がられた。わけを話すと、「園に行くんならバイクで送ろうか?」と提案された。しかし妊娠中、それも臨月を迎える頃のお腹で二人乗りはまず無理だろう。

「気持ちは嬉しいけど、電車で行くよ」

 自宅から園までは電車を利用しても二、三十分かかるが、妊娠中でも適度な運動は必要だ。それに、歩きながら今まで認知していなかったお店を見つけるのが最近の楽しみだったりする。とにかく、身体を動かしたかった。

「暇だし、おれもついてくよ」
 もちろん、病気ではないので付き添いは不要である。しかし悠くんが気遣ってくれているのも十分承知しているので、ここは彼の厚意を有り難く受け容れることにした。

 クリスマスにプレゼントしてもらった厚手のダウンコートと裏起毛のスラックス、それから発熱するタイプの靴下を穿いて出かける。正直、これだけ着込んで動いたら汗も出てくるのだが、ちょっとでも薄着をしていると怒られるので、この冬はこの格好で乗り切るしかない。

 電車で二駅。中心街にあるその駅からバスで十分ほど揺られたところに幼稚園はある。翼くんとはいわゆる、待ち合わせデートをしたことがないので、どこかで落ち合う時の気持ちってこういうものなんだろうな、と思いながらバスの車窓を眺める。

 お弁当はおいしく食べてもらえるかな?
 どんな顔で受け取ってくれるかな?
 明日も楽しみって言ってもらえたら嬉しいな……。

 妄想を膨らませていると、あっという間に降りる駅に着いてしまった。バスを降りて二、三分歩くとすぐに園が見えてくる。

 水曜日の園は昼で終わりだ。ちょうどお迎えの時間に当たったらしく、周辺は車や迎えに来た親御さんでごった返している。

「あ、めぐちゃん」
 悠くんを園外に待たせ、保護者に紛れて園庭をうろうろしていたら、翼くんから声を掛けられた。わたしは一瞬、ここが幼稚園だと言うことも忘れ、浮かれ気分で彼の元に駆け寄った。

「はい、例のお弁当。中身は開けてのお楽しみ」

「わぁ、ありがとう。……これだけのためにわざわざ来てもらっちゃって、やっぱり悪いなぁ。せっかくだし、一緒に食べる? 水曜の今日なら大丈夫だよ」

「あー……。実は、ここまで悠くんと一緒に来てるんだよね。お昼は外で食べる約束で」

「悠斗と一緒なの? ったく、どんだけ心配性なんだか……。まさか、バイクで?」

「ううん。電車」

「なら、安心だな」

 ――あの人もしかして、つばさっぴ先生の奥さん?
――今、お弁当渡してたよね? 健気けなげー!
 ――つばさっぴも、奥さんの前だとあんな顔するんだねぇ……。

 保護者なのか、先生たちなのか、あちらこちらからうわさ話が聞こえてきた。翼くんは園でも人気の男性教諭だから、わたしが来れば話題にされるのは覚悟してたけど、陰でこそこそ言われるのはあまりいい気分じゃない。居心地が悪くなって辺りをキョロキョロ見回す。

「あ、ママ……じゃない。映璃先生だ」

 見知った顔を見つけてほっとしたわたしは友だち感覚で手を振った。ママはわたしに気づくなり大股でやってきた。その顔は穏やかではない。

「つばさっぴは今、仕事中よ。用が済んだなら早めに帰りなさい」

 いきなり説教されて興ざめする。
「そんなに怖い顔をしなくても……。映璃先生はお仕事となると途端に厳しいんだから。まさか、子どもたちの前でも同じような顔で接してる……わけないよね?」

「言っておくけど、私の特技は相手によってつける仮面をさっと変えられるところよ」

「ふーん……」
 わたしは園の外で待っている悠くんの姿を探した。ちょうど、所在なさげな彼と目があったので、手招きしてこちらに呼ぶ。彼はニヤニヤしながらやってきた。

「えっ、悠……?! なんでここに……?」
 案の定、翼くんとの会話を聞き逃していたママは、悠くんがここに来ていることを知らなかった。酷く動揺し、「映璃先生」の仮面は一瞬にして外れた。

「よぉ。ここで会うのは久しぶりだな、映璃先生?」

 実は悠くんは五年ほど前に一度、臨時でサンタクロースの仕事を引き受けたことがある。呼びかけられたママはしかし、「映璃先生」の仮面をすぐに付けることができず、ただの「野上映璃」の顔でうつむいていた。

