「個人開発」からはじめたサービスで月140万円の売上を達成するまで
こんにちは、入江慎吾です。2018年6月にオープンしたMENTAはどうにかこうにかで、2020年1月、売上140万円を達成することができました。
動画版はこちら↓
今回は0から1をつくるまでの経緯を振り返っています。5,000文字とずいぶんなボリュームになってしまいました。個人開発している人や、スタートアップをやっている人の参考になればうれしいです。
なぜMENTAをつくったのか
MENTAは2018年の4月に「新規受託開発をやめて、サービスだけに専念する」と決めてから最初につくったものです。
「スキルを教えてくれる人と、教えてもらいたい人を結び付けれないか」というのが最初のアイデアでした。
僕もプログラミングをはじめた時に、先輩がいたから「わからないことがあれば最終的に先輩に聞けば解決する」という安心感をもてました。そのおかげで、いつまでも時間を消耗することもなかったのです。
そういうサービスあるのかな、と調べたところ、ココナラとかタイムチケットがでてきたんですが、どれも「単発」で相談するものでした。でも、僕がつくりたかったのは「質問し放題」な環境です。単発ではなく、ずーっとつづく関係。師匠をさがせるサービスにしたかった。
つねに後ろについてもらっていて、困った時に相談できる存在。この環境をオンラインでマッチングできるようにしたかったのでした。
とはいえ「よし、やろう」と決めてスタートしたものの、完成するまでの2ヶ月は失敗したらどうしよう、という不安に襲われつつ、それをかき消すように開発に没頭していました。だしてみるまでどうなるかわからない。
僕がつくったものもそうですが、自分の「原体験」に結びついているほどリアルにユーザーを想像できるため的をはずしません。自分が課題に感じていることを解決するサービスをつくる、といいのではないでしょうか。
テストユーザーを募集する
MENTAはプラットフォームサービスです。教える人と教えてもらう人がいないと契約してもらえません。そのためにはまず、教えてくれる先生を探さなきゃいけない、と思い、このサービスを使ってみたい人をTwitterで募集することを思いつきます。
そして、実際に試したところ、200名近くの方に事前に参加していただくことができました。(50名で考えていたのですが、それ以上の反響でした)
これで、ひとまず「オープンした時に先生がいない」問題を解決できました。同じようにマッチングするようなサービスの場合、先にコンテンツとなるものを集めておく必要があります。いくらシステムがよくても使ってくれる人がいなければ失敗します。
今回のように募集をかけたり、知り合いや、ターゲットとなる属性の人をさがしてDMを送ってお誘いするという手があります。
オープン初日にバズる
オープンするときには、すごく不安でした。SNSに公開して反応が薄かったら怖いな…という気持ちもありました。
ふたをあけてみると、初日は8,000人近くもアクセスがありました。
事前にメンターさんも200名登録してくれていたこともあり、広めることに協力してもらえたことが大きかったと思います。あとは事前に開発の様子などを公開していたので応援してもらえました。ありがたい。
そして、なんと初日から9万円の流通がありました(売上は1.5万円ほど)。額よりも、契約がされたことに感動しました。いくら、いいね!と言われても本当にお金をはらってくれるかどうかはわかりません。売れてはじめて、価値・ニーズがあるのだ、ということを証明できます。
いま反省するのは事前にメディア関係者のTwitterをさがして個別にDMでアプローチしておけばよかったということ。せっかくのオープンのタイミングでメディアにとりあげてもらえていたら。
初月の流通額は約70万ほど。売上は約12万円。初月から売上があることは期待していなかったので、驚きました。本当に契約されるのか半信半疑でもあったからです。いいスタートを切ることができました。
今言えるのはオープンしてからやることは「集客」じゃないということです。個人でどんなに集客を頑張っても限界があります。たいした集客はできないので割り切ってしまうこと。プレスリリースはだしてもいいけど期待しない。
それより、10人でも、20人でも使ってくれる人があらわれるはずなので、その人達の動きや話を聞くことのほうが大事です。自分がつくったものの方向性はこのままでいいのか、間違ってないのかを知るために。
キャンペーンの失敗
この時に失敗したのは集客をやらなきゃ、という焦りでキャンペーンをやったことです。「キャンペーン月に教えた人数が一番多かったメンターさんに賞金10万円をプレゼント」という企画だったんですが、メンターさんが全然のってくれず、盛り上がることなく終わりました。
その後もキャンペーンは何度か試したんですが、安易にやってしまうのは失敗のもと。やるなら、かんたんに参加できるものにすること。上のキャンペーンは具体的にやることがハッキリしないので、参加して動くというハードルが高くなってしまっています。
たとえば「ツイートするだけで●円クーポンゲット」とか、単純なもので、アクションがハッキリするキャンペーンじゃないと動いてもらえません。失敗から学んだのは「なるべくシンプルなものにする」ことです。
ユーザーが減っていく日々。危機感。
初日こそバズりましたが、2ヶ月目の売上もほぼ同じ70万円になりました。サブスクモデルで増えていかないのはまずい、このままだと下がっていってしまうと思いました。
上のアクセスみると怖さがわかると思います。ユーザー数が3分の1近くに減っています。日に日にアクセスが落ちていくのを見るのは、かなり精神的にきつかったです。
ここから、場当たり的なことを繰り返しています・・・
↑福岡在住でオンライン飲み会に。オンラインだとマンツーマンでの会話になってしまい、うまく話すこともできず、気まづい空気が流れました。
↑polcaで集まらず1人しか支援できず。
