ミストレスケイコより娘へ 回想(短文)
愛さん。まずペイジやスレイブがあなたにおさめるお金はピン札で向きを揃えてあるのが当たり前。あなたに、お釣りが出るような手間をかけさせる、ヨレヨレのお札が混ざっていたり、お札の向きが揃っていないなどあってはならない。
そのような僕は鞭打ちにするか、続くようなら追放しなければならない。一事は万事です。主人にリスペクトのない従者は不要です。
部屋の温度や湿度は愛さんが到着する前に整えてあるのが当然で、それができていないペイジはきっちり躾ておかなければならない。よく覚えておきなさい。
こういった当然のことができていないやつがどんなに言葉で遜っても見え透いていて意味はない。せいぜい風俗クラブを通してしかmistressに会うことはできない。
わたしが場所を去る時、部屋の片付けなどはスレイブがするものであって、わたしがすることではない。道具は調教を受ける本人が用意し管理するもの。
「手入れはわたしが自らしたいのです」
「それは個体や道具次第ですね。あなたが手入れすべきものもありますから」
「愛さん。ただしあなたが汚れ物を片付けるような真似はおよしなさい。そんなことは、mistressの仕事ではありません。」
わたしは今mistress ケイコの残した言葉やノートを読み返している。それを、自分の言葉に変えてみる。しっくりくる。
若い頃SMクラブでやっていた時には経験として足りなく言葉がわたしに馴染むことがまだわからなかったが、今ならわかる。
傷口に塩をぬるようなことを!
「しておやりなさい、愛さん。」