VRホラーゲーム『Propagation: Paradise Hotel』紹介&感想
はじめに
紹介するのは『Propagation:Paradise Hotel』です。
プレイ時間 8時間前後
お値段 2300円(セール時はさらに安い)
VRゲーム初心者にオススメのゲームとなっています。
VRゲームならではの 恐怖と興奮(紹介文)
頭部に専用ディスプレイを被ることで、360度の画面を実現。
まるで異世界にいったかのような体験が得られるのがVRゲームです。
……と、言いたいところですが、
実はただ見ているだけだと従来の3Dゲームとあまり変わりません。
通常の3Dゲームでも、スティックで回転すれば振り向けますし、モノも立体的に感じられます。VRがその真価を発揮するのは、近さを感じるときです。
たとえば、ゾンビが噛みついてきたとき、
通常の3Dゲームでも、キャラクター同士の位置関係は激しく変化します。いっぽうで、プレイヤーとキャラクターの距離は変わりません。
しかし、VRではゾンビがプレイヤーに近づいてきます。
(厳密には錯覚ではありますが)現実とおなじ遠近感を手に入れたのがVRゲームなのです。
『Propagation: Paradise Hotel』は、
VRの強みである遠近感を効果的に使ったゲームです。
もっとも特徴的なのがゾンビとの戦闘。
ある程度の間合いまで近づくと、
ゾンビはぐっと急加速して、プレイヤーの間近に陣取ります。
プレイヤーはヘッドショットで迎撃するわけですが、これが当たりません。距離が近すぎるからです。ゾンビの頭部、そしてプレイヤーが握るコントローラーが少しブレただけで銃弾はあさっての方向へと飛んでいきます。
失敗するたびにせまってくるゾンビの頭部。
プレイヤーはパンチで迎え撃ちます。
さらにブレるお互いの体。ギリギリで狙う射撃の緊張感。
ハンドガンではありえない連射が響き、弾切れ。腰に目をやってリロード……ミスして弾丸ではなく、薬品を掴んでしまう。
VRでしか味わえない超・接近戦闘。
本当の「近さ」をともなってゾンビが襲ってくる本能的恐怖。
暴れる脳や体を制御して、超至近距離で銃弾をぶちこむ快感。
洋館を進むごとにあらわれる、多様なシチュエーション。
いきなりゾンビが飛び出てくるのではなく、
前フリをしっかりふむ視点誘導によって、
プレイヤーの心理的防御をかいくぐる、巧みなホラー演出。
後半、ショットガンが登場してからの、
ダイナミックかつ高速なバトルの連続。
VRゲーム入門者に、ぜひオススメの一作です。
オプションで各種調整ができるので、
酔わないよう、自分好みに設定しておきましょう。
ネタバレ感想
巧みな恐怖演出にぐっと心を掴まれました。
このゲーム、プレイヤーを「ほっとさせる」のが上手いのです。
たとえば、
巨大な敵を前もって発見、不意打ちの準備がしっかりできた。
敵が隠れていそうな場所をしっかりクリアリングできた。
物音がしたが、ただの死体だった。
……と、プレイヤーがしっかり安心できる状態を作っておき、そこにパンチしてきます。これがマジで怖かったです。死体だと思っていたゾンビに脚を噛みつかれたときはリアル悲鳴が出ました。
面白いなと思ったのが、
プレイヤーがホラーゲームをゲームだとナメてしまう瞬間をしっかり把握しているところです。ただの恐怖演出ではなく、ゲームだからこそ深く刺さる演出になっているんですね。ゲーム性ともリンクした演出が綺麗に決まっていて、嬉しくなってしまいました。
そして、ショットガンを手に入れてからの戦闘の面白さ。
ハンドガンより強力……なのですが、取り回しはずっと悪い!
銃身が長すぎるせいで超接近戦では不利なんて、初めての経験でした。ギリギリの間合いを調整するのが楽しかったですね。
最後にあらわれるボス戦。
弱点をつこうと回り込むときに、ボスと「目と目があう」という脳汁でまくりの演出。これがムービーによる強制スクロールではなく、プレイ中に自然と発生することに大興奮でした。
巨体を避けて撃ち倒すスリル。「これがVRでやるバイオハザードか!」「クリスたちってこんな気持ちなんだ!」と、ゲームの進歩に感慨深くなりました。
プレイ時間も短めで、
しっかりと考えられた尺になっているのも嬉しかったです。
総じて完成度の高い一作でした。もっとこういうの作って欲しい。