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『HiMERU』という存在はやっぱり偶像に過ぎないのかもしれない

私はあんさんぶるスターズ‼のHiMERUというキャラクターが好きだ。
常に冷静沈着、完璧なパフォーマンス、繊細な歌声……
好きなところを上げていけばキリがない。
けれども、彼は本当に常に冷静なのか、本当に常に完璧なパフォーマンスをするのか、時折そんな疑問が脳裏によぎる。
もちろん人間なのだから『いつも』『絶対に』ということはあり得ない。そして二次元の『読み手』がいるのならその絶対性を崩して初めて困難にあたり、彼らに感情移入をしてもらう必要がある。ただ、HiMERUのそれは、決してそういうわけではないと思うのだ。


『追憶*遊色が奏でるオブリガート』

やはりHiMERUについて語るならばこのイベントは欠かせない。
盛大なネタバレを含みます。
また、ダイジェストになりますので、既に読み終えている方は飛ばしていただいても大丈夫です。

十条要

『HiMERU』という偶像の演じ手は二人いる。
一人目が十条要。二人目(現在のCrazy:BのHiMERU)が要の兄である。

要くん
立ち絵

アイドル育成のための玲明学園で優れた生徒にしかなれない『特待生』であったがなんらかのミスをし『非特待生』となってしまった少年である。
そして彼が何者かの助けにより再びアイドルとして脚光を浴びるようになる。その何者とは、すなわち要の腹違いの兄弟である。

お兄ちゃん

要に扮した兄

彼の本名については明言されていない。
要に出会う前は海外にわたりなんでも屋として活動していた、とある人物から変装のテクニックを学んでいた~ぐらいの情報しかない。
本当の素顔も、性格も何もかも分からない。
そんな彼がどうして要の援助をしたのか。

個人的な意見を言うなら〝依存〟だと思った。

生まれた時からずっと一人、頼れる人もいなく、孤独に生きてきた彼に始めてできた『弟』。そんな彼は自分の事を慕ってくれた。自分と同じように孤独だった要に同情した。そして要を助けることが兄のアイデンティティのようなものになっていたのではないだろうか。

ここら辺いつ読んでも泣いてしまう。

諸々あって(詳しくは本編を読んでください)、元のようにアイドルとして活動できなくなった弟の居場所を守ることを決意した兄。

つまり今私たちが見ている『HiMERU』は〝要の兄が演じている二人で描いたはずの理想のアイドル像〟なのである。

兄とHiMERU

日常でのHiMERUの行動は兄の意志ではなく、兄が解釈したHiMERU像である。
例えばまずい栄養ドリンクを飲んだ時、

中の人(=兄)が出るときは一人称が『俺』になる

つまり本来の兄であればここで咽る。けれども『HiMERU』はそんなことをしないからと自我を殺す。

兄が求めているのはみんなから愛される=祝福を受ける要……なのかもしれない

だから兄が自分(が演じているHiMERU)について語るときにおかしなことが起こる。

イベスト読むときはDMM版の時もあるのでスクショが変ですが気にしないで下さい

燐音は『HiMERU』の事情を理解しているので、いちいちそれを突っ込まない。(あえてからかうときもあるけど)
何も知らない桜河は『HiMERU』と『兄』のギャップを「変」というのだ。
それくらい兄と『HiMERU』は本来乖離したものなのかもしれない。

我々またはライターとHiMERU

要約すると
HiMERU:完璧な人
兄:完璧を求める人、弟のことを大切に思っている(私なりに言い換えるなら依存)
である。
そしてたまにストーリーを読んでいて(これはHiMERUではない、兄にしても違うような)という謎の現象が起こる。これがHiMERUという偶像の見方の違いだと思う。

