私が空を好きな理由。
私の母は私が5歳になる少し前に
ガンで亡くなった。
本人にはガンということを伝えなかったらしい。
末期だったが病名は胃潰瘍と伝え、手術をし胃を密かに全摘した。
きっと治ると信じていたに違いない。
手術の甲斐もなく母は亡くなった。
私の記憶の中には、母が入院している病院で大きなスリッパをペタペタさせながら上がった白くて広い階段や
病室のベッドの上で母に抱かれカップアイスに木のスプーンで絵を書きながら食べたこと、それから…
母が眠る木の棺に打たれた釘に向かって父と一緒に石を打ち付けたこと。
私の手を包み込む父の大きな手と石の感触。
いまでも鮮明に覚えている。
以来、親戚の伯母たちから口々に言われた言葉があった。
「ママはあのお空から彩ちゃんをずっと見守っているからね」と。
私が空を好きな理由は、母が空から見守ってくれているから。
亡くなったおじいちゃんもおばあちゃんも、猫の哲もカメのクラッシュもハムスターのハムすけも、みんなみんな空にいる。
みんなが見守ってくれている。
だから私は空を見上げる。
〜空は繋がっている〜
『空には天国があって母はそこにいる』
40歳を過ぎた今でも私はそう思っている。
そして今日も私は空を見上げる。
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