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てのひらにひれのひちひちおとり鮎

「伊月庵通信」2024秋号雑詠欄『百囀集』に投句 【秀作】

この句はNHK「ギュッ!と四国」『家藤正人の俳句道場』の兼題「鮎」に投句するために4月20日に詠んだ一句だった。以前、鮎などの川魚を釣堀で釣った経験から、実際に手に握った時の鮎の感触を十七音にこめた。
放送では 鶸(ひわ)色の鰭に粗塩鮎を焼く を取り上げていただき、
この句の元句 てのひらにひれのひちひち年魚かな はボツとなった。

上五中七のフレーズがとても気に入っている句だったので、「とうおん句会」に出してみた。オノマトペの面白さ、しらべの楽しさ、表記の面白さ等に高評価をいただけたが、下五「年魚かな」でよいかどうか、というご意見も賜った。たしかに、「年魚」だと、命の儚さを前面に出し過ぎている気もした。

下五を推敲してみようと決めて、鮎釣りの動画を何度も観た。川で鮎を釣る際にはおとり鮎が要る。釣り人が鮎に環をかける場面が印象に残った。
 てのひらにひれのひちひちおとり鮎 とし、これを6月8日の「リブラ句会」に投句。良い感触を得たことで背中を押され、「伊月庵通信」2024秋号雑詠欄『百囀集』に投句した。結果は秀作。

選者が違うと評価も変わることがある。私はこの句のフレーズをあきらめきれなかったから、推敲して他へ出そうと思ったのだけれど、その際には句友からのご意見が大変役に立った。自分の判断だけでは本当に佳いかどうかが実感できないこともある。句友のご意見はまことに貴重で有効。さまざまな場所でさまざまな句友からご意見を賜ることができる、本当に幸せだと思っている。心から感謝。

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