Web zine #4 本当の真っ暗
本当の真っ暗って、
実はなかなかない。
物理的な意味で。
夜電気を消して、「真っ暗だ」と思ったものも
しばらく経てば見えてくるもの
砂漠の夜道を歩いたって、
星や月や、雲の反射がほんのりとある
昔遊びに行った
「養老天命反転地」という施設で
本当に一切の光をなくした空間を体験したことがある
本当の真っ暗。
目の前が完全に黒で塗りつぶされている。
目を開けても閉じても変わらない。
距離も空間も感じられない。
何も見えないのに目の前の黒が自分の目にぶつかってきているような感覚になる。
だんだん前後不覚になって、平衡感覚もなくなり
ブラックホールに吸い込まれてしまったような。
自分の手も見えず、自分の輪郭すら失ってしまう。
大袈裟ではなく。
私たちは見えないと自分のサイズすら分からなくなる。
どれだけいても目が馴染んで周りが見えることはなかった。
耳が痛くなるほどの真っ暗闇。
ふとそう思うと、
人生で真っ暗だと思う時、そこまで一切の光も見えないときはなかなかないのかもしれない。
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