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「【ネタバレ】エヴァの呪いが解けなくて」2022/03/10
エヴァンゲリオンが終わってから1年経ったらしい。
(つまり今日はエヴァの話をするので、ネタバレがあります。)
Q:庵野さんは、実際初号機に乗れと言われたら乗りますか?
— エヴァンゲリオン公式 (@evangelion_co) March 8, 2022
A:乗りません。#シンエヴァ1周年生特番 #シンエヴァ1周年質問集 pic.twitter.com/XqSiQv9qqp
1周年を記念? して、庵野監督が質問に答えるというのをやっていた。
当然興味深く読ませてもらった。
#シンエヴァ1周年質問集#シンエヴァ1周年生特番#庵野さんからお返事
— エヴァンゲリオン公式 (@evangelion_co) March 8, 2022
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Q:マリは奥さんの安野モヨコさんがモデルというのは本当?
A:マリのモデルが妻だと解釈した文章や動画等を散見しますが、それは一部の人の解釈・憶測にすぎません。
庵野監督の意図とは反しているだろうが、恐らく「マリのモデルはモヨコじゃない」というこのツイートがいちばんネットニュースになったのではなかろうか。
そう思うのは、私もマリ=モヨコ説を割かし信じているからだ。
そしてそういう奴は、監督のコメントを読んでも「キャラの性格やらデザインやらはそりゃモヨコと関係無かろうよ。でも『テレビ版エヴァ世界の外から来たものがシンジくんを救って世界が変わった』という構図を庵野が考えたとき、無意識に自分とモヨコのことを投影したはずなんだよ。庵野がそれに気づいてないだけ(※)」みたいなことを言うから、あまり庵野監督のコメントに意味は無い。
※シンジにはくんをつけるくせに庵野監督とモヨコさんさんは呼び捨てなのだ!
まあ、私の意見は流石にそこまで過激派じゃない。
エヴァといえばゴチャゴチャした心理描写やおめでとうエンドなんかが印象深いし、作者の感情的な部分をドぎつく反映して作られたように思いがちだが、今回の一問一答や庵野監督の昔からのインタビューを読んでいると、エヴァはむしろ理性的に、打算的(悪い意味ではなく、クリエイターとしてだけではなく会社の経営者としての視点を失わず)に、サービス精神旺盛に作られている、というのを感じたからだ。
でもじゃあ何故テレビシリーズも旧劇場版もQもあんなになっちまったんだよって話になっちゃうから、庵野監督は気づいてないだけで結構自分の心のうちを作品におぶちまけになってますよ、って思うし、もし本当にそのつもりが無いのでしたらおクリエイターとしてお表現力不足でいらっしゃいますですことよ、とも思う。
それに、ちょっとズルいよね。
ファンが考察などをする余地のある作りにしたと言うけど、自分の家族のことには言及してほしくないんだと言う。でもエヴァンゲリオンが意味不明を「考察の余地のある作り」というラッピングをほどこしてテレビで放送されたときから、考察の材料は作品世界の中のものだけではじゅうぶんと言えなくて。それに庵野監督本人だって絶対、作品にそれを作ったクリエイターや時代背景という文脈を加えて考察することを良しとしてきたろう、と。見たことはないけどこれは絶対って言えるよ!
「シンエヴァ」が、本来14歳のシンジの物語であったのにいつの間にゲンドウの物語になっていたこと、旧版ライクな「謎投げっぱなし」をやめてキレイに風呂敷をたたみきったこと、これらは間違いなく時代の反映であり、そこに生きる庵野監督という人間の反映だった。全く関係が無いとは言わせない。
新劇場版シリーズの公開予定がどんどん押しに押していったら「エヴァをどうすべきか悩んでいるんだな」って思うし、2021年にやっと公開された「シンエヴァ」を見て「ああ、シンジくんと庵野監督のエヴァの呪いは、旧版の世界の外からやってきた者が解いたんだ、庵野監督はモヨコさんと結婚したことでそういう答えを見つけたのかもしれないな」と感じる。心の動きとしてはむしろ自然ですらある。
庵野監督が「考察といえど家族のことには触れてくれるなと思ったからマリのモデルのことだけは公言した」と言うのは、多分一部のヤバい人に向けてのことだと思うんだけど……通常の範囲で「知的な遊び」を楽しんでた人にも冷や水ぶっかけてんじゃねーよと言いたくなってしまった。
作品を世界に発信するというのは、そうやって自分が誤解される覚悟がある者だけしかやるべきではないとすら思う。私はクリエイターの覚悟に関しては過激派だ。詮索されたくないなら一般人として生きるか、せめて作家性が強くて考察しないと面白さがわかんないような作品は作るなと言いたい。モヨコさんだって一般人じゃなく同じ業種のひとなんだし。
ちなみに安野モヨコさんに関しては庵野監督と結婚する前から好きで、昔やってた「美人画報」も持っているので、私の中の先生のイメージは、シゲカヨと「美人画報」当時のオシャレな女性と、あとロンパースである。
(で、ある日「えっWアンノ結婚したんだ!」と驚いたクチ)
なのでマリのパーソナリティや外見などなどがモヨコさんに重なることは無かった。重なると感じるのは「役割」だけで、庵野監督がそれを何十年後にまだ否定していたら、私はそのときやっと納得するだろう。やっぱり過激派じゃねーか!
#シンエヴァ1周年質問集#庵野さんからお返事
— エヴァンゲリオン公式 (@evangelion_co) March 8, 2022
Q:新劇場版と前の劇場版、それぞれ描き終えて感じることの違いは?
A:違いはありません。両作品共に終わった後、大量の悪意に晒された現象は同じでした。あえて違いを言えば、新しい方は作品に関係のない家族が巻き込まれた事です。
#シンエヴァ1周年質問集#シンエヴァ1周年生特番#庵野さんからお返事
— エヴァンゲリオン公式 (@evangelion_co) March 8, 2022
Q:「そのひとが言うと、それが正解になってしまう非関係者なひと」のことをどう思っていますか?
A:迷惑、と思います。
ついでだけど、ここらへんもモヤモヤするなー。
何となく、作品と監督が晒された「悪意」も「迷惑」な人も想像はつくし、それらに関しての庵野監督の考えには賛成なんだけども。
でもあんまり作り手が感想(客)を選ぶのはお行儀の良くない振る舞いに見える。ごはんにシチューをかけたい気持ちはわかるが、やるのは家の中だけにしてくれ。