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春灯のとどかぬ椅子に居るをんな

2023/2/8(水)NHK文化センター 俳句講座に投句した四句の中の一句。岸本先生の入選、講座参加者2名の方より選いただきました。当季雑詠、季語は「春灯」です。
【学びポイント】
時には季語の本意を逆手にとる
【解説】
春灯とは、春の夜に灯す灯火のこと。寒灯や秋灯とは全く違う気分を有する季語、と岸本先生からもご説明がありました。春灯は明るく、華やいでいて、春の夜の艶っぽさをも表しています。その春の灯から離れて座る女の存在、いったい誰なのか。
岸本先生によるご鑑賞:春灯とあれば、もう寒くはない時期のこと。部屋の隅に居ても寒くはないところが「寒灯」とは違ってくる。「春灯のとどかぬ椅子にをんなかな」だと「女がいる!」と発見した感じになるが、「居るをんな」という言い方をすればさっきから気になっている、という意味になる。BARや居酒屋、あるいはホテルのロビーなど、わいわい騒がしく、華やいだ場所で、作者にとって知らない客が居るのだ。この女はいったい誰だ?という想像がいろいろふくらむ一句。薄幸な女、さみしい雰囲気を表現できている。
まさにそれこそ私がこの句で表現したかった景でした。うきうきと楽し気なざわめきの中、光が届かない場所にぽつんと座っているあの女性は誰なのだろうか?どんないわくがあってここにきたのだろう?何かを誰かを待っているのだろうか?そう感じた体験を十七音で言えた!と心で小さくガッツポーズ。
春灯という季語の華やぎを逆手にとって、女の寂しさや孤独を表現できた、これは今まであまりやってこなかった方法であり、岸本先生からの評価もいただけたことで、一歩進めたと思いました。

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