𝐄𝐧𝐠𝐥𝐢𝐬𝐡 𝐒𝐜𝐨𝐧𝐞

英国の伝統お菓子イングリッシュスコーンの本格派な作り方や食べ方や伝承についてまとめました✨

𝐇𝐨𝐰 𝐭𝐨 𝐦𝐚𝐤𝐞

𝐈𝐧𝐠𝐫𝐞𝐝𝐢𝐞𝐧𝐭（約𝟖個分）

＊薄力粉･････････････････𝟐𝟐𝟓𝐠
＊ベイキングパウダー･････大さじ𝟏
＊グラニュー糖･･･････････𝟐𝟓𝐠
＊バター（無塩）･････････𝟓𝟓𝐠
＊牛乳･･･････････････････𝟏𝟓𝟎𝐦𝐥

※お好みで塩（味を整えるため）と牛乳か卵（見栄えを良くするため）を少量ほど用意するといいが無くても対して変わらない。
※本場の英国では薄力粉とベイキングパウダーの代わりに𝐒𝐞𝐥𝐟-𝐫𝐢𝐬𝐢𝐧𝐠 𝐅𝐥𝐨𝐮𝐫を使う。
※英国のお菓子作りではグラニュー糖だと粒が大きくて溶けにくいため粒の細かい𝐂𝐚𝐬𝐭𝐞𝐫 𝐬𝐮𝐠𝐚𝐫を使う。

𝟎. 作る前にバターを𝟏𝐜𝐦角に切る。材料を直前まで冷やしておく、手も冷水などで冷やしておくと良い。（丸くなったり食感が固くなるのを防ぐため）

𝟏. ボウルに薄力粉とベイキングパウダーとグラニュー糖と（塩）をふるい、ヘラで混ぜる。

𝟐. そこにバターを入れて指でこすり合わせるようにして粉類と合わせる。

𝟑.そこに牛乳を𝟑回に分けて加え、生地が𝟏つになるようにまとめる。
  ※生地はこねずに、柔らかくて良い。

𝟒.薄く薄力粉を引いたまな板の上におき、軽く𝟒回折りたたむ。
  ※力を込めない。

𝟓.冷蔵庫で𝟑𝟎分ほど寝かす。

𝟔.生地を𝟐𝐜𝐦ほどの厚さに手で軽く伸ばし、丸型にぬき、クッキングシートを敷いた天板に並べる。

𝟕.少量の牛乳または卵をハケで塗ってオーブン𝟐𝟏𝟎度で𝟏𝟑分〜𝟏𝟒分ほど焼く。スコーンが膨らんでこんがり色がついたら出来上がり‼︎

焼きたてから時間が経っている場合、スコーン全体をアルミホイルで包んでトースターで𝟓〜𝟏𝟎分ほど表面に軽く焦げ目がつくまで焼くと美味しく召し上がることができます。

強力粉を使うとまた少し違った味わいになります。ザクザクとした食感が出て食べ応えがアップします。グルテンの含有量が違うので練りすぎには注意してください。
ヨーグルトを混ぜると軽くてしっとりとした食感になります。そとはサクサク、中はしっとりします。

失敗例

＊生地がうまくまとまらない→室温が高いのかも？
＊生地が固い（グルテンが出た）→生地をこねすぎたり丸めた？
＊膨らまない→打ち粉が少なくて生地が荒れたのかも？材料が冷えていない？こねすぎ？オーブンの温度が低い？

英国式と米国式の違い

○英国式スコーン 🇬🇧
バターと砂糖の使用量が少なくてシンプル。円形が多い。具のないプレーン派が多い。

○米国式スコーン 🇺🇸
バターと砂糖の使用量が多い。バターは英国式の約𝟑倍との噂。三角形が多い。具材を練り込むものが多い。

○米国式ビスケット 🇺🇸
英国式スコーンが動物性油脂のバターに対して米国式ビスケットは植物性油脂のショートニングを使用する。円柱型。

※オーストラリアでは生地にマッシュポテトやカボチャを加えるものもあり、オーブンではなく油で揚げた＂𝐏𝐮𝐟𝐭𝐚𝐥𝐨𝐨𝐧＂と呼ばれる食べ物もある。
※スコットランドやニュージーランドではフライパンや鉄板で焼くことも多い。スコットランドの伝統的なスコーンは大きな円形に焼き、切り分けた三角よりの形。

美味しい食べ方やマナー

スコーンにクロテッドクリームとジャムを乗せ、紅茶とともに嗜むのが主流です。
私のおすすめはベノアのクロテッドクリームとフォートナム&メイソンのマーマーレードとロイヤルブレンドで食べると、とても美味しいです。紅茶やジャムによって味わいが変わるので色々と試してみてはいかがでしょうか。

