【血栓症】一般的な症状が起こらなくても気付ける?【ピルを飲んで1年3か月での発症】
ピルのリスクで一番怖いのってやはり「血栓症」ですよね。
日頃から水をたくさん飲んだり、こまめに足を動かしたりして予防している人もおおいのではないでしょうか。
しかし、世の中に「絶対」はありません。万が一、血栓症を発症した時すぐ受診できるよう最低限起こりやすい症状は知っておくべきですよね。
✔今回紹介する文献はこちらです。
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)にて静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した1例
一般的ではない症状を皮切りに、1年3ヶ月で血栓症を生じた一例をご紹介します。
1.服用1年を過ぎても血栓リスクはある
紹介する症例では、ピルを服用して1年3ヶ月後に血栓症を発症しました。
✔ピルによる血栓リスクは服用して4ヶ月以内がピーク?
「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」によると
低用量ピルによる血栓症リスクは服用して4ヶ月以内に認められる
と示されています。
長く使用することでリスクは減っていくとも言われていますが、これは血栓リスクのある人が使用をやめていっているからだといわれています。
体がピルになれたから血栓症のリスクは減るんだ!みたいな理屈はないようですね。
✔じゃあ何年経ったら大丈夫なの?
結論、何年経っても100%大丈夫はありません。
服用したての人も、服用して1年の人も、私のように3年以上経つ人も、リスクはある、という意味で同じです。
だからこそ自分の身の異変には他の人よりちょっとだけ深くアンテナをはる必要があります。
でも、今回の事例でちょっと変わっていることは「通常と出てきた症状がちょっと違う」ことです。
次の章で詳しく見ていきます。
2.決して一般的な症状がはじめからでるわけではない?
今回の例で最初に起こった異変は「股関節から太ももへの筋肉痛」でした。
✔症状は一概に"これ"とは言えない話
これまで、血栓症にはこんな症状がでるよ!と記事で紹介してきました。
一応今回もざっと挙げます。
【血栓症の症状】
・激しい頭痛・吐き気
・呼吸が苦しい感じ
・足の痛み、腫れ
・熱っぽい感じ
・胸の痛み
どこに血栓が起こるかによって変わってきますが、やばいぞと自覚できるものは以上の症状です。
しかしこの事例は違いました。
「股関節から太ももへの筋肉痛」
もし私だったらきっと普通に仕事を優先していたと思います。
痛みなんて市販のロキソニンとかのんで我慢できるっしょ!みたいな。
普通にちょっと怖いですよね。どこに潜んでいるのかわかりません。
✔今回の症例の経過
ここで、今回の症例の経過を簡単に解説します。
1年3ヶ月経過後 右股関節~大腿直筋に痛みを認め、整形外科を受診。
その13日後 右下腿部痛が出現。
16日後 整形外科再診、血液検査と症状、CTにより血栓症と診断。
通院治療として、フォンダバリヌクス投与+ワルファリン内服+弾性ストッキング着用開始。
治療開始して10日目 胸痛あり来院。CTや心エコーで異常なかったが念の為入院し、ヘパリンナトリウム投与を開始。
その3日後 胸痛はなくなり、退院となる。
低用量ピルについては、入院翌日に中止しジェノゲストへ変更+ワルファリン内服と併用することとなりました。6ヶ月後にワルファリン内服は終了となったそうです。
本当、早めに受診して「血栓症」だとわかった時点ですぐ治療を開始できたのがすごく良かったと思いました。
治療が遅れたら命に関わる疾患ですし、既に3つの死亡例もあるので、早期発見・早期治療は大事だと実感した一例でした。
3.今回の事例から学べること
今回の事例から学べること、それは以下です。
・血栓症リスクは、服用歴によらずずっとあるので注意が必要
・思いがけない症状から血栓症が見つかることもあるので、自分の体の異変にはアンテナを高くはっておこう
・本来の血栓症の症状を頭に入れておくことも大切
・早く治療できれば、長い経過を辿らず治療を終えることができる
一般的な話ではなく、「こんな血栓症の見つかり方もあるよ」という一つの事例紹介でした。
確かに注意しなくちゃいけないことですが、そこまで神経質に自分の体と向き合っていては心が持ちませんよね。
なので、私の結論としては
「予防を普段から意識して実行しよう」
です。
リスクの話ばかりしているのでメリットの方に視点がいきにくいかもですが、ピルは私の人生をいい方向へと変えてくれたとても有用なお薬です。
既にピルを服用している女性、これから服用しようと思っている女性はぜひ、メリットとリスクを考えながら服用していってください。
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