展覧会レポ:「針金の街」と商店街が融合する、堀川新文化ビルヂングで奇妙な体験
「堀川新文化ビルヂング」は、京都市上京区にある複合施設だ。2021年オープン、書店(大垣書店)を中心に、カフェ&バー(Slow Page)やギャラリー・イベントスペースがはいる。西陣や堀川商店街の北隣に位置し、伝統的な空気を感じる。
どこか違う
この付近は「アートと交流」をテーマにさまざまな文化事業が行われてきた。このビルヂングも、そのメンタリティを引き継ぎ、一味違う文化力を発信している。
大型書店にオシャレなカフェが併設されているのを、ときどき見かける。堀川新文化ビルヂングは、カフェ&バーに若手作家向けのギャラリーが溶け込んでいる。
車で来る人よりも歩きや自転車の人が多い。そんなギャラリーの展覧会をみてきた。
清水紗希「街をあるく」展
館内の各所に針金で作ったミニチュアの建物が展示されている。針金で作られた街の風景。無数に配置された小さなパーツが、街並みとなって浮き上がる。
階段右手に大きな窓。作品を眺めていると、現実の街並みが影絵のように映り込み、交差する。リアルな日常と、その延長線上にある架空の街。
このアート作品をツールとして、街に住む人の暮らしをほんのり感じる。疑似体験というほどではないが、堀川商店街の活気を感じる。
堀川商店街
昔ながらの店と若い店が渾然一体となっている商店街。南側の外れには、シャッターが降りた店があり、落書きもある。
パッケージ化された日常生活では味わえない体験ができる。どこか非日常で、ちょっぴり懐かしい。
商店街とセットだから「街をあるく」気がする
商店街には、理髪店や果物屋さん、CD屋といった昔ながらの店に、よくわからない店(すいません)が加わっている。
例えば「素食カフェ」、ヴィーガン・ベジタリアン料理(素食カフェ璉)のお店らしいが、「素食」という文字が大きく書かれている。
チョコ専門店(久遠)やドーナッツ専門店(かもDONUT)、蒸しまんのお店(まんまん堂)に、「こけし」が売られていたりと退屈しない。
店員ではなく、人を感じる
声をかけるにしても、「店員さん」と呼ぶより「おっちゃん」といわせてもらいたい商店街。1店舗だけならそんなでもないけれど、集まった店の前を歩くと妙な緊張とリラックスをさせてくれる。
商店街の構造はショッピングモールと似ている。ただし大手のショッピングモールは、清潔すぎて買い物モードになるだけだ。もちろん統一感はあるし、子どもと行っても安心して買い物ができる。
でも、ドキドキしない。全店共通の厳しいマニュアルがありそうだ。商店街はもう少しラフだ。
もちろん、落書きは消してほしいし、バイクは邪魔だし、気楽に入れない空気を醸し出してくる専門店もある。
堀川新文化ビルヂングはそのお隣にあるから、止まり木のようで、居心地がよい。
清水紗希氏が作り出した無機質な針金の街。眺めていると、なぜか深呼吸しているような不思議な身体感覚と、どこか懐かしい体験ができた。
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