例えば色々波紋を呼んだマトリックスのこの台詞。個人的には「なんか違う」と感じた。
何故か押し付けがましいというか、兄としての自我が強すぎるような。オブリガードの時には〝共に歩もう〟と呼びかけるようだったのにこれではただの独りよがりだ。
そもそもこの前後の会話は〝アイドル業界について〟であり、兄は急に要のことを思い出して彼に語りかけるのだろうか?当時のTwitterで見かけた意見だが、あまりにもオブリガードに進展が無く、合同イベントにそれを求めていたオタクが多かったためノルマのように強引にねじ込んだセリフだったのだろうか。そうでもないと色々と不自然だと感じた。

あと1番は巽へのあたりではないだろうか。
要は〝もう一人の神様〟のように巽を慕っていた。彼のことを「巽先輩」と呼び瞳を輝かせながら話を聞いていたのだろう。しかし兄は巽への憎悪で溢れきっている。

兄は巽のことをそのまま「巽」と呼び捨てにしている。巽も呼び名が変わったことに気づいている。

もう巽はHiMERUが要ではないことに気づいているのではないだろうか。

あんスタゼミナールより

もう比較的鈍感な方であるはずのジュンにまで疑問を持たれてしまっているのは大丈夫なのだろうか。察しのいい人ならとっくの昔にHiMERUが別人になっていると気づいてしまっているのではないか。そして私が誰を推してるのか分からなくなってしまったときは大体HiMERUと巽の関係性を考えた時である。運営と盛大な解釈違いを起こしているのだ。

あからさまに反応しちゃったよ

兄が兄であるストーリー

解釈が一致しないものを述べてしまったが私は兄の自我が出るストーリーが好きである。というか最終的な終着点としては兄がHiMERUという偶像から離れ、自信を持ってCrazy:BのHiMERUだと名乗れるようになってもらうことを思い描いている。もっと自分を誇っていいと思うのだ。
ちなみにここからはただのHiMERU大好き限界脳死一般プロデューサーの布教行為のようなものなので読むのをやめてしまっても構わない。

そんな兄が本音をこぼすイベストを紹介する。

①攻略!迷宮結ぶアリアドネの糸

ソロアイドルであったはずのHiMERUが今の仲間をとるか過去をとるか葛藤し、仲間に背中を押してもらう話です。こはくでも燐音でもなくニキがHiMERUの求めている言葉をかけてあげたのが仲間なんだな……としみじみ。

一度はアイドルになるという夢を諦めた燐音を隣で見てきたニキが言うとグッとくる……
素直になる兄
誇らしげなニキが好き

兄自身もHiMERUでありつつ、誰よりも『HiMERU』が好きなんだなと感じさせられます。


↓あんスタ史上好きなところです

個人的には兄の要君に対する思いはこれが正解だと思う。ピンチヒッターとかではなく、ちゃんと地に根を張り、歌い続ける。もちろん解釈の仕方は人それぞれだけど私はこれが好き。(逆にマトリックスはアリアドネの後の話だから意味がわからなくなる)

曲も好きです。聴いてください。

歌詞を、歌詞にも注目してください。
これは要が歌うための曲をCrazy:B(=兄)のためにブラッシュアップしたものなので、時折要を指しているような歌詞が出てくる。

沈黙に
ただ独り
残されたまま

指先のアリアドネ

ES一年の春に病室にいる時の兄の話なのかなって思います。要の目が覚めないからただ黙って横にいるだけ。また孤独に戻ったのか、という悲しい雰囲気が漂ってくる。
1番好きなのはサビの部分。

アリアドネ 謎めく迷宮の彼方で必ず会おう
手繰り寄せる赤い糸は
今も繋がっている
交わした約束とともに迎えに行くよ
あの日秘めた熱が
溢れるほどに導く

指先のアリアドネ

謎めく迷宮の彼方というのは要の混濁する意識のその先=目が覚めた時を指してるのかなと。

手繰り寄せる赤い糸と言われると運命の赤い糸というものを連想させられますが、恋人同士というよりは兄と要の繋がり。兄は要とロクな会話ができず、知ることができなかった。こうして自分自身がアイドルになることで少しずつ要が見ていた景色を知る=手繰り寄せる。

