赤銅の月哭くこゑを聴きに出る
2022/12/14(水)NHK文化センター 俳句講座に投句した四句の中の一句。岸本先生の入選、講座参加者1名の方より選いただきました。当季雑詠、季語は「月」。「皆既月食」を詠んだ句です。
【学びポイント】
句を出す場を選ぶ
【解説】
この句は、11月8日の皆既月食からそれほど日が経っていないタイミングで開催された某句会にて、特選4&並選2を獲得し、自分でも非常に気に入っている一句です。イリス流、というか、自分らしい句に仕上がっていると思い、NHK俳句講座にも出しました。
先生と点を入れてくださった受講生お一人、共通して「いつもと違う月」であることは読み取っていただけましたが、皆既月食からは日数が経っていたこともあり、赤銅の意味を解してはいただけませんでした。
先生は「深読みすると戦争などの不穏な空気を感じさせるものかもしれない。」「作者が月の声を聴きに出るのもわかる、そのような月である。」「この句は変にいじらない方がいい。このまま読みましょう。」とおっしゃいました。添削例は無しでした。
作者としては、「聴きに出る」を読み取っていただきたかったのです。窓ガラス越しでは「月のこゑ」聞こえませんので。あの赤い月、私には哭いているように思えました。某句会の参加者の皆さんと、岸本先生には伝わっていた、と思います。他の受講生の皆さんには伝わりづらかった、かなぁ?
この句のように特殊な状況下で詠んだものは、句を出す場を選ばないと、読み解いていただくのが難しくなるのだとわかりました。時事を詠んだ句、タイムリーな句、というのは実際ありますね。そしてそのような句を受け入れてもらいやすい場であるかどうか、投句する前にきちんと判断する必要があります。投句、難しい・・・。