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『傲慢と善良』感想:現代社会の結婚を難しくするものは何か

 辻村深月さんの小説『傲慢と善良』を読みました。  物語の入りとしては、それまでストーカーに追われていた婚約者が結婚直前で急に姿を消してしまうという、ミステリー小説のようなテイストですが、真実がどこへ行ったのかは実のところ物語の主題ではありません。  真実を探すため、架は彼女の故郷に向かい、彼女の両親、彼女が架と出会う前に通っていた結構相談所、そこで出会った結婚相手候補たちから、当時の真実についての話を聞くことで、彼女が本当はどういう人間であったかを知り、そして自分自身の

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    • QuizKnock は社会問題への無関心に加担している

       QuizKnock。登録者200万人超えのクイズ系YouTuberにして、ウェブメディア運営、テレビ出演やアプリ開発など様々な活動を行っている企業でもあります。  この記事を書いている私もQuizKnockは好きで、リアルイベントに行ったりフォロワークラブに参加したりはしていないので、生粋のQKファンからすると全然大したことないですが、4~5年前にチャンネル登録して以降、メインチャンネルの動画はそれ以前のものも含めてほとんど全て一度は観ていると思います。  ただ、最近に

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      • フワちゃんの発言について思うこと、誹謗中傷と炎上と人気の切り離せなさについて

         フワちゃんのSNS投稿を巡る一連の事象について、もう既に語りつくされている感もありますが、個人的に考えさせられるところがいろいろあったので、考えを整理するために書きます。  先月書いた記事(『クレバーなクレーマー』キャプチャ批判の問題点は、「違法」と「不快」を混同していること)に大変多くの反応を頂いてありがたかったのですが、前回の記事ほど内容を整理できていないので、前回同様の事実ベースでの意見が読みたい方の期待には沿えないかもしれません。  また、私自身は『フワちゃんの

        • 『ルックバック』は「主観的な解釈」を徹底的に肯定する

           公開から少し時間が経ってしまいましたが、『ルックバック』の映画を観ました。  原作漫画はウェブ公開当時に一度読んだきり触れていなかったのですが、映画という形で改めて観て、かなり印象に残り、それから数日、あの作品は何だったのだろう、といろいろ考えを巡らせずにはいられませんでした。  自分なりに『ルックバック』について、どういうテーマがあり、なぜこのように支持されているのか、について考えたことを整理して書きます。 ※『ルックバック』以外の藤本タツキ氏の作品を読んだことがな

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        • 『傲慢と善良』感想:現代社会の結婚を難しくするものは何か

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        • QuizKnock は社会問題への無関心に加担している

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        • フワちゃんの発言について思うこと、誹謗中傷と炎上と人気の切り離せなさについて

        • 『ルックバック』は「主観的な解釈」を徹底的に肯定する

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          『クレバーなクレーマー』キャプチャ批判の問題点は、「違法」と「不快」を混同していること

           『クレバーなクレーマー』第2回を観ました。感想としては、かなりダメな番組だったと思います。なので、この番組と、この番組の内容に賛同している一部の視聴者に対して、何が良くなかったのか、いくつか問題点を挙げていきます。 永野&くるま クレバーなクレーマー テレビマンから視聴者へのクレーム | TVer  なお、既にSNSで一部の方が指摘している、「キャプチャ共有も含めて番組サイドに立って応援を求めてきたこと」、「著名なプロデューサーも含めたテレビ関係者がこれまでキャプチャを

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          朝井リョウ『どうしても生きてる』

          はじめに これは、各短編で描かれているテーマに対して、自分の感情や考えや価値観を重ね合わせた感想の覚え書きです。客観的な書評ではありません。 健やかな論理 幸せではないけれど不幸でもない、何となく生活が成り立っていて不自由ない女性の、自殺をめぐる思考。  この短編集の中でも特に「何も起きていない」瞬間を切り取っている。  「自殺」という行為は、本当に思い詰めてどうしようもないほど絶望し続けた人だけがすることのように思えますが、実際は案外そうでもない。  私自身が、この

          朝井リョウ『どうしても生きてる』