今も繋がっているというのは要と兄というのもありますが、要と兄が演じている『HiMERU』が同じ、つまりいつでも要は『HiMERU』に戻れるよという呼びかけ。

交わした約束というのは兄が一方的に結んだものではないだろうか。HiMERU(要が演じる)を本物のアイドルにするというのは電話で話してる時に言ったのかもしれないが、その言葉は要を失って初めてより重みが湧いたのだろう……と思います。この迎えに行くよは、要が目が覚めるまで待ってるの延長的なものなのかなと。

あの日秘めた熱〜は、勝手な想像ですが初めて要の歌う曲を聴いた時の兄の興奮というか感動なのではないでしょうか。もちろん要の境遇に感情移入したからというのもありますが、だったら兄は要のアイドル活動をやめさせて金銭面でだけ援助をすればよかったはず。なのにわざわざアイドルとして要、すなわちHiMERUを支えようと思ったぐらいにはHiMERUは魅力があった存在、いうならばダイヤの原石だったのでは……。

こう、最後まで歌詞を読んでいただければ分かるのですが本当に終始誰かに当てた歌なんです。ただこれをHiMERU一人で歌ったなら単純に要へと歌った曲なのですが、ユニット曲なんですよね。これ。
全員で謎めく迷宮の彼方で会おうと歌っている、この時兄は要のことを浮かべていただろうけど、他の3人はどうなのか。
燐音はHiMERUではない兄のことを浮かべていたのではないか。要の目が覚めたら兄はもうHiMERUとして振る舞う必要はない。そしてその瞬間はいつ来るか分からない。彼方には現在から遠く離れた時間という意味もあるのでいつになるか分からないけどちゃんと本音で話したいという思い。
こはくは純粋に今回のイベントでのことだと思います。イベスト内では迷宮を探索し、途中で諸々ありこはくはリタイヤとなってしまいます。最後まで残ったHiMERUとニキに会えるのは迷宮の出口になるので純粋な距離的な意味の彼方。
ニキは歌詞のままだったのではないかな。誰が誰のためにやっているかは分からない、そこまでは考えない。ただ仲間の大切な曲だから歌う。それぐらいまっすぐな人だし……。
本当にバラバラな人たちだけど、うまくバランスが取れてていい仲間だよ……本当に(さっと涙を拭う)。

②召しませ/ナイトクラブ

兄であるひなたと燐音、弟であるゆうたと弟がいるHiMERUで仲良くなるのがいいなと思いました。

ドヤ顔


息ぴったり

マトリックスはもうオタクの集団幻覚だと思っているのあんまりカウントしたくないのですが、HiMERUはその時も一彩を可愛がっていたので基本的に〝弟〟に甘いのかもしれません。もしくは甘くできなかった反動か。
このイベストは2wink側、Crazy:B側それぞれで問題が出てそれを解決するのですが今回はHiMERUに焦点を置いたものでした。
ソロアイドルとユニットで活動するギャップに悩み、やがてはソロアイドルに戻りたいというHiMERUとそれは無理だと止める燐音の構図。これならHiMERUが⭐︎5でもいいような気がするけどそうではない。最後まで読むと燐音は偉大と言うオチになる。

過去には戻れない。

これはアイドルとして一度挫折を味わい、もう一度再開した時にはアイドルとは正反対の立場となり、なにもかも捨てようとして、それでも仲間に引き止められて戻ってきて本当にまたアイドルになろうと思った彼が言うから価値がある言葉なんだなあと。そして兄の事情を理解した最大の理解者だからこそである。

