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特別編:徳島県の大塚国際美術館で体験する世界の名画(原寸サイズ!)

【約1,800文字、写真16枚】

 世界の名画を原寸サイズで楽しめる嘘みたいな美術館があります。まるで自分が名画の前にいるかのような感覚を味わえるんです。今回は特別に、徳島県へ行ってきました!

大塚国際美術館の入口
入口前には複数の国旗がはためいています

原寸の絵なら参加できちゃう!

大塚国際美術館の館内、ダヴィッド《皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠》

 普段はテレビ番組や図録でしか見ることのない絵を、原寸サイズで目の前にすると、どんな気持ちになるのでしょうか。

大塚国際美術館のダヴィッド《皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠》
ジャック=ルイ・ダヴィッド《皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠》1805‐07【大塚国際美術館】

 本で見るとただの歴史的な絵に過ぎません。しかし、実際にその絵の前に立つと、「ジョセフィーヌさんおめでとうございますっ」と思わず声をかけたくなるほどの臨場感があります。
 このダヴィッドの戴冠式の絵は、美術館の額縁に収められたサイズでは最大の絵であり、まるで式典に参加しているかのような気分です。

大塚国際美術館の《サン・マルコ広場の聖十字架遺物の行列》
ジェンティーレ・ベッリーニ《サン・マルコ広場の聖十字架遺物の行列》1496【大塚国際美術館】

 こちらも圧倒的な大きさです。記録画のように描かれており、絵の前には柵や線もないため、数センチ横を歩くこともできます。
 歩きながら絵を拝見すると、さらに臨場感が増し、「先日はどうも」と会釈したくなるほどです。

大塚国際美術館の《サン・マルコ広場の聖十字架遺物の行列》部分
《サン・マルコ広場の聖十字架遺物の行列》部分【大塚国際美術館】

 原寸サイズの絵だからこそ、まるでその場に参加しているかのような感覚を味わえるんですね。

トルコの洞窟を体験

 トルコの洞窟を体験できる場所があります。山田五郎さんが「一番見てほしい」と仰っていた聖テオドール聖堂壁画。そこへ行くには、一旦外に出るという指示があるので、寒さを覚悟して外へ。

大塚国際美術館の聖テオドール聖堂壁画

 赤い鉄の扉の前に立ち、ここですか? 倉庫みたいですけど…、お邪魔しま~す

大塚国際美術館の聖テオドール聖堂壁画
聖テオドール聖堂壁画/カッパドキア、トルコ【大塚国際美術館】

 中に入ると、目の前に広がるのは聖堂壁画!
 “本物だから、勝手に入っちゃだめ” そもそも本物を知りませんが、肌がビリビリとただならぬ何かを感じます。ここは10世紀の前半に聖テオドロスに捧げられた祈りの場です(レプリカだけど)。

大塚国際美術館の聖テオドール聖堂壁画

 地面に本物の砂が敷かれているのがわかります。現場の調査で使われていたような照明器具。外光の具合といい、不安定な岩の質感がそのままで、恐ろしいほどの臨場感です。

 吹き付ける風の音を聞きながら、大塚国際美術館が生み出した本気のレプリカに没頭してしまう。これぞボットー体験。

休む椅子はたくさんあるけれど

 広い館内には、たくさんの休憩用の椅子が用意されています。ただし、この前で休めるかは別問題です。

大塚国際美術館のゴッホ展示
ゴッホがずらり…

 ゴッホの名画を前に、なかなか休憩ができません。そこで、椅子がたくさんある最初の場所へ戻りますが、なんだかここも胸騒ぎが…

大塚国際美術館のシスティーナ礼拝堂の椅子

 徳島県にバチカン市国がきた!?

大塚国際美術館のシスティーナ礼拝堂全景
ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画および壁画(天井画:「天地創造」ほか1508‐12、壁画:「最後の審判」1536‐41)【大塚国際美術館】

 ここまでリアルな空間を目の前にすると、ミケランジェロ・ブオナローティが大好きな私は、座っていられるわけもなく…

大塚国際美術館のシスティーナ礼拝堂

 天井の隅々まで見て回り、足だけでなく、首も疲れました。

できることなら、もって帰りたい絵

 いや無理なんですけど、自宅に飾りたいなあって妄想した絵を紹介させてください。
(拡大しても、このクオリティ↓)

エドガー・ドガ《舞台の踊り子(エトワール)》(1876年頃)【大塚国際美術館】

 ドガの絵はそんなに好きではなかったのですが、この椅子に座って拝見していると、右足だけで立ちバランスを取ろうとする一瞬が、明暗対比で強調され素晴らしいなぁと感じました。

大塚国際美術館のドガの間

 この椅子とセットでなんとかなりませんか。


■information

大塚国際美術館
“世界26カ国の西洋名画を陶板で原寸大再現”
住所:徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1
電話番号:088-687-3737
開館時間:9:30~17:00
休館日:月(祝日の場合は翌日)、1月は連続休館あり、8月無休
料金:一般 3300円 / 大学生 2200円 / 小中高生 550円
事前予約:不要
所要時間:見て回るだけなら2、3時間~、じっくり見るなら2日間?!
混み具合:常に誰かいる
写真撮影:全て可能
webサイト:https://o-museum.or.jp/


ドガのケーキセット

 方向音痴の私には、今何階にいるのかよくわかりませんが(まるで郊外のイオンモールで歩き回っている感じです)、館内のカフェでケーキセットをいただきました。

大塚国際美術館のカフェ・ド・ジヴェルニー
地下2階にあるカフェ・ド・ジヴェルニー
(10時30分~16時まで営業。ケーキだけでなく、軽食も。250席あり)

 ドガに魅了された私は、絵に関連するケーキセットをいただきます。

大塚国際美術館のケーキセット、エトワール
エトワール[バナナナッツ生地のマフィンに生クリームとイチゴ、ローズマリーの小枝](セット:¥950、単品:¥500)

 ドガの踊り子を表現したものらしいです。遠くから見ると、もりもりの生クリームとイチゴがバレエの舞台衣装であるチュチュや花飾りに見えます(?)。

 普段はミルクと砂糖をたっぷり入れる私ですが、この日はブラックコーヒーを大変美味しくいただきました(ケーキとセットだから?)。ごちそうさまでした♪

ソース;
:図録『大塚国際美術館100選』発行:大塚国際美術館


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入江玄 アートライター
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