「何しに来たのよ……?」

「何って……。映璃の顔を見に来たんじゃないか」

「嘘。だったらどうして園の外にいたの?」

「迎えの親でごった返してたからな。タイミングを見計らってたんだよ。……ほら。今ならこうして一対一で話す余裕がある。見つめ合うことだって……」

 悠くんはママの顔をのぞき込もうとしたが、そっぽを向かれた。

揶揄からかうのはやめて……! 私を困らせるつもりなら、このまま園で一仕事していってもらうわよ、鈴宮先生」
 かろうじて先生の仮面を付け直したママが言った。

 悠くんは少し考えるような仕草を見せ、「それも悪くないが、今日はめぐとランチデートする約束なんだ。おれと一緒にいたいなら、勤務時間外かつ彰博の許可が取れたときにしてくれ。会いにきてくれりゃいつでも対応する」と言った。

「腹減ったな。帰るぞ、めぐ」
 悠くんは、反論は聞かないとでも言うかのようにわたしの手を取り、彼らに背を向けた。

「ま、待ちなさいよ、悠!」
 ママの声に、悠くんは振り返りもせず片手だけ上げて歩き続けた。

 バスで駅前まで戻り、以前から気になっていたスパイスカレーのお店に入った。少し待ったが、待ち時間に注文をしておいたので、席に着くとすぐに料理が提供された。

「いただきます!」

 お腹が空いていたので早速食べる。辛さは控えめにしてもらったが、お腹の赤ちゃんもびっくりして暴れ出すほど辛い。しかしこの辛さは癖になる。なるほど、人気の理由はここにありそうだ。

 店内には、園児服姿の子どもを連れた親子が二組ほどいた。この店はお子様カレーが充実しているようで、赤ちゃんと来店するお客さんもちらほら見えた。

「そういえば……」
 すでに半分ほどを平らげた悠くんが口を開く。
「さっき園に行ったとき、父親らしき人もそこそこいたな。お陰でおれがうろついててもあんまり目立たなかったぜ」

「わたしもそれ、思った! 夫婦で協力して子育てするのが定着してきたのかもね」

「ああ。めぐはいい選択をしたと思うよ。おれは翼のこと、尊敬してんだ。自分の子どもを育てるのでさえ大変なのに、あれだけの幼児の世話を何年もやってるんだからな。おれには出来ねえよ」

 スプーンを振りかざしながら話すのを見て、愛菜ちゃんと過ごした日々にはいいことばかりではなく、苦労も多かったのだろうと推察する。いよいよ赤ちゃんが生まれる段になって、乳幼児期の子育てが大変だったことを思い出し、またあの日々がやってくるから心の準備を……と自らに言い聞かせているのかもしれない。

「悠くんの子育てにも期待してるよ?」
 ちょっと意地悪く言うと、彼は困ったような顔をした。

「……一応、子育て経験者として役に立とうとは思ってるけど、あんまり期待しすぎるなよ? 愛菜とは五歳までしか一緒に暮らさなかった上に、おれは割とお気楽な父親だったからな」

「それ、分かる気がする。わたし、八歳から悠くんのことを見てきたけど、結構甘やかしてくれたもんね。あ、今でもそうか」

「……ま、厳しくすりゃあいいってもんでもない。むしろ、子どものことを理解するにはこっちも子ども目線で話さないと」

「つまり、悠くんは今でも童心を忘れてないってこと?」

「よくいえばそうなる。まぁ、悪く言えば幼稚ってことなんだけど」

 だから三十歳離れていても、私たちは友人としてうまくやってこれたのだなと改めて思う。しかし、そんなわたしも二十一歳。そしていよいよ母親になろうとしている。不安は尽きない。が、どんなに経験が乏しくても、赤ちゃんを産み落とした瞬間からその子の人生を背負わなければならない。現実を直視できる大人にならなければならない。それは、父親になりたいと言った悠くんだって同じはずだ……。

 昼食を終えて帰宅し、夕方まではのんびり過ごした。悠くんが仕事に出かけたあとからは、入れ違うように外に出ていた翼くんと祖母が帰ってくる。今日先に戻ったのは翼くんだ。

