ゴキブリを無条件に嫌う人がいなくならない限り差別や戦争はなくならない
と思っている。減らすことはできるだろうけどね。
ゴキブリをこんなに嫌っているのは日本人だけなんだろうか。
例えば我が妻のエピソード。
毎度「キャー!!」と叫び声がして呼ばれる。ゴキブリが出た。はいはい、そりゃ世界中に1兆5000億匹いると言われてるんだから出くわすことはあるでしょうよ。と思うが妻はそんな状況ではない。発狂寸前だ。
ティッシュでつまんで、窓を開けてポイッと投げる。はい、おしまい。
「え、なんで殺さないの?」妻は言う。
子供や動物を愛し、映画の予告編だけで号泣するほど感受性の高い、情愛がどこまで深いんだという妻が「お前はアホか」の表情で言う。
なぜそんなに嫌うのか、は議論にもならない。理屈ではない。
ネット記事を探せば「ゴキブリは実はキレイ好き」等の記事もあるがそういうことじゃない。もう一度言うが理屈ではない。
程度の差はあれど日本中こんな感じなんじゃなかろうか。
かくいうお前はどうなんだ。
私は家の中にゴキブリが出てもなんとも思わない。大量にいたらビビる。
何十匹も出てきて体を這われたら気持ち悪そうだ。心の根っこに気持ち悪いと思う感覚があることは否定しない。私もみんなと大差ないのだ。
動物をむやみに殺すな、と毛皮の利用や殺傷・肉食すること自体に物申す時代になっている。これが進むと昆虫や植物の権利という話にも発展するかもしれない。Bugs Rightsで検索するとそんな議論も出てくる。
虫の権利なんて話になる時代、さらにはゴキブリを受け入れる時代が来るのは相当先か、来ない気がする。それくらい対ゴキブリの関係性は最悪だ。
そもそもゴキブリは地球における先輩だ。
今の種類にしたって2億~3億年前から暮らしてらっしゃる。年功序列で考えるなら問答無用に偉いのはゴキブリだ。その方々を、ここ何年かで作った囲い(家のことね)で勝手に閉め出しておいて「そんな独り占めするなよ、ここは前から俺らも居たんだぜ」とゴキブリが戻ってくると、人間は気持ち悪がり、泣き叫び、挙句の果てには鬼の形相で殺そうとする。無条件にだ。
で、本題だ。
ゴキブリを「他の人」や「部外者」などに置き換えてみればいい。
差別や戦争が無くなるとは到底思えないでしょう。
「ゴキブリは人間じゃない。一緒くたに話すのはおかしい」と反論されるかもしれない。では人間と虫・ゴキブリの違いってなんだろうか。脊椎動物の定義とかの話ではない。
ここは文字数使わず行くけども「見た目で判断してるよね?」
見た目で判断しちゃうんだよ。そして理屈抜きにキライという感情を持っちゃうんだよ。一部だけを理性で押さえ込めてるんだよ。
これを100%理性で押さえ込むか、そもそもそんな感覚が無くなって全て受け入れられるようにならないと、いつか誰かが差別し、攻撃し、戦争を始めるんだよ。
最後に、中学時代の友人が「なぜ人はゴキブリを忌み嫌うのか」について仮説を掲げていて、四半世紀経った今でも何の検証もなく最有力候補なんじゃないかと思っているのでお伝えする。
地球における大先輩ゴキブリがすっかり環境に適応して生活しているところに、哺乳類つまり僕らの遠い祖先がとても弱い立場で登場したんだろう。
弱肉強食の世界において、我らの祖先はゴキブリにムシャムシャ食べられてた。その恐怖と恨みが遺伝子に刻まれ、現代まで綿々と続いているのではないか、という説だ。
無条件に恐怖し、そしてできれば殺したいとまで思ってしまうのには、そんな歴史があるのかもしれない。
ま、この説が正しいのであれば、ゴキブリを嫌うのは特別な理由がゆえなので、差別・戦争は無くせるかもしれない。そうだといいね。いいのかな。