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能登半島に行って感じたこと。これからの行動について。

皆さん、こんにちは。コクーの入江です。
弊社のVISION2030では「DX人財輩出企業No.1」を掲げており、その重要テーマの一つとして「地方創生」があります。

2030年までに30拠点を立ち上げるというKPIがありますが、この取り組みを更に加速するべく、昨年10月には「地方創生DX室」を立ち上げました。

地方創生DX室の半期での目標は200自治体との接点を持つというもので、そのKPIを達成するべく、室長の安藤が爆速で駆け抜けています。私自身もできる限り現地に出向き、リアルを感じながら、私たちが考える2030年、2040年の世界観との目線合わせをするため、日々バタバタと走り回っています。


能登半島に行って感じたこと

そんな中、今月初旬には石川県能登半島(七尾市、能登町、輪島市)に訪問してきました。そこで感じたことと、これからの行動についてお話しをしたいと思います。

金沢に前日入りし、レンタカーを借りて翌日朝から七尾市へ。その後は能登町、輪島と向かうのですが、その道中に、震災の爪痕を目の当たりにしました。

被災された方々の苦しみ、復興への道のりの険しさに胸を痛めると同時に、「私たちにできることは何か」を強く考えました。

今、能登に必要なのは迅速な復興支援であり、
これからの能登に必要なのは、持続可能な生成発展です。

私たちは「デジタルの力」で、地域の方々が、行政や地域企業の生産性を高め、持続可能な地域活性化を支援すること。能登の皆様が一日でも早く安心できる暮らしを取り戻せるよう、能登の希望ある未来のために、共に新しい一歩を踏み出したいという想いを強くしました。

能登町役場にある能登高校の生徒が書いた「復興再生」

今回の私たちのミッションは、能登半島市町の首長や行政職員の方々に直接現状の課題をヒアリングして、能登や石川県の地域創生において、どんな施策が有効なのか。私たちができることは何か。を整理することでした。

各市町での課題感は以下のようなものでした。

入江:「現状の課題感はどんなものがありますか?」

デジタル戦略室長:「人事課と協働しながら現課の若手や会計年度職員に向けてデジタルの育成をする計画を立てたいが、出来ていないのが現状です」

入江:「それはなぜですか?」

デジタル戦略室長:「2つあります。一つは推進する担当者のリソース不足。もう一つは現課職員のマインドセットを変える必要があるがそこまで労力をかけられないという…」

入江:「例えば、(一旦制約条件は無視して)どのようになれば市町の行財政DXが進むと思われますか?」

デジタル戦略室長:「理想は、現課すべてにDX専任がいたら理想だが、まずは部からのスタートでも加速されるイメージはありますね」

入江:「具体的にはどんな人ですか?」

デジタル戦略室長:「ITスキルはもちろんだが、特に自治体のKPIにもなっているRPAやAIなどのスキルがある人が必要。また、業務プロセスを理解して可視化できる人がいればベストですが、ただそんな人は皆無で…」

その他でも、予算確保の難しさ、職員のデジタルスキル向上のための育成、ガバメントクラウドのコスト増加や震災後の若手社員の離職問題まで、幅広い課題を持っていました。

2つの本質的課題

上記は、能登市町のお話しですが、これらは多くの自治体でも抱えている同様の課題であると思いますし、共通している本質的な課題は2つあると感じています。

①圧倒的な人手不足
一つはフィジカル面で、圧倒的な人手不足です。
地域からの流出、若手職員の離職や人事ローテーションの影響における非定着化問題と、シンプルに市町役場内にデジタル人財が足りなく、育成もできないという問題。

②職員のマインドセットと組織文化
もう一つはメンタル面で、職員のマインドセットと組織文化です。
職員のデジタルに対する意識の低さと、前例踏襲主義、リスク回避志向等の自治体組織におけるカルチャーです。

特にDX化という観点で私たちが重要な打ち手だと思っているのが、

①においてはDX人財育成と運用を両輪で継続する仕組みと魅力ある仕事づくり。

②においては、スモールスタートクイックウィンを繰り返し、そのPDCAを回していくために専門家が伴走支援していくことです。

これからの行動について

地方創生2.0が動き出しました。政府で取り組む自然減(出生数が死亡数を下回る)に対して、社会減(流入が流出を下回る)は、官民連携で実行できる施策です。

東京一極集中からの脱却は重要施策だと思っていますが、若者や女性が魅力的だと思える地域をつくらなければ、上記は実現しません。

そのための重要な要素の一つが、

「魅力ある職場や仕事をつくっていくこと」です。

地域在住の方々が、デジタルの力を身に付けて、地元企業の生産性向上に貢献する。そして東京との賃金格差をつくらない。こういう世界観を創っていくことで、地域流出を防ぎ、地域活性化につながっていくと考えています。

これは官民連携で私たち企業がコントローラブルに実行できる施策であり、今やらないともう後戻りできないというタイミングでもあります。

以下は、日立京大ラボが2017年に、独自に開発したAIを活用して持続可能な日本の未来を実現するための政策提言です。そこでは10年後の2027年頃には、地方分散型か都市集中型かに分岐され、その後は交わることはないという強い相関が出たとのこと。

一歩踏み出す

これは地方創生DX室長の安藤が、いつも自治体の皆さまに発信している言葉です。
私たちは覚悟をもって、この「地方創生」をやり切っていきたいと考えていますが、官民連携にて行政の皆さんも同じような気持ちをもって一歩を踏み出さない限り、本当の意味で楽しく元気な日本にはなっていかないと考えています。

その新たな一歩を踏み出すべく、コクーは圧倒的な熱量をもってカロリーを消費し、その実現を確実なものにしてまいります!


