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【発見】「子宮内膜症」の予防にピルが効果的?!避妊以外での新しい使い方

ピルというと「生理を軽くする」「避妊をする」というイメージがありませんか?


月経困難症や子宮内膜症の治療目的でピルを飲んでいる人もいると思います。

今回は、上記に加え「ピルは子宮内膜症の予防ができる」という新しい発見がありました。

子宮内膜症は不妊の原因にもなる怖い病気です。予防できるものなら、予防していきたいですよね。

ピルが本当に子宮内膜症の予防になるのか、2つの学術論文を取り上げわかりやすくお伝えしていきます。ぜひ最後までお読みくださいm(__)m


1.子宮内膜症の概要


まずは子宮内膜症の概要から見ていきましょう。

✔子宮内膜症とは

子宮内膜症とは、子宮内膜またはそれに似た組織が本来ない場所(子宮以外のところで)発生し、育つ疾患 です。

女性ホルモンによって増殖するので、月経時に本来出されるべきものが出なかったり、卵巣や腹腔に癒着して痛みを引き起こすことがあります。

最終的には不妊の原因にもなってしまう、怖い病気です。

✔頻発部位

卵巣やダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)に発生することが多いです。

なぜこのへんが多いのか、というのは「子宮内膜症の原因」を知ればわかります。
このあと解説します。

2.ピルはなぜ子宮内膜症を予防できるのか?


子宮内膜症についてなんとなく理解できたところで、次は「なぜピルが子宮内膜症を予防できるのか」について深堀りしていきます。

①その答えは、子宮内膜症の原因にある

子宮内膜症がなぜ起こるのか、という問に「これが原因です!」と言い切れるものはまだ見つかっていません。

しかし、子宮内膜症を引き起こすのに「生理」自体が原因なんじゃないの?という意見もあります。

✔「生理自体が子宮内膜症のリスク」ってどういうこと?

生理がくる時、剥がれた子宮内膜は子宮から膣を通って外に排出されるのが正常ですが、時として剥がれた内膜の一部が卵管を通り、お腹の方に逆流してしまう現象が起こります。

逆流した先で子宮内膜が育つとくっついて離れられなくなったり(癒着)、それでも剥がそうと身体が頑張った時に強い痛みが生じたりするわけです。


②子宮内膜症を引き起こす「生理の逆流」は予防できないの?

残念ながら効果的な方法は見つかっていません。

が、

「ピル」を使うことで対策はできます。

月経の量が多ければ多いほど、そして生理の回数が多いほど逆流のリスクは上がりますよね。

つまり子宮内膜症のリスクの観点から言ったら、月イチの生理は「リスク因子」でしかありません。

生理が月に一度来ていることが「正常」であり「望まれるもの」と皆さん思われていると思います。
「生理を止めるなんて身体に良くない!」と思っている方も少なくはないでしょう。

しかし、それがそもそも間違っていたんです。

生理自体が子宮内膜症のリスク、なんて知らない人多そうですよね

3.今子宮内膜症ではない若い人も、予防としてピルを飲むメリットは大きい

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面白い研究がもう一つあったので紹介します。

✔若い頃の強い月経痛は、子宮内膜症を発症するリスクになる!

2010年の研究から、10代から20歳前半におこる強い月経痛が将来「子宮内膜症」を発症するリスクとなることが明らかになっています。

相対危険率はなんと2.6倍!

結構驚きの結果ですよね。

私も今はヤーズフレックスを使用していますが、昔はロキソニンを飲んでそれでも痛みを感じながら過ごせていたレベルでした。

このままピルを知らずに過ごしていたら子宮内膜症になっていたかもしれないと思うと、ちょっと怖いところではあります。

子宮内膜症が簡単に治る病気ならまだ良いです。

しかし一度発症すると閉経までずっと付き合っていかなければならない長い病気なので、できれば避けたいですよね。

✔我慢しなければならないほどの生理は、危険かもという認識を持とう

生理=みんな苦しくて辛いものだから我慢すべきだ

という認識が一般的になっている世の中。

特に未成年の意思決定を行う親世代は、未だ「ピルは怖いものだ」「体に悪いものだ」という認識が染み付いている事が多く、肯定的な意見を持っていないことが多いです。

しかし、その誤った認識が娘の不妊、そして閉経まで伴う病気のリスクを高めているという認識を持つ必要があります。

HPVワクチンにも似たものを感じますよね。安全性は保障されているのに、未だ接種率が超低値な現状です。

今度20歳を超えてきたら、自分でピルの選択をすることが可能となります。
ピルのメリット・デメリットを知り、自分に合った選択をしていけたらいいですね。

✔生理痛が大変であれば保険診療でピルを使えるかも

「月経困難症」という病気があります。

これは生理痛が重くて鎮痛剤を使ってもあまり改善されなかったり、PMS症状によって日常生活に大きく支障がでている状態。

月経困難症と診断されれば、保険診療で超低容量ピルや低用量ピルの処方をうけられます。

ヤーズだと3シートで約6000円、ヤーズフレックスだと約7500円くらいです。

 
実際、私も上記の診断をうけてヤーズから使い始めました。


✔ヤーズフレックスって正直どう?

120日間生理がこないのでとても快適なのと、量もとても減ったので痛みも軽減し、正直ロキソニンとか要らないレベルまで改善しました。

酷かったPMS症状もよくなったので、仕事に支障を来すことがなく快適です。


ピルには当然お金はかかるしリスクもあることです。

しかし月イチの生理でもある程度の費用はかかってしまうこと、リスクも注意していれば問題ないことを考えると、あとは自分の価値観なのかな、と思います。

4.「子宮内膜症」の予防にピルが効果的?!まとめ

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以上、「子宮内膜症の予防」に「ピル」が効果的という話でした。

本記事のポイントをまとめます

・子宮内膜症とは、生理の時血が卵巣に逆流してしまう現象が何度も起こって引き起こされると考えられている
・つまり、生理があるほどそのリスクは高まる
・生理の回数、そして月経量を少なくできるピルは子宮内膜症の予防に効果的である
・10代から20代前半までに強い月経痛を感じている人は、子宮内膜症を発症するリスクが高いという研究もある

治療、そして避妊の観点でピルはとても有用なお薬ですが、不妊の原因にもなる子宮内膜症を予防できるという意味でもまた有用であることが判明しました。

参考にした論文の一節にこうあります。

「月経は我慢するものではなくコントロールするもの」

我慢することで得られるものはなにもありません。むしろ、デメリットを得てしまうことが多いでしょう。

身体と心の健康を維持・促進するために、生理に対する意識を少しづつ変えていく必要がありますね。


それでは、今回は以上です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

✔参考文献

・江川美保.(2020).「月経随伴症状―機能性(原発性)月経困難症と月経前症候群/月経前不快気分障害」.『雑誌名』60,515-520.
・Treloar SA, Bell TA, Nagle CM, et al:Early menstrual characteristics associated with subsequent diagnosis of endometriosis. Am J Obstet Gynecol 202:534. e1‒6, 2010


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