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AIが量産する「没個性」コンテンツ

こんにちは、入江慎吾です。

近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの登場により、誰でも簡単に文章や画像、音楽などのコンテンツを作成できるようになりました。

この技術革新は、個人レベルでも「AI副業」という新たなトレンドを生み出し、アフィリエイトや情報商材作成などを目的としたコンテンツが大量に生産されています。

しかし、これらのAI生成コンテンツの多くは、残念ながら低品質で没個性的です。

例えば、「最新のダイエット方法5選」という記事をAIに書かせると、ありきたりな情報が羅列され、読者の心に響くような独自性や具体的な体験談が欠如していることがほとんどです。

このようなAIコンテンツが溢れかえることで、本当に価値のある情報が埋もれてしまう可能性があります。YouTubeやSNS、ブログなど、情報過多の現代において、ユーザーは質の高いコンテンツにたどり着くのがますます困難になるでしょう。

AIコンテンツが没個性的である理由

そもそもAIが生成するコンテンツが没個性的である理由は、その仕組みと限界にあります。AIは、膨大なデータからパターンを学習し、それに基づいて新しいコンテンツを生成する「言語モデル」です。

そのため、AIは大量の情報を処理し、文章を流暢に生成することは得意ですが、人間のようには文脈を理解したり、感情やニュアンスを表現することができません。

また、AIは事実とは異なる情報を生成する「ハルシネーション」と呼ばれる問題も抱えています。さらに、AIが生成するコンテンツは、学習データに含まれる著作物を無許可で使用している可能性があり、知的財産権の侵害につながる懸念も存在します。

なぜ人がつくったコンテンツがおもしろいのか

AIがどんなに進化しても、人の心を揺さぶるコンテンツを生み出せるのは、やはり人間だけです。なぜなら、人間が作るコンテンツには、AIには真似できない魅力があるからです。

それは、個人の経験や視点、感情、そして「体温」が込められているからです。これは経験やストーリーがないAIには無理な話です。

例えば、あなたが感動した映画や小説、心を揺さぶられた音楽を思い出してみてください。それらの作品に共通しているのは、作り手の「想い」や「葛藤」「喜び」「悲しみ」といった感情が表現されていることです。とりわけ文章にはこれらがダイレクトに反映されます。

AIは、論理的な文章や美しい画像を生成することはできますが、そこに人間の「心」を吹き込むことはできません。

人が作るコンテンツの魅力は、以下の要素に集約されます。

  1. 独自性: 一人ひとりの人間が持つ経験や価値観は異なります。そのため、人間が作るコンテンツには、AIにはないオリジナリティが生まれます。

  2. 共感性: 人間は、他人の感情や経験に共感することができます。喜びや悲しみ、怒りや不安といった感情を共有することで、私たちは作品に深く感情移入し、心を動かされます。

  3. ストーリー性: 人間は、物語を紡ぎ、それを共有することで、文化や歴史を築いてきました。AIは情報を整理し、文章を生成することはできますが、人間のように物語を創造することはできません。

  4. 不完全さ: 完璧な人間はいません。失敗や挫折、葛藤や迷いといった経験を通して、私たちは成長し、人間としての深みを増していきます。AIは完璧なアウトプットを目指しますが、人間が作るコンテンツには、不完全さゆえの美しさや魅力があります。

  5. 体温: AIが生成するコンテンツは、どれだけ洗練されていても、どこか冷たく、無機質に感じられることがあります。人間が作るコンテンツには、作り手の情熱やこだわり、そして「体温」が感じられます。

これらの要素が複雑に絡み合い、人の心を揺さぶるコンテンツが生まれます。

AIは、コンテンツ作成における強力なツールですが、人間の創造性を超えることはできません。

私たちは、AIの力を借りながらも、人間ならではの感性や創造性を活かすことで、より魅力的なコンテンツを生み出していくことができるでしょう。

AIコンテンツをどう見分けるか

もちろんAIコンテンツの増加に伴い、それを識別するための技術も進化しています。いくつかの検出方法を組み合わせることで、AIが生成したコンテンツかどうかを高い精度で見分けることが可能になっています。

1. パターン認識

AI生成コンテンツは、特定のパターンや表現の繰り返しが見られる傾向があります。人間が書く文章は、文体や語彙の選択に個性が出ますが、AIは学習データに基づいて平均的な文章を生成するため、独特の癖や不自然な繰り返しが見られることがあります。

2. AIコンテンツ検出ツール

AI技術を用いてAIコンテンツを自動的に検出するツールも登場しています。これらのツールは、自然言語処理や機械学習を用いて、テキストの特徴を分析し、人間が書いたものか、AIが生成したものかを判定します。

