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風の木と呼んで



 今回は「シマトネリコ」という木について話す。

 実家の庭には、シマトネリコが植えられている。私はその木がとても好きだ。
 南の方でよく見られる常緑樹で、高く葉を広げ爽やかな印象を受ける。

 母に名前を聞くと当時の庭師さんが「風の木」だと言ったそうで、それからずっと風の木と呼んでいた。

 少しの風でも煽られて葉擦れがするから、庭師がそう呼ぶのも分かる気がする。



 夏にはセミがよく止まり、大合唱をする。あんまりうるさいときには、ホースの水で追い払って、また大合唱して、ホースを向けてといういたちごっこを繰り返すことも多い。

 いつかの冬に実家に帰省した際に、シマトネリコのそばに寄って見上げていると、セミの抜け殻を見つけたことがある。雨風に耐えてずっとシマトネリコのそばにいた抜け殻が強く愛おしくて、しばらく見つめていた。


 また台風のときには、風に煽られて大きくしなるから折れないかな…と心配するし、台風のあとは潮に負けて葉が茶色になるから元通りの葉っぱをつけるかなと心配になるし、風の木だから風には強いのたろうけど、もう心配させないでほしいと思う。



 それからしばらくして、名前を知りたいと風の木で検索をかけては似たような木を辿って、シマトネリコという木にたどり着いた。



 ここからは余談だけと、
 シマトネリコの名を見ると語呂が似ているからか、男子高校生が新体操で「アルトネリコ」の謳う丘を演技をした動画が思い浮かぶ。YouTubeで検索したら出てくると思う。

あの新体操を見たときに、人の動きはあんなにも美しく情景を表現ができるのか。と感服した。
高校生くらいのときから度々見てはドキドキしている。



 いつか、自分の家に庭を持てるならばシマトネリコを植えたいと思う。

 また風の木と呼んで、毎日を過ごしたい。


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