思い出すことなど③ 元気がないのはみんな一緒!
こないだ知り合いと「映画業界が元気がない」という話をした。
確かに否定できないほど映画業界は元気がない。
小津安二郎や黒澤明の時代はどこへやら。
最近はしっかり韓国映画に抜かれてしまった。
という話をすると「面白い映画だってあるぞ!」と怒られてしまうのだが、問題はその素晴らしい面白い映画たちが全く着目されていないことだ。
面白い映画は毎年何本もある。でもそのほとんどが小さな劇場で短く上映されて終わっていく。そして大手のバックアップがあればどんな酷い映画でも大規模で上映されてヒットを飛ばす。
映画業界が観客をダメにし、観客が映画業界にダメにして、今の日本映画がある。
良い映画は評価されないし、海外に輸出する力もないので、外国にも届かない。悲しい限りだ。
でも残念ながら元気がないのはみんな一緒。
僕がいるテレビ業界も全く元気がない。金もないし熱意もない。
面白いコンテンツが飽和していて、自分の好きな時間と場所で楽しめるこの時代に一体誰がテレビを見るのだろうか。
それから出版業界。スマホがあまりに普及しているから誰も本を読まない。特に紙の本や雑誌は死に体になってしまった。
上記の業界はある程度自分たちの行いの結果もあるのだが、演劇や詩文壇はもっと気の毒だと思う。
日本に足りなかったものはなんだろうか?
きっと批評だ。
テン年代、震災後の閉塞感の中で「絆」が社会のテーマになった。
「絆」という紐帯は必ず「外」を必要とする。
「絆」は批評と批判を混同し、それを消してしまったから。
僕は「絆」が大嫌いです。
まあこれは戦前から続いてたことですが。
僕はこれからも批評します。批評はめっちゃ嫌われるけど。
それは僕の大好きなもの・人を救うことになるから。