「ただいまー。めぐちゃん、お弁当マジ最高だったよ。明日もよろしくー」
 彼はそう言って空の弁当箱をわたしに預けた。

「ほんと? よかったぁ。届けた甲斐があったよー」

「あー、そのことなんだけどさー」
 翼くんは珍しく愚痴をこぼし始める。
「あの後、俺がエリ姉に怒られたんだけど! 勘弁して欲しいよなぁ。だいたい、エリ姉自身が悠斗に気があるそぶりを見せるから揶揄われるんだよ。自業自得だっつーの」

「あはは。とばっちりを食っちゃったんだ? じゃあ明日のお弁当は届けずに、朝作ったものを翼くんが自分で持ってく?」

「いや、俺はどっちでも構わないよ。めぐちゃんの好きにしてくれればそれで。むしろ、エリ姉のあんな顔が見られるなら、悠斗と一緒に毎日来てくれてもいいくらい」

「そうなの? でも、毎日行ったら次はわたしが怒られそう。それに、陰で『つばさっぴの奥さんって……』みたいな話されてるのも気になったし」

「勝手に言わせとけばいいじゃん。みんな、嫉妬してるだけさ。気にするだけ時間の無駄」

「わぉ! 翼くん、言うねぇ! 格好いい!」

「だろ? ……さあて、晩ご飯の支度しなきゃ」
 翼くんは手洗いを済ませると、エプロンを身につけて台所に立った。

 それからしばらくして、パパと一緒に祖母が帰ってきた。
「おばあちゃん、おかえりー! パパ、お迎えお疲れさま」

「やー、ホントに疲れた……。今日はいつも通りの時間に送迎バスが来ないからずいぶん待たされて参ったよ……」

「どうりで遅いと思ったら……。それは大変だったね。少し休んでいきなよ」

「ありがとう。お言葉に甘えて、そうさせてもらおうかな」

 パパは祖母を定位置に座らせると、自身も畳に腰を下ろした。
「あ、そうだ! パパ、久しぶりに肩たたきしてあげるよ。その代わり、話を聞いてくれる?」

 私は勝手にパパの肩を叩きながら今日、園で起きたことを話して聞かせた。最初はうんうんと頷いていたパパだったが、次第にうなり声を上げはじめた。

「なるほど。そういうことなら再度、説得しなきゃいけないね。……まったく、懲りない男だ」

「ねぇ、パパ? 聞きづらい内容ではあるけれど、パパは悠くんが今でもママを好きでいることについてどう思ってるの?」

「そりゃあいい気分はしないさ。だけどそれについては三人で話し合ったし、結論はとうに出ているから心配はしていないよ。ただ、悠にはもうちょっと大人になってもらわないと」

「だよねぇ……」

「ほらほら、夕食が出来上がったよー。アキ兄も食べてく?」
 話し込んでいる間に料理が完成し、食卓に並び始める。今日の晩ご飯は筑前煮だ。

「ごめんごめん、わたしも作るつもりだったのに。配膳を手伝うよ」
 テーブルに両手をついて重たい身体を支え、立ち上がる。そのとき、インターフォンが鳴った。一瞬、悠くんかと思ったが、彼なら自分で鍵を開けて入ってくるはずだ。カメラと通話をオンにする。

「はい……」
 
『悠を出して。話があるの』
 モニターに映っていたのはママだった。一気にテンションが下がる。

「……悠くんなら、まだ仕事から帰ってないけど」

『じゃあ、帰ってくるまで待たせてもらうわ』

「えー?」
 面倒なことになった。やりとりを聞いていた翼くんも同じことを思ったようだ。

「きっと昼間のこと、まだ怒ってるんだよ。俺に言ったんじゃ埒があかないから、直接文句を言いに来たに違いない。……悠斗ならもうすぐ帰るだろ。任せときゃいいさ」

「うん……」

 こちら側でやりとりしていると、モニターの向こうのママが思い出したように言う。
『そう言えば、パパとは合流した? おばあちゃんのお迎えに行ってるはずなんだけど』

「……もう帰ったって言って」

 わたしが返事をするより早くパパが小声で耳打ちした。パパの言葉をそのまま伝えると、ママは『道中では会わなかったけど、寄り道してるのかな……』と言いながら通りに目をやった。

