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【中用量ピル】プラノバール配合錠とはどんな薬?【成分・飲み方・副作用を解説】
今回は、中用量ピル「プラノバール配合錠」について解説していきます。
1.「プラノバール配合錠」の成分
・黄体ホルモン:ノルゲストレル(NG) 0.5mg
・卵胞ホルモン:エチニルエストラジオール(EE) 0.05mg
プラノバール配合錠には、この2種類のホルモンが含まれています。
✔ノルゲストレル(NG)
ノルゲストレルは、別名「ノルレボ」などと呼ばれ緊急避妊薬として使われます。
・排卵抑制
・着床障害
・受精阻害作用
といった作用があります。
✔エチニルエストラジオール(EE)
EEは合成エストロゲン薬です。
ホルモン療法として使われ、前立腺がんや、乳がんの治療に使われたりします。
2.「プラノバール配合錠」の効果・副作用
効果と副作用をそれぞれみていきましょう。(他のピルとほとんど変わりません)
✔「プラノバール配合錠」の効果
プラノバールは女性(黄体・卵胞)ホルモン剤です。ホルモンバランスを整える働きがあります。
【作用機序】
脳に作用して、脳下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑制します。
卵胞刺激ホルモンとか、黄体形成ホルモンとか、よくわからないな。
という方は、作用を理解するためにまずこちらをご覧ください↓
簡単に言うと、先の2つは「排卵」に欠かせないホルモンで、それを抑制することで「排卵」を止める、つまり「妊娠」を防ぐ、ということに繋がっています。
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【黄体ホルモン作用】
黄体ホルモンとは、排卵後に卵胞が「黄体」という組織に変わり、その黄体から出てくるホルモンのことです。
・排卵を抑える
・子宮肥大・子宮収縮を抑える
上記の作用があります。
参考:KEGGデータベース
✔「プラノバール配合錠」の副作用
・悪心・嘔吐
・食欲不振
・頭痛
・不正出血
・乳房緊満感
・浮腫・体重増加
上記のマイナートラブルが生じる場合があります。
だいたい1~3か月程で治まってくるものなので、あまり心配しなくても大丈夫です。
加えて頻度は少ないですが、より重大な副作用に「血栓症」があります。
【血栓症】
血栓症といっても、四肢血栓症、肺血栓症、脳血栓症、網膜血栓症、などと様々です。下記に症状を挙げます。
血栓症の症状
・下肢の急激な痛み、腫れ
・突然の息切れ、胸の痛み
・手や足に突然力が入らなくなった、痺れてきた
・突然目が見えにくくなった
上記のような症状が現れたら、速攻服用を中止して、医療機関を受診してください。
もう少し詳しく知りたい方は、下記のリンクにまとめましたので是非ご覧ください↓
【ピル】血栓症の症状と予防策について解説します。【知らないと危険かも】
怖い病気ですが、妊婦さんよりリスクは少ないです。
3.「プラノバール配合錠」の適応
適応は、以下です。
・機能性子宮出血
・月経異常
・月経困難症
・子宮内膜症
・卵巣機能不全
いずれも医師の診断が必要で、「避妊用」として使われていないのが特徴です。
ただし、効果的に言えば避妊効果はあります。
4.「プラノバール配合錠」の飲み方・注意点
プラノバールは21錠で1シートの薬です。
飲み方は、診断された疾患によって2種類に分けられます。
✔「プラノバール配合錠」の飲み方
【機能性子宮出血の場合】
1日1錠を、7〜10日間連続投与する。
【月経困難症、月経周期異常、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全の場合】
1日1錠を、月経周期第5日より約3週間連続投与する。
飲み方が全く異なりますので、医師の指示をよく聞いてください。
✔「プラノバール配合錠」の注意点
次に該当する方は、服用が禁忌とされています。代表的なものを挙げます。
・血栓性静脈炎、肺塞栓症又はその既往歴のある人
・エストロゲン依存性悪性腫瘍(乳癌,子宮内膜癌etc)及びその疑いのある人
・重篤な肝障害のある人
・前回妊娠中に黄疸又は持続性瘙痒症、耳硬化症の既往歴のある人
・妊娠ヘルペスの既往歴のある患者
・脂質代謝異常のある人
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
・診断の確定していない異常性器出血のある人
【プラノバールQ&A】
・なぜ血栓性静脈炎、肺塞栓の既往や症状があるとだめなのか
→理由:血液凝固能が亢進され、これらの症状が悪化又は再発することがあるためです。
・なぜ乳がんや子宮内膜がんがあったり疑いがあるとだめなのか
→理由:エストロゲン作用により、腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがあるためです。
・なぜ異常性器出血は診断が確定していないとだめなのか
→理由:悪性腫瘍の場合、症状を悪化させるおそれがあるためです。
5.まとめ|プラノバール配合錠とはどんな薬?
以上、「プラノバール配合錠」に紹介しました。
・ノルゲストレル(NG)とエチニルエストラジオール(EE)の2種類のホルモンが含まれている
・卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑えることで効果を発揮する
・副作用には「マイナートラブル」と「血栓症」がある
・飲み方には2種類あり、診断された疾患によって異なる
・避妊目的での処方はされていないが、避妊効果はある
このようにまとめます。
避妊用というより、治療の一つとして使われる「ホルモン剤」という認識が正しいですね。
診断がつけば保険適応なので、もし医師に勧められていたり、気になっている方は参考にしてみてください。
それでは!