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【漫画原作】『ネタ神様は突然に』【コメディ】

読切用の漫画原作です。
短編なのでさくっと読めます。
複製、自作発言、無断転載、許可なき作画はNGです。

本編

※サイレント漫画のシナリオなのでセリフはありません。

〇アパート
 作業場。本棚にポーズや建築等の資料集。壁には31日に赤丸と〈締切〉の文字、1~30日までバツ印が書かれたカレンダーが掛かる。台の上には漫画用の道具(アナログ・デジタルどちらでも可)や、栄養剤の空き瓶が置かれている。

 頬がこけ、無精ひげを生やし、険しい表情でペンを握る主人公(一応、二十代の青年)。手元には真っ白な原稿(デジタルであればタブレット)。

 突然、握っていたペンが勢いよく折れる。目を見開き、頭を掻き毟る主人公。原稿を破る。頭を振り、台をバンバンと叩く。絶叫。ネタが出ずに発狂する。

 スイッチが切れたように、バタリと倒れる。虚ろな目。諦めと絶望ムードが漂う。「終わった…、何もかも…」みたいな感じ。

 ふと、主人公の視界に粉雪のような光が落ちて来る。同時に、周囲の景色が天界風に変わる。主人公の周りを飛び回る可愛らしい天使たち。天使たちは、ペン、消しゴム、定規などアナログの道具を持っている。

 顔を上げる主人公。頭上(天界)から、手塚治虫風のベレー帽を被った女神が降りて来る。主人公に優し気な笑みを浮かべ、自身のベレー帽を被せてあげる。

 ベレー帽を被った瞬間、主人公の顔色が変わる。虚ろな目に光が宿り、生き生きとし始める。ネタが思い浮かんだ瞬間。

 急いで作業台に向かう。椅子に座り、ペンを握る。描くぞ!と意気込み、ハッとする。めちゃめちゃに破壊された原稿や機材。握ったペンも折れている。

 頭を抱え、絶叫する。ネタはあるのに、漫画が描けない絶望。

※女神から授かったベレー帽は、リアルでも被っている。


『ネタ神様は突然に』  終

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