『あ、帰ってきた』

 折しもそんなタイミングで悠くんが帰宅した。一体どんな会話が成されるのだろうか。わたしと翼くん、そしてパパは玄関ドアに近づき、こっそり盗み聞きすることにした。

 バイクから降りた悠くんはママの姿をみても驚くどころか、はじめから約束していたかのように手を挙げた。

「映璃か。早速会いにきてくれたってわけ?」

「そうよ。こっちから出向けば対応してくれるんでしょう?」

「もちろん。……だけどその様子じゃ、これからデートに行こうって感じじゃないな? 文句があるなら受け付けるが、外は寒い。とりあえず中に入ろう」

「玄関を入ってすぐのところで充分よ」

「了解」

 二人が入って来そうだったので、慌てて居間に引っ込む。そして今度はふすまの隙間から二人の様子を窺う。ピリピリとした空気の中、二人の会話が始まる。

「……ああいう嘘を平気で言うなんて。見損なったわ」

「おっと、いきなりそう来たか。……嘘はついてない。めぐが翼に弁当を届けるって言うから付き添った。そこに映璃がいるなら会って行こうってだけの話じゃねえか」

「なら、もうちょっとマシな声かけは出来なかったの? こっちは仕事中だって言うのに!」

「おれがああいう発言をするのは知ってるだろう? 今に始まったことじゃない。それを咎められても困るな。……狼狽うろたえる映璃も可愛かったけど?」

「そういうのはもうおしまいにしてっ!」
 突然、ママが大声を出した。
「いい加減、私とめぐの間を行ったり来たりするのはやめなさい!」

「…………」
 悠くんはうつむいた。ママはまるで子どもを叱るように指を振りかざして責め立てる。

「確かに、好きでいてくれて嬉しいとは言った。だけど、私にもめぐにも夫がいるの。いつでも悠のお遊びに付き合えるわけじゃないの。……言ってる意味、分かる?」

「…………」

「分からないならちゃんと教えてあげる。……悠はもう一度父親になるんでしょう? めぐと翼くんの子どもを彼らと一緒に育てるつもりなんでしょう? だったらもう、女をもてあそぶようなことはやめなさい。真面目に、小さな命に意識を集中しなさい」

「おれは別に弄んでるつもりは……」

「じゃあこう言えば分かる? ……もう無責任な行動は慎みなさいって言ってるの。悠は長い間、独身で通してきた。それはとても楽な生き方だと思うし、悠には合ってるとも思うよ。だけど、子どもの世話をすると決めたらそうはいかないわ。女にうつつを抜かしている暇なんて一秒もない。目の前で泣き叫ぶ赤ちゃんの世話を最優先しなきゃいけなくなるの」

「分かってるよ、そのくらい。おれだって心の準備はしてるつもりだ」

「そう……。なら当分の間、私の前に顔を出しても口説くような発言や行動はしないと誓って」

「当分の間ってどのくらいだよ?」

「めぐたちの子どもがそこそこ大きくなった頃かな? もっとも、その頃には私もおばあちゃんが板についてて口説こうなどとは思えなくなってるでしょうけど」

「……今日はつめてえなぁ。三人で飲んだときとは大違いだぜ」

「酔ってる時としらふの時とを一緒にする方が間違ってる!」

「正論で返すなよ……。何も言えねえじゃねえか……」

 昼は悠くんが優勢だったが、今は完全に立場が逆転している。ママでもあんなふうにすごむんだと知って驚きを隠せない。隣でみている翼くんでさえ「過去最高に怖いエリ姉をみた」と恐れおののいている。パパだけは二人の様子を静観している。

 二人の会話は続く。
「……それは彰博の入れ知恵か? それとも映璃自身の考え?」

「多少はアキの思いも込めたわ。だけどほぼ、私の考えと言っていい」

「……多少なりともあいつの考えを含んだ発言だと思うとうんざりするな……。やっぱりおれは一生あいつには勝てないのか……」

「アキを上回りたいと思うなら、十年でも二十年でも父親をやってみることね。……アキも私も子どもから……めぐから様々なことを学んだわ。悠だって、短かったとしても子育てから学んだことはあるでしょう?」