とにかく動いてどうにかしなきゃ、という焦りがありました。公式ツイッターはじめたり、KPI設定してみたり、思いつくかぎりのことをなんでも試していました。いま、ふりかえってみれば、使ってくれて残っているユーザーさんと向き合って機能を改善していったり、もっと本質的な戦略を考えればよかったと思っています。成長を急がないこと。
新規の集客ばかり考えるのではなく、ユーザーさんにメッセージを送って意見を聞いてみるとか、今使っているユーザーさんを中心にした施策を打つべきでした。
唯一よかったことは、実際に自分が教えてほしいメンターさんを探して契約したこと。これは定期的にやっています。例えばマーケティングなどアドバイスをもらったり。自分自身が使うことで、使いづらい点などを改善することもできました。
プログラミング特化で活路を見出す
5ヶ月目、流通額も100万を突破。じわじわと増えてきました。この時期におおきな方向づけを決定しています。
それは、ここまで運用してきて、登録してくれているメンターさん、ほぼ「プログラミング」を教える方ばかりだったということです。
そして、Twitterで検索しても
・progateをやった後の実践にメンターをつけるといい
・ポートフォリオをつくるのにいい
・自走+メンターをつける方が良い
・プログラミングスクールより格安に学べる
というような声を多く聞くようになってきました。だいたい同じようなパターン=MENTAのイメージができあがっている、ということ。
ユーザーが増えてきて運用していく中で、自然に目指すべき方向が固まりました。これにあわせて、トップページもプログラミング初心者に向けて変更。
より一層、プログラミングメンターが集まり、プログラミングを教えてほしいメンティーが集まってくるようになりました。
最初に自分が考えていたものは、ジャンルに限らず師匠と弟子をみつけるサービスだったんですが、ニッチに特化することでユーザーが集まりやすくなるのだ、ということを学びました。
僕はここがPMF(プロダクトマーケットフィット)だったと思っています。ここからは、自然な流れで流通額が増えていったからです。
上は去年の9月時点のグラフなのですが、現在はユーザー数は10,000人に増え、流通額も900万を超えています。流れが加速したのはやはりプログラミングへの特化を打ち出していった、2019年1月くらいから。
ここからは、口コミで使ってくれるユーザーが広がっていきました。
サービスをどうやって成長させていくか
MENTAでこれから実現したいのは、メンタリングだけではなく、スキルを中心とした個人のマネタイズです。
個人がスキルを手に入れ、自分の好きな働き方を実現できる世の中になればと考えています。そのために、スキルをスコアで可視化したり、仕事の受発注ができるものへと拡大していく予定です。
自分もひとりのエンジニアとして、フリーランスで生きてきて、このようなサービスがほしかった、と思えるものです。案件ベースの価格の叩き合いではなく、「個人」ベースで仕事や相談をする、それができるサービスにしていきたいです。
集客面でいえば、去年の5月にリリースした「投稿」機能は大きかったです。
これはユーザーがコンテンツを投稿できる機能なんですが、メンターはやっていることや技術的なことを投稿すればスキルの可視化になり、契約がはいりやすくなります。メンティーは「メンター募集」として教えてほしいスキルを募集することができ、募集をかけるとメンターさんから提案が入るようになっています。
この機能はSEO効果もあり、コンテンツが増えるほど、Googleから新しいユーザーを連れてきてくれます。
サービスを作る場合、コンテンツが自動で増えていく仕組みをつくることは大切です。それは運営者がやるとコスト的にも限界があります。ユーザー自身につくってもらうこと。
CGMと呼ばれますが、SNSも個人が書き込むことでコンテンツが生まれます。コンテンツをつくるのには理由があってメリットがあります。ユーザーにとってメリットがあるような仕組みを設計するのがポイントだと思います。
「個人」から「チーム」へ
去年の後半くらいから、開発スピードや対応に限界を感じ、チームをつくりはじめました。
エンジニア、デザイナー、顧客サポート、サーバー対応など、各専門のメンバーにアウトソーシングしてチームをつくっています。
そしてなんとメンバーのほとんどはMENTAのメンターさん達で結成されてるのです。それぞれお声がけさせてもらい、リモートで関わってくれています。自分でつくったサービスで集まったユーザーさん自身に開発を手伝ってもらうという、すごい体験をしてます。
ここから、僕の仕事は開発することから「何をやるのか方向や施策を考える」ことになりました。PRにも時間を使えるようになりました。こうやってサービスについての記事を書くことも、そのひとつです。YouTubeもはじめています。
MENTAの開発は僕より技術があるメンバーにまかせることができるようになりました。このことで、次にやるべき施策も30個くらいすでに準備しています。あとはつくるだけ。任せることができる、というのは本当にいいことです。
時間をつくることができたので、もうひとつ、自分がつくりたかったサービスを作り始めることを決めました。
PMF達成までが苦労する
サービスをつくって立ち上げた初期のころは、応援してくれる友人だったり、注目だけでユーザーが集まってくれますが、数ヶ月たってからが勝負でした。そこで、継続してユーザーさんに使ってもらえるか、口コミで次のユーザーさんが増えていくか。ここ次第。
でも、出してみなきゃわからないことです。自分がつくりたいものがあるならつくって世にだしてみる。あとはユーザーの声を聞いてがんばってみる。それでダメなら仕方がない。方向転換してがんばるか、別の案にとりかかるか、です。
ダメだったとしても次に活かせる経験になります。僕もめちゃくちゃ失敗ばかりしてきました。いまつくっているサービスも当たるかどうか、わかりません。でもやる、のみ。それでも、宝くじより確率は高い。つくりましょう。
この記事がサービスを作ろうとしている人、作っている人の助けになればうれしく思います。
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