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すみません。わたしはおしゃれな感性を持ち合わせている人間ではありませんでした


いわゆる「文化的な人間(≒オタク)」には2種類いると思う。

おしゃれか、そうじゃないかだ。

簡潔に言いすぎたのでもうちょっと補足すると、その「推し」を好きなことでその人の株が上がればおしゃれな文化人だし、そうじゃなきゃただのオタク認定だ。

「好きなモン好きに推させろ」

ほんっとーにその純粋な気持ちだけでオタクやれる人は、これ以上読まないでください。

オタクのほとんどはマイノリティという、選ばれた存在でありたいという個性こじらしたみたいな承認欲求からきていると思っているので、オタクも何年かやってると「こういうの好きって言ってるヤツダサいな」と自分や周りを客観視するようになる。

”知る人ぞ知る”みたいな通っぽい、おしゃれな雰囲気のものを好きと言いたくなる。
でもよく考えたら本当にいいものはメジャーに売れていくと思うので、”知る人ぞ知る”はメジャーになれない理由がなんかあんだよ。

とは思いつつも、サブカル強いとなんか「知性」と「独自の感性」が担保された気がしてかっこいいじゃん?
しかも文学部だし?
サブカルくそ女界隈の大卒級は流石に目指したいところあるじゃん?

ラジオなんて朝飯前、アングラ演劇黒テントの映像追い求めようや、
邦ロックなんてダセェわ、時代はネオソウルやろと。
YMOなんて、細野晴臣なんて、星野源が流行らせちゃったから、
大瀧詠一がサブスク解禁しただぁ?
カミュはペストじゃねえんだよ、異邦人の方が〇〇が〇〇でな、、、、、

ついに誰とも話も感性も合わなくなってきて、自分は何が好きなのかわからなくなってきた頃。


自分は一体何を目指している?

自分の感情はどこに行った?

モノも人も、わたしは何が好き?





諦めきれないあなたへの気持ちは、ただの執着?






今期、たまたま考古学特論の授業をとった。

せっかく身内に考古学ジジイがいるのに、考古学の名門であるうちの大学の文学部にいながら一回も授業取らないっていうのも「なんか勿体無いな〜」なんて。そんな気軽な気持ちで受けた。

6人しか受講人数がいないし、内容的は貝塚の調査史で。

先生「あ!日文専攻?
ごめんね〜特論だから考古学専攻してないとマニアックすぎてわかんないよね〜」




・・・・・・・・。

いや〜〜〜〜〜〜、9割理解できちゃったなァアアアア!!!!!
貝塚の話だからあんま関係ねぇけど、堀之内Ⅰ式とⅡ式の土器の見分け方なんとなくわかんだよなァアアアア!!!!!
だってじーちゃんとしょっちゅうそういうレスバしとったもんなァアアアア!!!!!
逆に日文の特論よりもわかっちゃったよなァアアアア!!!!!(オイ)



幼き頃のノスタルジーの電撃が身体中に走って、そして悟った。




あー、わたしおしゃれな方の文化人じゃねぇわ。




村上春樹なんぞ一冊も読んだことないけど、縄文土器見て大体の時代判別できるし発掘調査の図面見て規模感測れるし。
今の時代ヒップホップ踊れたらモテるけど、クラシックバレエがっつりやってしもうて逆に全然踊れないし。
みんながRADWIMPSとかバックナンバーとか聞いてた時に、わたしはアニメのキャラソン全員分覚えてたし。
今の深夜ラジオブームの波に乗ったのは最近で。本当はじめーっと文化放送聞いてて、チェリベの最終回聞いてトラウマ級のショック受けて鈴村さんと櫻井さんちょっと苦手になって、ワンモ聞けねぇわ夏油はゾクッとするわ・・・。
小野坂昌也に抱かれることを妄想しながらおしゃ5課金しまくってケーズステーションの行く末を見届けたなぁとか、塾の飲食ルームで配信見ながら受験勉強したなぁとか、ちきこにカレー送ったなぁとか、金色マン元気かなぁとか。
超A&Gの画質に見慣れてたから、ニッポン放送のミクチャにビビり散らかした話とか。


あーーーー、「わたし」とわたしの「好き」はここに落ちてた。


そして決定打。
ときめき♡宣伝部の「すきっ!」を聞いて、すべての糸が繋がった。

わたしの「すき」、愛の本質はこういうものだ。


誰にどんな風に聞かれても、
これこそがわたしがあなたに向ける感情そのものの正体です。



もう一度言います。

すみません。わたしはおしゃれな感性を持ち合わせている人間ではありませんでした。


わたしはあなたが好きな、ひねくれスパイスがいい感じに効いている、
『嘘を愛する女』の長澤まさみのように、好きな男が意識不明になったからといって仕事ほっぽって探偵ごっこする女ではないし、
『伊藤くんAtoE』の木村文乃のように自分の気持ちをこじらせて、よその女の子を実験台にして脚本を書くなんて図太いことはできないし、
『How to talk to Girl at Parties』のエルファニングのようなイかれた美少女宇宙人でもないし、
『この世界のサイテーな終わり』の女の子みたいに、気になってる男の子を殺人犯にはしたくない。


自分のイデオロギーを突き通すために周囲を混乱させることに耐えられる、
そういうかっこいい人じゃなくてごめんね。


「あなたがいてよかった」ってみんなに褒められたくて、
「すきだよ」って大切にしてもらいたいだけで、
もっと欲を言えば、あなたにその言葉を言ってもらいたくて、
誤解されがちで繊細なあなたが心休められる場所になってあげたかった。


それだけが欲しくて欲しくてたまらなくて嫉妬深くて、

人を疑って敵意を向けて自分の感情すら偽るような女です。


最初からこうやって素直になれなくて本当ごめんなさい。

でも、たぶん、ぜったい、
あなたは最初からぜんぶ、わかってたよね。

わたしがおしゃれ文化人でないのも、ただ愛されたいだけの人間なのも。

最近読んだ小説に書いてあった。

「優しくできるのは、昔誰かに優しくしてもらったことがあるから。愛されたことがあるから、他のだれかを愛することができる」

先にあなたに純粋に愛してもらっていたから、
今わたしは純粋にあなたを愛することができる。

わたしと出会ってくれて、そして、愛してくれてありがとう。



でも、その小説にはこうも書いてあった。
「恩には時効がある、縁には期限がある」と。

ピュアな気持ちを持ち続けたまま、
相手が待って欲しいとも思っているかもわからなくて、
渇望しているものが与えられない状況に耐えられるほど、





わたしは、強くない。
だから、あなたを、諦めるよ。







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