すべてのよろこびおじさん
人の喜ぶ顔を見るのが好きです。
いきなりこんな綺麗事めいたことを言われて「うわっ、クサっ!」と鼻を覆った方もいるかもしれませんが
先生、本当なんすよ。
別に私のもたらすものによって喜んでほしいとかそういうわけでもない。(まぁそうなれたらそれはそれで嬉しいんだけど、おこがましい話よね。ソレソレ。)
とにかく喜びに溢れた世界であってほしい。
これは多分ずっとブレてない。
本当にミニマルな単位でいいんだ。
例えばほら、駅のホームでビックカメラの大きな紙袋を手に電車を待っているそこの彼。
彼は絶対に今ワクワクしている。
早く家に帰って袋の中身で戯れたい、そんな心の勇み足が見える。
最寄り駅を出たら 白い息を吐きながら家まで駆け足で帰るのかもしれない。玄関に靴を脱ぎ散らかしたまま、目を爛々と輝かせて箱を開封するのかもしれない。そんなことを想像していると自然と笑みがこぼれる。
あとは 美容院から出てきたばかりの彼女。
前髪を揃え、いい感じのセットを施してもらい「アタシ史上一番かわいい」を体現している。
もしかしたらこれから誰かの元へ向かうのだろうか。
いつもより少し高いヒールを履き、角度を決めて誰かの到着を待つのかもしれない。
その誰かも知らない誰かが彼女の変化にすぐ気付いてくれることを勝手に願ったりしている。
あとはアレだ。大戸屋の向かいの席でチキン南蛮をビールで流し込むサラリーマン。
彼は今 全てのしがらみから解き放たれ、味覚に身を委ね 幸福の中を揺蕩っている。
これぞ人生だ、とでも言わんばかりの表情に こちらも負けじと鶏の黒酢あんかけを頬張る。
そうだよ、至って勝手な妄想だよ。
それでもいいじゃないか。
我々は幸せを掴むために生まれてきたんだぜ。
ちなみにいろはちゃんからはセロトニン増幅作用のある物質が常に出ています。
ほら、おいでおいで。
― I love you のある世界へ。