(長いので一旦ここで区切りを)

私たちは実務家ですので、決して方針や想いだけではありません。

ここからは、具体的にどのようにデジタル行財政改革をしていくのかのアクションを紹介します。(主に自治体関係者向け)

デジタル行財政改革の取り組み事項

行財政DXは大きく分けると、行政サービス(外向け)と市町役場DX(内向け)に分けられるかと思いますが、今回は市町役場DXについて、12個の施策の中から以下の4つの取り組みにフォーカスしました。

・BPRへの取り組みの徹底
・DX推進員(外部)の設置
・デジタル人財の確保・育成
・AI・RPAの利活用・運用の定着

・BPRへの取り組みの徹底

最近よく耳にすることが「コンサルタントに描いてもらった戦略は、とても良くできているけど、実際には実行しきれていないんだよね」というもの。

この戦略の質が高すぎる故に実行できない問題。これにより成果につながっていないという落とし穴にはまっているパターンを図にしたのが以下です。

トップダウン(経営/戦略)コンサルを否定しているわけではなく、成果は戦略と実行がセットなので、経営と現場のギャップがある場合、現場の当事者意識が高まらず、実行レベルが落ちることで成果につながりにくくなるという一つのケースです。

多くの自治体は、この理想と現実の乖離が大きいと感じています。だとすると、トップダウンからのアプローチではなく、現場目線にて業務プロセスレベルでの理解をした上で可視化していくこと。その小さな成功体験をどんどん大きくしていき、結果としてビックピクチャー(デジタル行財政改革)が完成される。

そんなアプローチが大切だと考えていて、私たちが提唱しているのが「ボトムアップコンサル」という手法です。

一つ一つの業務を理解した上で、業務プロセスを可視化していき、仮説を立てながらROI算出し、一覧化した上で優先順位をつけて改善していく業務を計画していきます。

・DX推進員(外部)の設置

BPRを計画してインプットするまでなら今までとそんなに変わらないかと思います。私たちの場合は、BPR計画を策定したPMチームの他に、現場にもDXプロが常駐し、職員の人たちに伴走しながら実践していきます。

このアクション(常駐して伴走支援)が、今回の4つの取り組みすべてのハブとなり、重要なキーとなります。

現場の人たちからすると臨場感があり、当事者意識が高まる。また自分自身で実践してみて、業務改善の喜びや生産性向上を感じ、小さな成功体験を積むことで、もっと自発的に行動するようになる。

こうしたオンボーディングから定着までのループをつくるということが最も大切です。

・デジタル人財の確保・育成

そして、現場の伴走支援(OJT)に加えて、もう一つ重要なアクションは、「現場職員のDX育成プログラムの継続受講」という両輪を回すということです。

育成もただ全職員に受けてもらいましょうという単純なものではなく、各部署での実務に合わせたプログラムを組み、OJTを実践しながら継続的なOff-JTで形式知も獲得していくという両輪が回らないと改革が身を結びません。

デジタル人財階層モデル

■デジタルリテラシー人材育成プログラム
年度毎に職員の3~4割に受講いただき、3ヶ年で全職員の履修完了状態をつくる。
■デジタルコア人材育成プログラム
実施初年度は、各課から1名履修完了し、次年度以降はボトムアップで受講者を増員、3ヶ年で全職員のうち3割が履修完了状態をつくる。

各行政の目標、規模に応じてKPIを設計
6年で800名のデジタル未経験者がDXプロ人財として活躍している実績を基に策定されたプログラム

・AI・RPAの利活用・運用の定着

総務省では、スマート自治体への転換において、AIやRPAツールの活用を推奨していますが、AIやRPAはあくまでも手段の一つであります。

土台が出来ていないのに良さそうな柱を建てても雨が降ったら崩れてしまうように、前段の「ボトムアップBPR」「伴走支援」「継続的な育成循環」という土台の上で、更なる効果を発揮するのが各種テクノロジーツールです。

弊社の場合、中小企業シェアNo1の完全無料のRPAツール「マクロマン」は、本日時点で392の自治体に活用いただいています。

まずは無料で試してみて、効果を感じながら少しづつ拡げていく際に弊社のRPA女子を活用いただくことで、より利用促進につなげていただいております。

また、弊社が業務提携をしている国内生成AIツールシェアNo1のエクサウィザーズ社が提携している「ExaBase 生成AI for 自治体」の活用についても、導入から運用支援まで弊社のAI女子が伴走支援をすることで効果を出しています。

これらのツールは一例ですが、ツール群を最も効果的に活用していく仕組みがつくれることが重要です。

まとめ

①BPRへの取り組みの徹底
ボトムアップで現場の臨場感があるBPRの計画を立てることで、現場の職員の当事者意識を高める。その結果実行がされ、当初の描いていた改革に近づく。

②DX推進員(外部)の設置
実践段階では、外部からプロ人財に伴走してもらうことが一番の近道。

③デジタル人財の確保・育成
OJT型での実践と、その職員の人たちが定期的にOff-JTとして形式知を得る機会をつくっていく。育成のみではなく両輪を回すことで定着化し、インハウス化の実現ができる。

④AI・RPAの利活用・運用の定着
①~③の土台ができた上で、これらのテクノロジーツールを活用することで効果が最大化される。かつこのツールでも伴走支援をすることでより加速される。

こうしたループを回していくことで、職場全体にインフルエンスして皆が自分のために実行するようになる。
結果、職員全員がDX人財となって、全体に浸透してビックピクチャー(デジタル行財政改革)に近づいていくというストーリーです。

大切なことは、「一歩踏み出す」
行動あるのみです。
一緒に実現していきましょう!


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