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おにぎりの具は無数にある。僕の中では梅干しが一番だ。流行病に苦しんだ時、病み上がりで最初…
世間は広いようで狭い。付き合って間もない彼女は姉の人探しを手伝っていた。姉の恋人は多額の…
「またね」と立ち去る繊細な彼女。背中を見つめているとカバンからイヤーマフを取り出した。聴…
学生時代の記憶が甦る。隣席の女子と些細な内容の文通をしていた。ノートの切れ端に書いて折り…
愛人と肩を寄せ合い動画を観ていた。「顔なんて付いてればいいの。大切なのは優しさ」インフル…
僕は連休を利用し久しぶりに実家に帰省した。遠方で就職する僕を「いってらっしゃい!!」と笑…
残業を乗り切り家路を急ぐ私。疲れた体に鞭を打って歩く。もう夜更けで人通りは少ない。そこかしこにできた水溜り。後方から車の走行音と足音が聞こえた。車が横を通りすぎた瞬間、足音が加速した。私の横に躍り出た男は、傘を広げ車の水しぶきから私を守ると、何事もなかったように追い抜いていった。
「その鍋、私に売ってくれませんか?」愛用していた片手鍋の持ち手が壊れ、新しい鍋を買ってき…
「勝手に持ちこむなよ」家は傾きいつ倒壊するか分からない。避難生活が長引くことは容易に想像…
上司と帰りが一緒になった。「糸電話か!懐かしい」公園で糸電話を使い遊ぶ子供たちを見て上司…
帰宅すると妻の友人が来ていた。二人は会話に夢中で僕には気づかない。「どこかに収納できたら…
「百円足りません」スーパーのレジで店員に言われ焦るお婆ちゃん。持ち合わせが足りないらしい…
闘病生活を終えた僕は卒業前に自宅に戻ることができた。病院スタッフや家族、何より毎日連絡を…
僕は古アパートに住んでいる。隣に住むドSのAさんには困っていた。壁が薄いのに溜めこんだストレスを拳に込め壁にぶつけるのだ。注意しても繰り返された。僕は考えた末ある結論に達した。壁の気持ちを伝えよう。「痛い!」「ぐわっ!」隣の部屋からAさんの声がした。「こ、これは…殴りがいがある」