3. 電子透かし(ウォーターマーク)技術

AI生成コンテンツに電子透かしを埋め込むことで、そのコンテンツがAIによって作成されたことを識別する技術も注目されています。電子透かしは、人間には見えない形でコンテンツに情報を埋め込む技術で、コンテンツの真正性や出所を証明するために利用されます。

電子透かし技術の例としては、Google DeepMindが開発した「SynthID」があります。SynthIDは、AI生成画像に電子透かしを埋め込むツールで、画像の編集や加工を加えても透かしを検出できることが特徴です。

その他にも、日立製作所はAI生成テキストに多重電子透かしを入れる技術を開発し、メリーランド大学の研究チームはLLMの出力テキストに電子透かしを入れるフレームワークを提案しています。これらの技術は、AI生成コンテンツの識別精度を高め、悪用を防ぐために重要な役割を果たすと期待されています。

4. アルゴリズムの透明性と倫理ガイドライン

AIコンテンツ生成のリスクを適切に管理するためには、AIのアルゴリズムの透明性を高め、倫理観に基づくガイドラインを整備していくことが重要です。AI開発者は、AIが生成するコンテンツの品質や信頼性を確保するために、責任ある開発と運用を行う必要があります。

ユーザー側も、AI生成コンテンツの可能性と限界を理解し、情報源を確認するなど、批判的な思考力をもってコンテンツに触れることが重要です。

AIコンテンツ判別サービスもある

AIコンテンツの検出技術の発展に伴い、AIが書いたかどうかを判別するためのサービスも登場しています。これらのサービスは、主に教育機関や企業において、コンテンツのオリジナリティや信頼性を確認するために利用されています。

GPTZero

GPTZeroは、OpenAIが開発したChatGPTなどの言語モデルによって生成されたテキストを検出するサービスです。高精度で迅速な処理が特徴で、教育機関では学生のレポートや論文のオリジナリティチェックに、企業ではマーケティング資料やプレスリリースなどのコンテンツの信頼性確認に活用されています。

Copyleaks

Copyleaksは、AI生成コンテンツの検出に特化したサービスで、多言語に対応していることが特徴です。99.1%という高い精度でAI生成テキストを検出できるだけでなく、AIが生成したソースコードも検出することができます。

GLTR (Giant Language Model Test Room)

GLTRは、AI生成テキストを視覚的に識別するためのツールです。英文に特化しており、各単語の予測確率を示すことで、AIが生成したテキストの特徴を可視化します。

生成AIはクリエイターを支えるツール

AIコンテンツの課題とリスクが顕在化する一方で、生成AIはコンテンツ作成における大きな可能性を秘めています。

それは、単に大量のコンテンツを生成するのではなく、 人間の創造性を拡張し、より質の高い、個性的なコンテンツを生み出すためのツールとして活用することです。

例えば、生成AIは以下のような役割を果たすことができます。

  • ライターのアイデア考案や文章構成のサポート

  • デザイナーの創作活動支援やデザイン案の提案

  • プログラマーのコーディング支援やバグ修正の提案

AIは、膨大なデータからパターンや知識を学習し、人間では思いつかないようなアイデアや表現を提案することができます。また、AIは、文法やスペルミスなどを自動的に修正するなど、コンテンツの品質向上にも貢献できます。

さらに、生成AIは、人間の経験や視点を増幅させることで、より魅力的なコンテンツ作成を支援することができます。例えば、旅行記を作成する場合、AIに過去の旅行写真を分析させ、それに基づいた文章やストーリーを生成させることができます。

オートロンでももちろんこのようなクリエイティブをサポートするAIアシスタントを提供しています。

AIと協創するコンテンツ

生成AIは、コンテンツのあり方を大きく変えようとしています。AI技術の進化は、私たちに新たな可能性をもたらす一方で、課題やリスクも突きつけています。

重要なのは、AIの特性を正しく理解し、適切に活用していくことです。AIはあくまでもツールであり、人間の創造性を代替するものではありません。AIの力を借りながら、人間の経験や感性、創造性を融合させることで、より質の高い、個性的なコンテンツを生み出すことができるはずです。

そして、コンテンツの未来は、AI技術と人間の創造性の融合によって、より豊かで多様なものになっていくでしょう。

この記事も生成AIと人の協創でつくったコンテンツです

もともとの内容はXでのつぶやきでした。

これをベースにオートロンでアシスタントをつくり質問をしてもらったり、必要な情報をGensparkで調べて渡してまとめたりして、最終的に記事を作成していきました。だいたい1時間くらいかかっています。

しかし、自分だけでこの内容まで膨らませられたかといえば無理だったと断言できます。このように思い付いた気付きをふくらませ、ひとつのコンテンツとして昇華させるような生成AIの使い方をこれからも模索していこうと思っています。

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