「まあな……」

「今からでも遅くはないわ。悠自身がやる気に満ちあふれているんだもの。子育てを通じて悠はきっと変われる。今よりもっと魅力的な人になれる。私はそう信じてる」

「可能性を信じてくれるのは有り難いことだ。じゃあ、もしおれが今よりイイ男になった暁には……ランチデートくらいはしてくれるか?」

「そうね、ランチくらいなら。……アキも一緒に行くっていうでしょうけど」

「……それ、デートって言えるか? まぁ、いっか。……あいつのことだ、どうせこの話もそこら辺で聞いてるんだろ?」

「まさか。アキなら家に帰って……」
 ママがそこまで言うとパパは襖を開けた。

「……なんでここにいるのよ? 帰ったんじゃなかったの?」

「言ったはずだよ。悠と会うときは、か・な・ら・ず同席する、と」

「んもう……! じゃあ、私たちの会話は全部聞いてたってこと?」

「そういうことになるね」

「信じられない!」

「仕方がないじゃないか。めぐから昼間の出来事を聞かされた以上、悠には忠告しておかなければと思ってたところなんだから。でも、僕が言いたかったことは全部君が言ってくれた。補足することはほとんどないよ」

「……ったく、二人してよぉ。電車で園まで行き、ちょっぴり映璃をからかって、めぐとランチして帰った。それだけのことじゃねえか」
 悠くんが言い訳じみたことを言うと、パパは彼の前にすっと歩み寄った。

「めぐの父親として、また祖父になる者として、娘のお腹から生まれてくる赤ん坊の養育を任せる男には覚悟を決めてもらいたいんだよ。中途半端な気持ちでは、同じ失敗を繰り返すだけだからね」

「…………」

「君は翼くんを見習うべきだ。彼は一途に妻を愛し、めぐの気持ちを確かめた上で子をもうけた。これこそがエリーの言った『責任ある行動』ってやつだ。ところが悠はどう? 現実を見つめるのは赤ん坊が生まれてからだ、と言われればその通りだけれど、少なくとも女性陣は君の行動に不安や不満を感じている。僕自身もそうだ。様々な人生経験を積んできた今の君が、若い頃と同じように、その場の気分で恋愛と子育てのいいとこ取りをするのだとしたらあまりにも『無責任』じゃない?」

「くっ……」

「エリーが言ったように、もう一人の父親になるつもりがあるなら今ここで宣言して欲しい。エリーやめぐに向けていた愛情を赤ん坊に向けると。それが出来ないというのであれば、君自身が赤ん坊だと言わざるを得ない」

「言ってくれるじゃねえか……。そんなにおれは信用ならない男かよ?」
 二人はにらみ合った。

「違う。信じているからこそ言うんだ」
 パパは悠くんの両肩に手を置いた。

「……五年前、君に頼んだことを覚えてる? 僕は君に、めぐと結婚して欲しいと頼んだんだ。そうすれば本当の家族になれるから、って」

「ああ。だけどあれはお前の偽善だった。それも含めて覚えているよ」

「……あのときの僕が、優越感を得たいという個人的な理由から結婚話を提案したのは確かだ。でも今は違う。僕はね、君がめぐの子のもう一人の父親、、、、、、、になりたいと言うのを聞いて心の底から喜んでるんだよ。これでいよいよライバルを卒業できる。真の意味で家族になれると思ったら嬉しくて仕方がないんだよ」

「え……」

「繊細でやんちゃで自由奔放で放っておけない。君は……同い年ではあるけれど、僕とエリーにとっては息子みたいな存在なんだ。だから今度のことを機に僕は君の義父ちちおやになるつもりでいる。しっかりして欲しいと頼んでいるのはそういう理由からだよ」

「…………」

「どうだろう? 何か不満があるかな?」

「えーと……。わりぃ、混乱してる……」
 悠くんはうつむいたり頭を掻いたりと、落ち着かない様子だった。

「……そうだね。少し一度に話しすぎたかもしれない。赤ん坊が生まれるまでまだ時間がありそうだから、何日か真剣に考えてみて欲しい」

「…………」
 悠くんは押し黙った。重たい空気が場を支配する。

彰博あきひろ? まだ話は済まないの? 晩ご飯が冷めちゃうわ。とりあえず食事にしましょうよ」

 背後から祖母の声がした。料理が出来上がったタイミングでママが訪ねてきて長い話が始まったことを思い出す。

「せっかくだから二人も食べて行きなよ。普段から多めに作ってるし、足りなきゃあり合わせの材料でもう一品、適当に作るから」
 翼くんはそう言って、ママとパパの背中を押した。

