心に在りつづける人と- そっと触れあう美healing、 音の波 。
「美healing ~close to you~ (ミヒーリング) 」の名でピアノを奏でるのは、奥原 みひろさん。(山口県周南市在住、41歳)
‘亡き人との想い出が蘇る そんな音色を奏でたい’
その想いで、大切な人を亡くされた方の心に寄り添っておられます。奥原さんのピアノを聴く人の中には、目元にハンカチをあて、こみあげる感情が伝わる後ろ姿が… 私も、その一人です。
奥原さんとピアノ、奥原さんの寄り添うかたちについて、お話をうかがいました。
音のある人生
ピアノ奏者としての活動は、38歳から。あるイベントで演奏者を募集しており、‘やってみたい!’ と電子ピアノを持ちこみ動き出しました。癒しの音色はご縁をつなぎ、求められ、医療福祉の場、図書館、カフェ、祭りなどで演奏。癒しの曲、楽しめる曲。楽曲はさまざまです。ピアノ奏者、弾き語り、伴奏、時にはピアノとテルミン (電子楽器) のユニット「mimi minette (ミミ ミネット)」として演奏されています。
ピアノとの物語の始まりは、小学1年生に遡ります。上手にピアノを弾く5歳上の姉に憧れ、念願叶い習いました。音楽が好きで、クラシックやジャズ、ジブリを好み、音は癒しでした。奥原さんの奏でる音もまた、まわりの人の癒しへ。奥原さんの音色が好きだった祖母は、テープに録音した奥原さんの「乙女の祈り」を、昔から眠る前に聴かれたそうです。祖母が緩和ケアに過ごす日々も、音色で語りかけました。「もったいない、もったいない (祖母のありがとう)」祖母の感謝は、今も奥原さんの心をそっと包んでいます。
音色
私と奥原さんの出会いを、少し語らせて下さい。約2年前、徳山駅前図書館 (周南市) でピアノ演奏が行われていました。私は隣接する駅へ、‘幸せの黄色い新幹線’ ともいわれるドクターイエローの撮影に来ていました。故郷を離れ 周南市に来て2ヶ月の私は、故郷にいるわが子に新幹線の写真を見せたい特別な想いで居ました。雪舞う日、撮影が終わって館内で身体を温めていると、音色が- 。
すっと心に浸透し、泣きじゃくる子供のように奥原さんをみつめ、座っていました。
我慢していた、我慢もなにも、私なんか泣くことも許されないと思っていた感情が、とめどなく流れてゆく。‘ここに、そこに居てくれるだけでいい’ と囁き、抱きしめてくれるような音色。音の波、振動は、心や記憶、細胞に届き・・・伝わる奥原さんの心。寄り添うやさしさと、奥の奥にある繊細さ、完璧でなくていい、揺れもする。そんな奥原さんの心を受け、同じ目線で救ってくれているようでした。
空気、景色、匂い、味、振動、音・・・それらは記憶と結びつき、過去の出来事や感情がよみがえる経験、誰しもあるのではないでしょうか。よって共感し、勇気わき、元気がでる。涙あふれる。
奥原さんの音は、奥原さん自身。素直で正直な音も、頑張り、つらさ、幸せ、弱さも、たどってきた奥原さんの音であり、人生だと感じます。
寄り添いびと
奥原さんの活動はピアノ奏者のみならず、ベビーサイン認定講師、グリーフサポーターとしても活動されています。
ベビーサイン認定講師
奥原さんがわが子と向きあう中で辛い、可愛く思えない、そんな自分はだめだと責めていた時期、友人が誘ってくれたのがベビーサインの集まりでした。わが子と ‘おいしいね’ とにこにこ目をあわす。心の底から湧きあがる わが子への愛情を感じたそうです。自身の経験から、認定講師の資格を取得。お父さんお母さんに、子どもたちに、寄り添う活動をされています。
グリーフサポーター
悲しみ、怒り、悔い、何を口にしても砂を食べているよう-
奥原さんが経験した感情です。私が弱いからだと自分を責め、嫌になる。泣けなくなる。車や携帯の音も聞きたくない。好きな音楽も嫌い… 聞くことも許されない。
奥原さんは4年前、グリーフサポートやまぐちさんに出会う機会がありました。グリーフという言葉を知り、「私はグリーフを抱えていたんだ。心が弱いのではなく、グリーフ反応の一つだったんだ」と心救われたそうです。グリーフを抱える方の話を聴けるように習いたいと、グリーフケアを学ばれました。グリーフケアの講演会では、ピアノ演奏もされています。
グリーフピアニストになる
本年 (2023年)5月。ミヒーリングのInstagramが更新され、実現したい夢について書きつづられていました。
‘ご葬儀でのピアノ演奏をさせてもらいたい’
この投稿には、奥原さんを支え、応援する方々からの温かいメッセージが。
私も、奥原さんの想いを感じ、音色に感動する一人として、多くの方々に届けたく今回記事にさせていただきました。
「そっと手を重ねるように、そっと背中をさするように、私の音色を必要としてくれるような人に届けたいです。そっとそばに居る人間でもありたい。私は生きることに希望を見出せない時もあったので、その人その人のペースで。SOSを出せない人もいると思います。何気なく聴こえてきた私の音色で、日頃眠れない人が寝つきが良くなったり、涙が出なかった人が流せたりするとうれしいなと思います」
「1年位前から、ご葬儀でピアノを弾きたいと思っていました。亡くなられて旅立つときに、ご家族に聴いてもらえたら。友達が亡くなった時、本人から ‘この曲を流してほしい’ と頼まれていた曲を流しました。出棺の時、吹雪が舞い- 亡くなった人の想いもあると感じました」
愛する大切な子、育児に向きあうのが辛くなった日々。
愛する大切な人との日常が、失われてしまった日々。
それでも在りつづけてくれる、大切な心のつながり。
寄り添う心となり、音となり、奥原さんを必要としている方々をそっと包みこんでいます。
グリーフピアニストとして活動をしていくために、どう行動したらよいか調べることから歩き出しました。
奥原さんの音色を、活動を、みなさまに見守っていただけると幸いです。
最後に。
奥原さん自身の活動名「美healing」は、ピアノを聴きに来られた方の「‘み’ ひろ の ‘healing (癒し)’ 、ミヒーリングだね」の言葉から生まれました。漢字の ‘美’ は、そばに、心に在りつづける大切な人の名からもらいました。
人生に音色をまねいてくれた、彼女とともに。
これからも- 。
演奏予定
さくら CHILL フェス
6/4(日) 10:00~15:00
守和さくらパーク (山口県光市立野862番地の6) にて開催。ピアノとテルミンのユニット「mimi minette」の演奏は11:00から。
自然を感じながらゆったりリラックスタイムを贈るこちらのイベントは、癒しの施術、食、アクセサリーブースなど集まっているそうです♪
心とからだ、音色に癒される時間を、ぜひ過ごされて下さい。
※雨天時など下記Instagramをご覧ください。その他、演奏予定は下記Instagramをご覧下さい。
美healing 〜close to you〜 ミヒーリングInstagram
mimi_minette ミミミネットInstagram
tenon 手の音 ベビーサイン
【さくらCHILLフェス】
主催:ゆるふわ--HIKARI-YAMAGUCHI Instagram
※本記事の内容は、執筆時点(2023年6月)のものです。