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散歩道のひとこま “取ってはおけないもの”
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実家にいる家族は、父が亡くなったことで、今住んでいる家を手放すことに決めたらしい。
それが良いと思う。
そもそも実家の立地は山の上で不便なこと、この上ない。
今後、母が歳を取って足腰が悪くなれば、すぐに1人で外出が出来なくなるし(近所しか歩けないとかではなく、そもそも家から出られなくなるレベルの立地の悪さ)、かと言って築年数が古すぎて、弟たちが住み続けるには絶対リフォームが必要になる。
元々、私は地方のコンパクト構想には概ね賛成なので(それで全てが解決するわけでも、上手くいく訳でもないけど)、家族が山の上の不便な家から、街の方向へ引っ越すのは賛成なのである。
それを見越して、先日、父の葬儀の時に実家の写真を何枚か撮っておいた。
写真は2枚。
父が描いた絵と、自分が使っていたピアノである。
意外と残しておきたいと思ったものは、そんなに多くなかったな。
よくよく考えたら、この家は私が4歳の時に建てて、18歳まで住んでいた家である。
思春期を過ごした、という意味では思い入れはあるが、住んだ年数からしたら、たった14年なのである。
そう考えたら、独身時代に一人暮らしをしていた部屋も10年は住んでいたし、今、住んでいる家もまもなく10年で、まだまだ住む予定なので実家より確実に長く住む。
冷静に考えれば、そんなもんだよなぁ。
夫に実家が引っ越しする、という話をしたら。
「実家行く? 引き取りたい荷物とかあるでしょ」
と言われた。
荷物。
しばらく考える。
「ないわよ、そんなの」
そんなものである。
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