鉾田市に誕生した「ぱれっとらいふ」。場があることで叶えられるワガママとは【ほこたワガママ会議#01】
鉾田市では産学官が連携した「まちの未来を創るチャレンジプロジェクト」を通じて、「地域プロデューサー養成講座」を実施し、持続可能な地域づくりを考え、行動を起こす人材の育成を推進しています。
地域プロデューサーは、地域で活動する人々の「こんな未来を実現したい」を引き出し、多様なプレイヤーを巻き込みながら持続可能な活動をつくっていく存在です。挑戦を応援し合い、誰もが挑戦できる文化をつくっていきたいと考えています。
そこで、月に1回「ほこたワガママ会議」という場をつくることにしました。
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ほこたワガママ会議とは
ほこたワガママ会議では、ワガママの定義を「日々の生活の中で、本当はこうなったらいいのになと思っているけれど、あきらめてしまっていることや我慢していること」としています。
地域の人たちが心の中にしまっている”ワガママ”にこそ、地域をより良くするヒントがあったり、その人にとって生きがいにつながる挑戦の種が隠れています。
地域プロデューサー講座で集まったみなさんを中心に、鉾田市で暮らす人たちのワガママを可視化する場「ほこたワガママ会議」をはじめることにしました。
しかし、それをやるにはひとつ課題があったのです。
地域に気軽に集まれる場所が少ない
鉾田市には地域の人たちが「気軽に集まれる場所が少ない」という現状がありました。もちろん、公民館など公的な施設はあるのですが、そこは予約が必要だったり、誰もが気軽に集まれる場所とは言いにくい点がありました。
ちょっとお茶をしながら話をすることができたり、用が無くても気軽に足を運べる場所だったり、作戦会議ができる場所があることが、地域の人たちが新たな挑戦を生むには大切なのです。
ほこたワガママ会議も、できることなら気軽に集まれる場所で実施したいなという想いがありました。どこがいいかなと考えていた時、良い知らせが入りました。
カフェ&コミュニティスペース「ぱれっとらいふ」がオープン
「市役所の近くに、コミュニティスペースをつくる方がいらっしゃるらしい!」という情報が飛び込んできました。その場所は「カフェ&コミュニティスペース ぱれっとらいふ」。
立ち上げをされる室さんとお話をして、2023年1月15日にオープン予定ですが、オープン前の12月にお借りして「ほこたワガママ会議」を開催させていただくことになりました。
第一回目のほこたワガママ会議では、室さんに立ち上げの経緯をお伺いしながら、まちの人が集う場があることで広がる可能性について話をしました。
室さんはなぜ、ぱれっとらいふをつくったのですか?
「ぱれっとらいふ」を立ち上げるに至った、室さんの想いを伺いました。
室さん:「世代や障害の有無に関係なく、交流できる場をつくりたいと思って。ないなら自分で作れたらいいなと思ってつくりました。
障害がある人は、本人や家族が周りの目を気にしてしまって行動範囲が家の中や同じ場所に限定されてしまいがちです。だから新しい刺激を受けられる場所をつくりたかったのです。
また、高齢者施設で働いていたこともあり、入所する前や、病院に入院する前の段階でなにかできることはないかと考えるようになって。介護や認知症予防を地域でやりたいと思ったのも強い動機です」
想いを持ってはいても、こういう場を立ち上げるには非常に大きな勇気が必要です。躊躇は無かったのか、伺ってみると……
室さん「大学卒業した時から目標にしていたんです。
音楽療法士として働きたかったのですが、鉾田市に帰ってきてもそういった仕事はありません。そもそも音楽療法士について知らない人が多い。なのでまずは現場で働こうと施設で働いていました。
子どもから高齢者までを対象に、障害の有無も関係なく、音楽を楽しめる場所をつくりたい、場をつくりたいとずっと思っていました。
Instagramを見ていると、全国的には多世代の交流の場づくりをしている人が多いことを知りました。
京都でやられている方を実際に訪ねて、シェアハウスを使って障害があってもなくてもみんな一緒にフラットに集まり時間を共にしている場があると知りました。
そういう光景を見て、やりたいなという想いを強くしました」
立ち上げるにあたって、夫婦でたくさんの試行錯誤をされてきたお話を伺いました。室さんご夫婦で立ち上げられ、これから挑戦のスタートを切る「ぱれっとらいふ」。
ワガママ会議参加者一同、背景を知って胸が熱くなってしまいました。
まちに”場”ができることで広がる可能性
まちにそんな想いが詰まった「場」が来月にオープンします。鉾田市で暮らしてきた皆さんは、どう感じられたのでしょうか。
「ずっとここに住んでいて、不自由ではないけれどみんなでワイワイと話す場があれば面白いのになと思っていた」
「町内に近いところで、集まりやすい場所があまりないし、学生たちは寄り道をする場所も無い。子どもも歩いて来れる場所にぱれっとらいふのような場所があるととても良い」
「子どもたちが大人に混じって何かやれる場所がなかったので、ぱれっとらいふがそんな存在になってくれたら嬉しい」
「普段の生活で、偶然の出会いが無かった。ここでいろいろな人とできて行けば、もっと楽しいまちになるのでは」
「こんな場所が欲しかった」
場があることで、叶えられるワガママがある
では、そんな「ぱれっとらいふ」という場があることで、叶えてみたい自分のワガママを共有し合いました。
「同年代と会う機会が無いので、価値観を語り合いたい」
「子どもたちが練習してきたことを披露する機会をつくりたい」
「行政職員の立場ではなく、一人の市民として話ができる場所が欲しい」
「たくさんの野菜をもらったり、自分でも作ったりする。もらってくれる人がいたらあげたい」
「雨の日に子どもたちと遊ぶ場所に困っている。屋内のイベントができたらいいな」
実際に場所があるという前提に立つと、アイディアがどんどん膨らんでいきました。
気軽に集まって、自分の気持ちを言葉にすることができたり、新しい出会いのきっかけになる場があることは、様々な可能性があると気付くことができました。ぱれっとらいふで「これをやりたい!」という作戦会議もはじまり、小さな一歩目がまた生まれそうです。
「地元でこういう場で楽しく話をしている空間が、新鮮」
と、しみじみと仰っていた方も。
私たちは月に1度、ぱれっとらいふでワガママ会議を開催させていただくことになりました。初回はキックオフとして地域プロデューサー養成講座の関係者で開催しましたが、今後は地域の方からの参加も募っていきます。
開催後にはまたレポートを発信しますので、ぜひご覧いただけますと嬉しいです。
カフェ&コミュニティスペース ぱれっとらいふ
instagramアカウント
https://www.instagram.com/palette.life2023/