「……実はさっきから早く食事にありつきたいと思ってたんだ。目の前に料理が出てきた直後、お預けを食ってたようなもんだからね。エリー、ここは翼くんの厚意に甘えよう」

 パパはさっさと食卓に着いた。それに習ってママたちも居間に向かう。わたしは翼くんと一緒に配膳をし、ようやっと席に着いた。

「お待たせしました。いただきます!」

 手を合わせ、料理に箸をのばす。筑前煮はもう熱々ではなかったが時間が経った分、味がしみていた。

「んー! おいしい! やっぱ翼くんの料理はサイコーだよねー!」
 なんとか場の空気を変えようと努めて笑顔で食事をしてみるものの、悠くんは相変わらず黙したまま茶碗の中に目を落としている。わたしはふっと息を吐いた。

「……パパとママの言ったこと、気にしすぎなくてもいいと思うよ。わたしは別に、これまで通りの悠くんでも……」

「めぐ」

「……はい」

「あとでおれの部屋に来てくれないか。二人だけで話がしたい」
 特別な話がある、と直感した。わたしはひとこと「……わかった」とだけ答えた。

「翼、ほんの少しだけ……一時間だけめぐを貸してくれ」

「オーケー。だけど、異変を感じたらすぐ部屋に飛び込むからそのつもりで」
 悠くんは黙ったまま小さく頷いた。

 食事を終えて一息ついたあと、わたしはちょっとドキドキしながら悠くんの部屋を訪れた。

 四畳半の小さな部屋。しきっぱなしの布団と出しっぱなしの衣類のせいでさらに狭く見える。わたしがやってきたのが分かると、彼は「ちょっと待ってろ」と言って布団をたたみ、空いたスペースに座布団を二つ出した。

「……まぁ、座れよ」
 悠くんは先に座布団に腰を下ろした。その隣にわたしも座る。と、いきなり抱きしめられた。戸惑いを口にする間もなく、彼は話し始める。

「めぐのことが好きだからこそ翼と幸せになって欲しいと願い、結婚を後押しした。そして、二人の子どもをこの腕で抱きたいと懇願した結果、いよいよその時がやって来ようとしている……。すべてはおれが望んだことだ。だけど翼や映璃の言ったとおり、おれはまだめぐと恋愛したいらしい」

「悠くん……」

「めぐは優しいから、今のまま赤子の世話をしてくれればいいと思ってくれてるんだろう。だけど、それじゃダメなんだってさ……。それじゃあ覚悟が足りないんだと」

「…………」

「だけどもう、これっきりにしなきゃいけない。おれを信じてくれる家族のためにも……。だから最後に……」

 その唇が頬を伝い、わたしの唇に重なった。何度も何度も求められる。わたしは拒まなかった。なのに悠くんは戸惑いの眼差しを向けた。

「……こんなふうにしか接することの出来ないおれを叱ってくれよ。大嫌いだと突き飛ばしてくれよ。そうでもされなきゃ、おれはめぐを嫌いになれない。赤子の父親として堂々とすることも出来ない……」

「嫌いになれるわけないじゃん……。わたしだって悠くんのことは今でも好きなのに……」

「それじゃあダメなんだっ……!」

 まるで自分に怒っているみたいだった。悠くんは「わりぃ……」と言って続ける。

「映璃の方はあっちから拒んでくれたし、彰博がちゃんとしてるから諦めもつく。でもめぐは、おれがこんなことを言ってもなお好きだと言ってくれるだろ? 翼もそこまでキツく言わないし。 ……おれは意志が弱いから、自分の力だけじゃめぐを遠ざけられないんだよ。甘やかされたら甘やかされただけ依存しちまう。だからめぐの方から、こんなおれを突き放してほしいんだよ……」

「悠くん……!」
 わたしは彼の手を取り、その目をじっと見つめた。


「弱い自分から目を逸らしちゃだめ! そんなことをしたら悠くんじゃなくなっちゃうよ!」

「えっ……」

「……意志が弱かったり、依存しないと生きられなかったりするのは悠くんの特徴だとわたしは思う。だから、それをなくそうとしたり見なかったことにしたら、本来の悠くんが台無しになっちゃうよ。……いいんだよ、そのままで。パパやママに言われたから何よ。そんなの、言わせておけばいいじゃん!」