HiMERUの顔は完璧なので半目などあり得ないのです。

自分が見つけた居場所に対して誇らしげで嬉しそう。居場所がなかった(=ソロアイドル)だったHiMERUに乱暴なやり方だったけど居場所(=Crazy:B )を与えた。ああリーダーだなって思う。本当に。
あとでまた触れるけどクレビのみんなってずっと一人で生きてきた人たちで、春の時もすぐに家族みたいになったALKALOIDとは違いバラバラだった彼らが今はこうして少しずつ仲間になりつつあるのが本当にいいなと思う。

そして最後の兄。

ちなみにこの哀しいことも辛いこともあったっていつの話をしてるんですかね。要に出会った時は特に特出して哀しい出来事はない、ただ幸せ?だったんだろうし、要がアイドルとして活動できなくなってからソロとして活動する時があったとしてもそれは幸せではないし、春以降の話は違うし……?

素直じゃないからクレビのみんなと舞台に立てて嬉しいとは言えない。けれども本当に心底から「幸せで、楽しいと」なんて呟きが漏れる。ただ幸せなだけじゃなくて楽しい。これはもうアイドルしての兄の自我ですよね。なんだかんだ言って楽しんじゃってる。
もういいよ、一生キラキラのアイドルをやっててほしい。

この背中を見せるポージングが燐音や仲間に背中を預けられるようになったことの暗示みたいで好き

おまけ

変な発言はするなって言ったそばからだよ。

③すごろく旅!BGMはナンバーエイト

クライマックスイベント。
たまにクライベの割には中身がなかったという意見も見かけた。その度に私は「まあ春に合同大型があるから……」と言い聞かせてきたけどそういうわけではなかったらしい。本当に一般通過合同イベント。思うところがあるのでまた今度改めて書こうと思いますけど。
私自身はこのイベント好きでした。というかあんスタを始めて間もない頃になんか興味ある人がいるユニットのイベント来たなーぐらいのテンションで、学校の試験と被ったのでHiMERU一枚どりで力尽きました。当時は星5カードなんてキラキラスバルぐらいしかなかったので本当に勘弁してもらいたかった。
ストーリーをスクショするという概念がなかった人が唯一撮ったもの↓

あんまりメインストというかクレビのイベストを読めてなかったのですごく困惑しながら撮った記憶。今なら言えるそれが平常運転だ。
また端折りますが事情があって燐音がろくに活動ができなくなったので代わりに指揮を取るHiMERUが見れます。燐音の影響を強く受けた作戦を立てて、実行します。その作戦ちゃんと適材適所な割り振りなあたり仲間のことをしっかり理解したんだなとしみじみ……。

Crazy:Bのダブルセンターという言葉が上手く当てはまると思う。
前の兄なら「とんでもない事態になりましたね。HiMERUは帰らせていただきます」サングラスを掛ける、ヘリコプター参戦!バリバリそれではさようなら、ぐらいもあり得たのにこんな……絆だ……!

仲間のことが大好きなんだなって伝わってくる。ナンバーエイトはクライベという看板があるとどうしても満足のいかないストーリーにはなってしまう。ただ私は他人であり孤独だったCrazy:Bのみんなが不可欠な仲間になっていくのが好きなので……。
そういえば9周年のコメントで日日日先生が起承転結を書き切りました。と、言っていた。
わかりやすいユニットを出すならALKALOIDは当初落ちこぼれで結成された(とはいえとんでもポテンシャルを持ってた奴らばかりだったが)ユニットで、それがクライベあたりではこんなにいっぱいのお客さんが……!(ホリスティックハロウィンはそういう話じゃないけど)という起承転結だった。
クレビは昔々赤の他人がいました、色々あって今はこんなに仲良しです!めでたしめでたしというゴールなのでこういう形のクライマックスもよかったなーと思います。


おまけで長くなってしまいました。
そのうち分割してあげなおすかもしれません。
ともかく一人でも十条要という一人の少年のことを知っている人が増えてくれればいいな。

【追記】要くんのルームボイスがついた時の笠間さんのツイートが好きなので紹介させてください。

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