見出し画像

川端茅舎の句

2025年1月22日(水) 愛媛新聞カルチャースクール「作れる!句会で学ぶ俳句」(講師:岡田一実)に参加。あえて受講とは言わない、すごく楽しい句会だから。

今回は時節柄風邪(インフルエンザや新型コロナ含む)を引いた方が多くてさまざまな風邪俳句が!それを読むだけでも大変面白く(いや、すみません、ご病気だったのにね。)共感の嵐だった。皆さん毎回佳き句を投句なさるし、選評がこれまた的確で深くて面白い。あ~そういう読みもできるのね~と学ぶことばかり。

講座後半では、私がリクエストした川端茅舎(かわばたぼうしゃ)について、一実さんが病を押して資料を作成くださり、皆で選句、読み込んで語り合った。画家を志していただけあって、茅舎の句には画家的な視点で詠まれたものが多いように思う。一実さんの分析は、オノマトペや比喩に特徴があり、仏教関連の用語が使われていたり、あえてのひらがな表記が効いていたりする、というもの。

私が特選に選んだのは
 蚯蚓鳴く六波羅蜜寺しんのやみ 川端茅舎
この空想いっぱいの不思議な季語を六波羅蜜寺と取り合わせるところが斬新だし、下五「しんのやみ」のひらがな表記がなにやらアヤシイ。六波羅蜜寺は空也上人立像が所蔵されているお寺。口から六体の阿弥陀仏が出ている、あの像だ。「南無阿弥陀仏」の六文字がそのまま小さな仏の姿になっている、つまり聴覚情報を可視化している像なんだな。ほら「蚯蚓鳴く」の季語って、本来聴覚情報じゃない?けど実体は見えないよね?蚯蚓の声も聞こえる?聞こえないんじゃない?そのへんを六波羅蜜寺の空也上人像に関連づけてしまうのよ私。

そして下五が「しんのやみ」なぜひらがな表記?しん→しーんとしている六波羅蜜寺の夜を想像(駄洒落かw)。普通に考えれば「真」なんだろうなぁ。やみ→闇・病・止みなどを連想する。広がりを持たせるのにひらがな表記って便利。それに漢字で「真の闇」って表記しちゃうと、一句が漢字ばっかりになるわね。そういう配慮もあって、かしら。

この句の景をどうとらえるか、真っ黒に塗ったキャンバスの奥底に蚯蚓がひっそり鳴いてるんじゃない?とか思った。なんなら蚯蚓も鳴き止んでそれこそ音の無い「真の闇」だけがこの句の景なのかも。44歳で亡くなった人・川端茅舎だから、死後の世界とかも考えていたかもしれない。六波羅蜜寺が絶対動かせない重さがある。この句は茅舎じゃないと詠めない一句。

次回は茅舎と言えばたかしでしょ!ってことで松本たかしについて学べる予定。今からもうワクワクしちゃう。仲間と大好きな俳句について語る2時間、本当に充実してるなぁと思う。過去の俳人たちとその代表句について知ると、作句・選句にも良い影響が出てくると思う。この講座はあと数席空いてるので、興味ある人はこちらへ。

いいなと思ったら応援しよう!