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鬼滅の刃を見た(今更)~前編~


 巷で話題の鬼滅の刃を見ようと思った。

 職場のバイトちゃん(陽キャ)に「絶対見てほしいので見てください感想教えてください」とオタクがやる語彙力の死んだ布教をされてしまった。
 自分は旬すぎるジャンルにはなかなか手を出せないで、ブームが過ぎ去った数年後くらいに発熱するという何とも面倒くさいオタクの性質をもっているのだが、彼女の枯渇した語彙力に近しいものを感じてしまった。
 鬼滅の刃といえば、椿鬼奴先生が水の呼吸を使えるということと冨岡義勇がかっこいいということくらいしか知らない。
 この自粛期間に際して入会したAmazonプライムでも視聴できる。まさに、機は今としか言いようがない試みである。
 そんな感じでブームのど真ん中を突っ走ることになった感想文である。
 単語や視点にかなり偏りがあるとは思うが、ご容赦いただきたい。

 静かなジャンプ三原則

 10話まで見て、最初に抱いた印象。
 ジャンプ漫画といえば、友情!努力!勝利!の三原則が有名であるが、鬼滅の刃は物語の空気感も、重々しく静かだ。この空気がジャンプらしからぬ違和感を醸し出している。まるで大河ドラマの序盤のようだ。
 目の前で死んでいる家族を目にして、妹も何だかわからない化け物になっていて、おまけにひょっと出てきたよくわからない剣士にその妹が殺されそうになっている……。
 絶望的な現実に打ちのめされた時、炭治郎は「何で」「どうして自分が」と、自分じゃどうにもできないから、考えることを投げ出してしまう。望みが絶えるから絶望なんだ。わかるよ炭治郎(共感)。
 そんな炭治郎に対して「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」と我らが冨岡義勇の一喝である。
 どうやら現代で大人気の宙船の一節は大正の世から引き継がれているものらしい。
 そこから炭治郎の修行が始まるわけだが、ちょこちょこ挟まれる皮が剥けてボロボロになった手の描写が過酷な鍛錬の日々を物語っている。
 痛々しいのに、その中で成長していき表情が変化していく炭治郎がとてつもなくカッコいい。誰かのために命を投げうつ覚悟をもった人は強いし、カッコいいのだ。
 錆兎と戦った時、わずかに伸びた髪の炭治郎が好きです。一番好きなのは錆兎です(隙自語)。
 仮面が落ちた瞬間の表情にやられました。アッーそんな優しい顔するの禁!!!(恋に落ちる音)

 そんな泥臭さを持ち、たくさんの努力の上に勝ち取った勝利をもつ鬼滅の刃もまた、ジャンプ三原則をもった物語だといえる。現在視聴したのが10話までなので、友情部分といえる善逸や伊ノ助などの同期組が出てきていないので、後半でこのあたりについてお話できればと思う。

 鬼がすごい

 誰が緑川光をチョイ役の鬼の声に据えると思うんだ。
 おまけに手鬼が子安武人!! 本当にイヤなやつ、と生理的に認識させる声の出し方が上手いと思ってしまう。流石ゲロ以下のニオイがする声をされた方だと思う。
 でも、手鬼戦で鬼にも悲しい事情があるのでは、と思わざるを得なかった。
 手鬼が最期に求めたものは家族のぬくもりだったし、その望みがあの異形の姿につながったのかと思うと、禍々しいものが物悲しい様に早変わりする。そしてそんな鬼にも、慰めに手を握ってあげる炭治郎の優しさに胸を打たれた。
 加えて感動したのが、鬼の能力だ。
 異形の鬼だけでなく異能の鬼の能力もすごくスタイリッシュ。異能バトル系において、触手複腕、潜伏系、無効化、コピー系は鉄板だが、「方向」という事象を取り扱っている作品は意外と少ない気がする(知らないだけ?)。
 別作品だがソウルイーターのメデューサが矢印で戦うのを見て、矢印で戦うのがとてつもなくかっこいいと知ったのを思い出した。
 矢琶羽の攻撃法がベクトルで、手に浮かんだ瞳にベクトルが浮かぶという気持ち悪さとカッコよさが共存しているデザインがすごい。自分が鬼になるとしたら矢琶羽みたいなデザインの鬼になりたい。でも錆兎に斬られるなら、手鬼みたいな気持ち悪い見た目でもいい。贅沢言いません。はい。

 無惨にシンパシーを感じる

 ※断じて無惨様擁護ではないです。絶対許さないマンです。
 あんな息をするように人の首根っこ引っ掻くとか手癖が悪いとかいうレベルじゃない。
 とか言いながら、自分は無惨にどこかシンパシーを感じてしまったのだ。肌が青白いと言われたことに対して、劣等感をむき出しにしたような反応を見せた無惨に、だ。
 作者は人の劣等感を煽るのが上手いと思う。劣等感がある人には、無惨のあの言動にはどこかしら共感できる部分があるのではないだろうか(別に人の額に指突っ込むとかいうのは無しとして)。
 人には誰しも触れられたくない部分を持っている(と思っている)。それが外見的な部分だったり内面的な部分だったり、指摘されたその瞬間、全身の血が沸騰するような、凍り付くような、そんなザワッとした感覚はないだろうか。
 それが怒りなのか、悔しさなのか、悲しさなのかは未だに自分でも判別がつかないでいるのだが、あのザワッとした衝動にも近い感覚は身に覚えがある。それがあの時の無惨なのだと思えば、どこか親近感も湧く気がする。

 着物が着たい

 自分は着物装備者(初心者)である。
 だからこそ、鬼滅の刃に登場する着物にもいろいろと目が行ってしまう。
 キャラクターが着ている着物がとてつもなくお洒落だ。もはや代名詞ともいえる炭治郎の市松模様に始まり、善逸や義勇の羽織の柄もポップだ。この時期だと着ればコスプレ不可避だが、それでもワンポイントでコーデに入れたいくらい可愛い。
 ちなみに朱紗丸のコーデが好みドンピシャである。半襟・着物・帯のコーデがポップですごくかわいい。着たい。あのコーデをいつか再現したい。コスプレと言われようとかまわん。やる。
 コラボとかでどこか販売してくれないだろうか。。。

 最後に

 水の呼吸のエフェクトが日本画のような描写であったり、ufotable特有のぬるぬる動くカメラワークだったり、本当に見ごたえのあるアニメだった。
 後半はやっとあの善逸だったり伊ノ助だったり、仲間にも触れることができるのかな、と楽しみである。後半へ続く→→

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