~高くても喜んで選ばれる、お客様の心を動かす価値~
前回、マーケティングの3つの価値についてお話ししました。
・機能的価値
・情緒的価値
・自己表現的価値
言葉で書くと難しそうなので
私の好きなブランドを例に挙げて
3つの価値の違いをお伝えします。
🔸Apple
世の中にAppleファンは多いですが
私も2006年の初代MacBook以来、
ずっとMacを使い続けています。
当時の価格は498,000円!
Bang & OlufsenでAppleの仕事をしていた関係で
社割で購入できましたが、それ以来、10台以上の
Macと一緒に仕事をしてきました。
iPhoneも日本初導入のiPhone 3Gからずっと。
機能もチェックするけど
MacとWindowsを比べることはあり得ません。
Macなしでは仕事はできないし
iPhoneのない人生は考えられない。
常にMac、iPad、iPhoneが
手元にあります。
今は、どのソフトも使えるけれど
Macでないとできない仕事も
たくさんこなしてきました。
だから私にとっては、
Appleというだけで心が動く
情緒的価値もあれば
Appleで自己表現してきたので
自己表現価値もApple一択!
🔸Bang & Olufsen
もう一つは、やっぱり前職のバング&オルフセン。
日本のオーディオメーカーは
いつも新機能の開発や様々な機能アップで
スペックを競ってます。
ノイズ除去が〇〇デシベル改善とか
世界最小,最速とかそんな機能的価値で
競い合っています。
でも、バング&オルフセンは、
音楽好きな家族のためにボタンひとつで
最高の音楽に満たされる生活を
お届けします。
デンマーク本社の社長が
取材の時によくこんな話をしていました。
『私はアルファロメオが好きでずっと乗ってます。
当社と同じ価値観を感じます。
例えば、トヨタのディーラーに行くと
パワーやら、燃費やら、スピード、
特別価格やら、ひとしきり聞かない
と試乗もできない。
でも,アルファロメオのディラーは違います。
今日はどれが気になりますか?と聞いたら、
「さあどうぞ」とキーを渡してくれます。
バング&オルフセンも同じです。
好きな音楽のジャンルを聞くと
「さあ,音楽の世界へようこそ」と
リモコンをお渡しします。
ゆったりソファに腰掛けて
好きなだけ音楽の世界を
楽しんでください。』
これが情緒的価値ですね。
機能的価値はもちろん必要だけど
決めては心惹かれるかどうか。
人生になくてはならない存在と
よく言われました。
こんなこともありました。
レインボーブリッジを望む
高層マンションにお住まいのお客様。
米国で長く仕事をした後,
帰国されてアメリカの某メーカの商品を
買おうとしたら,息子さんから
それはお父さんには合わない。
お父さんの品格に合うのは
絶対、バング&オルフセンだと
断言されて、名前は知らなかったけど
即決したそう。
機能で選ぼうとしていたけれど
息子さんの紹介で出会ったブランドで
自己表現的価値を満たされ
長く愛用いただいています。
お家を訪れる お客様は
「さすが」と褒めてくださるか、
見て驚き、聞いて驚き
賞賛されるそう。
お客様から直接お聞きした話です。
🔸 これからのマーケティング戦略のヒント
もうこれからは、機能的価値だけでは
選ばれません。
全ての機能を網羅的に備えるのではなく、
あえて機能を絞って、
シンプルに使いやすくする
という選択肢もあります。
ご自分の会社の商品で
誰にどんな価値を提供したいか
ぜひ社員の方と考えてください。
もう一つの事例です。
安いから地域から選ばれると
価格訴求ばかりしていた葬儀屋さん
お客様からの何十枚ものアンケートには
どれも社員の方がいつも寄り添ってくれて
嬉しかったと感謝の言葉に溢れてました。
それなのに
安売りばかりしたらもったいない。
自分たちの価値を
お客様に聞いてください。
社員に聞いてください。
そして求めるお客様に
正しく伝えてください。
どの会社においても、
自社の商品・サービスの
情緒的価値は何?
自己表現的価値は何?と伝えることが
選ばれるブランディングの秘訣です。