『それ、俺の台詞!』

 会話に割り込むように、戸の向こうから声がした。翼くんだった。彼は「入るよ」と言って狭い部屋に足を踏み入れる。

「……立ち聞きとは、趣味が悪いな」

「妻を貸してくれって言われて、黙って一時間も自室にこもっていられるかよ」
 翼くんは立ったまま腕を組む。

「確かに俺たちはあんたを甘やかしすぎてるかもしれない。だけど残念ながら俺たちは、アキ兄たちと違って何年経っても三人で一人前なんだよ。だから悠斗の弱さは俺たちが補うし、俺やめぐちゃんの至らなさは悠斗が補ってくれればそれでいいんだよ」

 その言葉にハッとする。そうか。親になることに不安を感じていたけれど、わたしたちはそもそも未熟者。いきなり完璧を目指すことはないのだ。そう思ったら急に楽になった。

「悠くん」
 わたしは再び彼の名を呼び、今度はしっかりとその手を握った。
「三人で新米パパ、ママになろう? それでいいじゃん。ね?」

「そうだよ。アキ兄やエリ姉は自分たちが親歴二十年だからあんなことを言うけど、こちとらこれから入学して一年生になるところなんだ。知らなくて当然。出来なくて当たり前。だからこそ頑張ろうって気にもなってるし、失敗しながら学んでいくしかないんだよ」

「おまえら……」

「前に別の形で言ったけど、我が家には我が家のルールや考え方がある。たとえ身内であっても俺たちのやり方に文句は言わせない。……もちろん、何かあったときは自分たちでなんとかしなきゃいけないんだけど、それも承知の上だ」

「うんうん。これまでだって三人でなんとかしてきたんだもん。この先もきっと大丈夫だよ!」

「……本当にそれでいいのか? 正直おれは自信がない……」
 これだけ励ましても彼の元気はなかなか戻ってこなかった。よほどママやパパに言われたのがこたえているのだろう。

 わたしが翼くんを見上げると彼は隣に腰を下ろし、わたしの大きなお腹に手をやった。赤ちゃんが動く。まるで赤ちゃんも悠くんを励まそうとしているかのようだ。

「……ねぇ、教えちゃおうか、そろそろ」
「教えるって……名前を?」
「うん」
「……そうだな。悠斗にやる気を出してもらうにはそれしかないかもな」

 私たちはうなずき合い、悠くんを正視した。
「本当は生まれてから言うつもりだったけど、前倒しだ」

「……で、名前は?」
 恐る恐る問うた彼に告げる。

「まな」

 悠くんは目を見開いた。
「……今、なんて?」

「まな。それがこの子につける名前だよ」

「待て待て。だってお前らの子どもだろうが。たとえ生まれ変わるのだとしても、おれの死んだ娘と同じ名前をつけるなんて……」

 戸惑う悠くんに翼くんが説明する。
「もちろん、はじめはそのつもりはなかったよ。だけど、前回の流産を経験して考えが変わったんだ。……悠斗の命を救ってくれた恩人の名を我が子につけようってな」

「本気……なのか……?」

「本気も本気さ。ただし、めぐちゃんに合わせて表記は平仮名にしようと思ってる。野上まな。いい名前だろ?」

「…………」

「流産のあとで悠くんが言ってたでしょう? もう一度、愛菜ちゃんと会うんだって。その願いをどうしても叶えてあげたいっていうのもあってね」

「…………!」

 悠くんは目に手を当て、天井を仰いだ。喜ばせるどころか、泣かせてしまったことにわたし自身ショックを受ける。しかし翼くんは、「大丈夫」と呟いてわたしの手を握った。

「馬鹿だよ、お前らは……」
 しばらくして、悠くんは天を仰いだまま呟いた。

「ああ、そうだ。俺たちは悠斗と同じで馬鹿なんだ。だから一緒に家族やってんだ」

「そうそう! わたしね、思うんだ。この子は絶対に愛菜ちゃんの生まれ変わりだって。そう思ったら、やる気になってこない?」

「……そうだな。俄然がぜん、やる気になるな」
 悠くんは翼くんと一緒にわたしのお腹に手を置いた。

「……まな。お父さんは待ってるよ。今度こそこの世で一緒に暮らそうな」
 その言葉に反応するようにお腹がぐるぐるっと動いた。もうすぐ会える。赤ちゃんもその日を待ちわびているように思えた。



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いろうた@「今、ここを生きる」を描く小説家
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