【カゴの中の鳥】
ぼくはかれこれ二十年以上も三交代勤務をしている。
朝から夕方、夕方から深夜、深夜から朝にかけての勤務時間帯があり、数日ごとに切り替わる。
ぼくは深夜が苦手だ。
だるさと眠気に襲われ、比較的作業が楽な時でも身体はしんどい。
けど悪いことばかりでもない。
平日の日中に用事を済ませられるし、朝はみんなが重い表情で出勤する中、清々しい気分で帰ることができる。
けれど自分の時間を切り売りするやり方は自由ではない。
カゴの中の鳥だ。
カゴの中が安定していて居心地が良かったとしても、大きくは稼げないし自由には動けない。
そこでぼくはカゴの中から出ようとしているわけだが、準備にもの凄く時間がかかることに気づいた。
ぼくは今、夜勤帰りに広い公園に立ち寄っている。
運動不足なのと体重を落としたいのとで、少しばかり歩こうと思ってやってきたのだ。
しかしどうだろう。歩いていると仕事の疲れで頭がボーーッとして居眠り運転ならぬ居眠り歩きしそうになる。
ぼくの勤める会社は決してブラック企業ではない。ではホワイトかと言われると、う〜んと首を傾げてしまう。
少なくとも社畜とは思わない。
ただこのまま、安定だけど不自由なカゴの中で定年を迎えるのが先か、それとも見たこともない空へ羽ばたくのか。
さて、公園のベンチでこんな愚痴みたいなことを書いていないで家に帰るとしよう。
カゴの外へ出る準備をしなくては。
君はどうする?
ずっとカゴの中に居るのかい?
それとも?
終
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