地域プロデューサーが増えた地域は、どんな未来が待っている?@茨城県鉾田市
IRODORIは鉾田市地域再生マネージャー事業として、産学官が連携した「まちの未来を創るチャレンジプロジェクト」を実施しています。
鉾田市で挑戦したい地元の方を募集して「地域プロデューサー養成講座」を実施し、持続可能な地域づくりを考え、行動を起こす人材の育成を推進しています。
地域プロデューサーとは何か、などに触れて2回分の講座の概要を紹介した記事はこちら。
本記事では、地域プロデューサー養成講座の後半部分についてレポートします。
地域プロデューサー養成講座・全5回のプログラム
地域プロデューサー講座は、鉾田市に住んでいたり、市にゆかりのある人たちを対象に受講希望者を募り10月から12月にかけて全5回実施してきました。
講座を通じて、地域プロデューサーとして活動を起こしていくために必要なことを学んでいき、最後には事業プランの発表会を行います。
第3回:若者たちが集う場づくりの可能性を考える
第3回目の講座のテーマは「若者たちが集う場づくりの可能性を考える」です。
ゲストは、宮崎県都農町(つのちょう)からお越しいただいた株式会社イツノマの中川さんと渡邊さん。町全体のグランドデザインをはじめ、町内外から多世代が集まる場づくりやまちづくり教育、デジタル推進に取り組まれています。
都農町の人口は約10,000人。高齢化率は40%近くになり、2040年には老年人口が生産労働人口を上回る見込みです。
町内唯一の高校は閉校になり、中学校も1校だけになりました。農業は後継者不足で、商工業は町外の大型店へお客さんが流れています。これらは都農町に限らず、これから全国的に起きていく日本の課題です。
おふたりは都農町で、若者たちが暮らし続けられるまちづくりを行うべく、様々な取り組みをされています。圧倒的な実践量に、驚くばかり。貴重な知見をご共有いただき、若者たちが集う場づくりの可能性を感じ「鉾田市でもやってみたい!」という想いを強くする時間となりました。
おふたりには2日間、鉾田市内をまわって場づくりの拠点になる可能性のある場所をまわったり、地域で活動する皆さんの取材に同行いただき様々なアドバイスを頂戴しました。
第4回:行政を巻き込んだ地域づくり活動を起こすには
第4回目の講座のゲストは、都市経営アドバイザーの毛塚幹人さん。「行政を巻き込んだ地域づくり」をテーマに講義をしていただきました。
毛塚さんは前つくば市副市長として、行政内から市民や企業と連携をして新たな挑戦を行いやすくするための仕組みづくりに取り組まれてきました。現在はそのご経験を活かし、地元の栃木県にて行政と市民をつなぐ立場としてもまちづくりに携わっています。
行政と連携するうえで把握しておきたい行政の仕組みや、市民側として活動をおこす一歩目などをレクチャーしていただきました。行政内外どちらの立場でも挑戦されてきたご経験から手触り感のあるアドバイスをいただき、参加者の皆さんからの質問が止まりませんでした……!
第5回:地域プロデューサーとして実践方法を考える
第5回目、最後の講座のゲストはIRODORIの谷津が担当しました。テーマは「地域プロデューサーとして実践方法を考える」です。
ここまで学び、イメージしてきたことを行動に移すために役に立つフレームワークをご紹介しました。そのひとつが「エフェクチュエ―ション」です。
印西市で行った市民活動支援センター主催の勉強会でも触れ、レポートにしていますので詳しくはこちらをご覧ください。
そして、想いを言語化して周りと共有する「ストーリーテーリング」、協力してくれる人を巻き込む「コミュニティオーガナイジング」という考え方についても共有しました。
それらを踏まえ、いよいよ受講生の皆さんには活動アイディアを膨らませ、実際に企画をつくって報告会で発表していただくことになります。後日、個別相談の時間をもうけて改めて皆さんの想いを伺いながらサポートを行い、報告会に備えました。
報告会:欲しい未来をつくるためのプロジェクトを企画
報告会の会場は、鉾田市内にある鹿島灘海浜公園。休日の午後の時間帯にリアル開催しました。
まずはご自身の経験やスキルを活かし、挑戦したいプロジェクトの企画を共有していただきました。
受講生には地元の中学校の教員の方も。中学生が地域と関わりが薄く、地元のことを知らないということを課題と捉えられています。
中学生が自ら地域のことを調べながら魅力を発見し地域に関心を持つこと。そして、課題解決に取り組む体験をする。それらを通じて、鉾田に住みたい、鉾田で働きたい、という若者を増やしていきたいという想いから企画をつくってくださいました。
鉾田市で暮らし、挑戦している女性のひとりとして感じていることをもとに企画を立ててくださった方も。ご自身がこれまでの人生で感じた困難と、活かせるご経験をもとに鉾田市でつくりたい「場」について発表していただきました。
また、本講座に伴走された鉾田市職員さんたちも発表されました。
「地域資源である野菜を活用しながら、子どもたちが暮らし続けたいと思うまちづくりをしたい」
「ものをつくる感動を伝え、農業を若者たちにとって魅力的な産業にしたい」
「挑戦したい若者たちが気軽に意見交換ができる場をつくりたい」
など。皆さんご自身の原体験からの熱のこもった発表をしてくださいました。
発表を聞く皆さんも終始、聞き入っていました。お互いの想いややりたいこと、できることを共有することで協力し合って活動を起こしていく関係性が築かれていきます。
また、次に「レゴ®シリアスプレイ®」の手法でレゴブロックを使って、ありたいまちのイメージを考えるワークショップを行いました。
3年後、鉾田市がどうなっていたら最高かをイメージする
「3年後、鉾田市がどうなっていたら最高だと思うか」をテーマに、レゴブロックを使ってそのまちを表現していきます。カラフルなブロックに向き合い、頭と手を動かすことによって、頭の中だけで考えるよりも自由にイメージを膨らませて人に伝えることができます。
全員に考えを共有していただき、それぞれのひとことのキーワードに落とし込んでもらいました。
「土台」「地域プロデューサー」「地域資源」「市民」「高齢者の可能性」「心」「交流」
「架け橋」「人」・・・
この時間で出てきたアイディアを材料に、今後のプログラムを構築していきます。
地域プロデューサーの役割は、地域で活動する人々の「こんな未来を実現したい」を引き出し、多様なプレイヤーを巻き込みながら持続可能な活動をつくっていくことです。
地域プロデューサーが増えると、地域には小さなことから挑戦ができる文化ができていきます。
地域を良くしたい。こんな機会があったら良いのに。湧き上がる想いに正直になり、欲しい未来をつくるために勇気を出して行動を起こそうとする人たちを支え、応援し合う文化こそ人が集まってくる魅力的なまちになってきます。
講座を通じて、新たに小さな挑戦の火がともってきました。この報告会はひとつの区切りとなりますが、次の実践に向けて新たなスタートをきります。
引き続き、その後の取り組みについても記事にてご紹介していきたいと思います。
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