スコーンは真ん中の割れ目から手で横に割ってから食べるのがマナーです。こうすることでボロボロと落とさず綺麗に食べることができます。

クロテッドクリームとジャムを複数人で分けるときは自分のお皿に𝟏人分をお皿にうつしてから、スプーンなどでひと口ごとにたっぷりとスコーンの上にのせます。スコーン：クリーム：ジャムが、𝟐：𝟏：𝟏、これがもっともスコーンをおいしく味わえる黄金比率です。

そしてスコーンの上にクロテッドクリームとジャムを乗せかぶりついたら、すぐに紅茶を口に含みます。スコーンがパサつかず、そして絶妙なハーモニーの味わいになります。

クロテッドクリームとジャムの乗せ方は𝟐種類あります。デヴォン式はクロテッドクリームの上からジャムをのせ、コーンウォール式はジャムの上からクロテッドクリームをのせます。もとはクロテッドクリームの名産地であるデヴォンとコーンウォールという𝟐つの地方から始まったそうです。ちなみにエリザベス女王陛下はコーンウォール式です。

イングリッシュスコーンの歴史

スコーンは元々バノック（バンノックとも）と呼ばれる、西暦𝟏𝟎𝟎𝟎年頃からスコットランドや北イングランドの円盤型のパンと同じものであったと考えられています。そして最古の記録で確認できるものは𝟏𝟓𝟏𝟑年にスコットランド人が記したものです。なのでスコーンはスコットランド発祥と言われています。

スコーンという名前はオランダ語で『良質の白パン』を意味する単語から由来される説もありますが、『運命の石』に由来しているという説もあり、運命の石というのは、スコットランドのパースにあるスコーン城で、国王の戴冠式に用いられた椅子の礎石のことを示し『スクーンの石』と呼ばれていました。この椅子は𝟏𝟐𝟗𝟔年にエドワード𝟏世によってイングランドに戦利品として奪われてしまったという歴史があります。ちなみに返還されたのは𝟏𝟗𝟗𝟔年でした。スコーンはそのスクーンの石の形に似ていたのでスコーンと名付けられたそうです。なので王様に由来するため、王様に対して刃物を向けないという意味でスコーンにナイフを入れてはいけないという説もあります。

中世のバノックは主原料は小麦粉ではなく、粗挽きの大麦粉もしくはオートミール（オート麦）が使われていました。大麦などを挽いた粉に水などを加えてこね、平らで少し丸みを帯びたバノック・ストーンという石、もしくはスコットランドでと呼ばれる鉄板を使って焼いたのがバノックです。

𝟏𝟗世紀、スコーンに変化が起こります。きっかけとなったのは膨らし粉（ベーキングパウダー）の登場です。それ以前から炭酸カリウムを主体にした“𝐏𝐞𝐚𝐫𝐥𝐚𝐬𝐡𝐞”などの膨張剤はありましたが、不快な苦味を持つというデメリットが有りました。完成度の高いベーキングパウダーの登場によって、生地の風味を損なわずにふんわりとした食感をプラスすることが可能になりました。さらにこの時期にイギリスで産業革命があり、産業革命を影で支えたとも言われるのが奴隷制砂糖プランテーションによる砂糖生産の増大と普及です。イギリスを中心としたヨーロッパでは王侯貴族や富裕層だけではなく、庶民もパンや焼き菓子に砂糖を加えるようになっていた時期でもあります。この頃にはオーブンが使われることも多くなっていたので、当時の流行によってほんのり甘く軽い食感を持つ現代のスコーンへ変化していきました。

イギリスでスコーンが人気となったのは、ベッドフォード公爵夫人（アンナ・ラッセル）がきっかけというのが定説です。このベッドフォード公爵夫人はイギリスでアフタヌーン・ティーを始めたとされている方です。ランプが普及した関係から夕食の時間が遅くなり、昼食～夕食までの間の空腹を辛く感じたベッドフォード公爵夫人が使用人にお茶を持ってくるように命じたのが始まりでした。しかし当時のイギリスでは空腹時に紅茶を飲むと体に悪いと考えられていました。彼女が命じたか使用人が気を効かせたかは定かではありませんが、お茶請けとして甘いパンが一緒に出されたと伝えられています。

豆知識

クロテッドクリームやジャムを添えたスコーンを食べながら紅茶を飲む習慣を英国では『クリームティー』と呼びます。

側面が口のようにぱっかり開くのがよしとされていますが、この割れ目のことを英国では『狼の口』と呼びます。日本では『腹割れ』とも呼びます。

イギリスでは過半数の人がスコーンをスコンと発音します。特に発祥の国であるスコットランド人は𝟗𝟗%がスコンと発音し、スコットランドや北アイルランドやイングランド北部やオーストラリアやカナダもスコンという発音がポピュラーです。それに対して南部イングランドやアメリカではスコーンと発音する人が多いです。