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【低用量ピル】「アンジュ」ってどんな薬?【徹底解説】

今回は、低用量ピル「アンジュ」について解説していきます!

同じ低用量ピルに「トリキュラー錠」という薬があるけど、どう違うの?

よくこんな質問があります。

実は、トリキュラー錠とまったく同じ成分・ホルモン含有量なんですよね。
では違いは何かというと、「製薬会社」です。

・アンジュ→あすか製薬株式会社
・トリキュラー→バイエル薬品株式会社

こちらの記事を見ていただいても概要はわかると思います。↓

【経口避妊薬】トリキュラーってどんな薬?

アンジュはアンジュの飲み方やパッケージがあるので、それらについて知りたい方はぜひこのまま読み進めてください。

それではいきましょう!


1.低用量ピル「アンジュ」の成分

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「アンジュ」には、以下のホルモンが含まれています。

①黄体ホルモン:レボノルゲストレル(LNG)
(赤褐色:0.05㎎、白色:0.075㎎、黄色:0.125㎎)
②卵胞ホルモン:エチニルエストラジオール(EE)
(赤褐色:0.03mg、白色:0.04mg、黄色0.03mg)

アンジュは三相性なので、色ごとに含まれるホルモン量が違います。
最後の方でまた解説しますね・・!

①レボノルゲストレル(LNG)

「ノルレボ」などと呼ばれ、単体では緊急避妊薬としても使われる薬です。
以下の作用があります。

排卵を抑える
着床障害を起こす
受精阻害作用を発揮する


②エチニルエストラジオール(EE)

持続性をもたせた合成エストロゲン薬です。
ホルモン療法として、前立腺がんや、乳がんの治療に使われたりします。


2.低用量ピル「アンジュ」の作用・副作用

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「アンジュ」の作用、そして注意すべき副作用について解説します

①「アンジュ」の作用

アンジュは「経口避妊薬」として使われるお薬で、主に下記の作用があります。

・排卵を抑える作用
・子宮内膜の変化によって着床を阻害する作用
・頸管粘液の変化によって精子の通過を阻害する作用

それぞれ具体的に解説します。

✔排卵を抑える作用

健康な成人女性7人に連続21日間服用してもらい、その間のホルモンの濃度を測る研究が行われました。

・血漿中LH・FSH濃度を、服用を始めた時期と排卵するだろう時期の前後に測定
・血漿中プロゲステロン濃度を投与開始時と、排卵後ちょっと経った後くらいの時期に測定

その結果、

・排卵にはLHサージと呼ばれる現象が必要だけど、それが起こっていなかった
・排卵していたら上昇するはずのプロゲステロンが、上昇せず低い値を示していた

ことがわかりました。

「LHサージとかよくわからないよ」という方は、こちらの記事を参考にしてください。

参考:【今さら聞けない】「月経」のしくみを徹底解説【保存版】


✔子宮内膜の変化によって着床を阻害する作用

健康な成人女性28人にアンジュと同一の製剤を連続21日間服用してもらい、2〜21日目の間に子宮内膜の形態を観察しました。

その結果、アンジュを服用した女性の子宮内膜では、受精卵が着床にしくくなるような性状の変化が認められました(外国人データ)。

✔頸管粘液の変化によって精子の通過を阻害する作用

健康な成人女性6人にアンジュと同一の製剤を連続21日間服用してもらい、頸管粘液の性状と粘液中の精子移動速度を服用していない人と比較しました。

その結果、服用している人の頸管粘液は、排卵後の状態(精子を通さないようにするための粘々とした状態)と似ていました。
また、服用している人の精子移動速度は、周期を通じて低い値でした(外国人データ)。


②「アンジュ」の副作用

マイナートラブルが発生すると報告されています。

・悪心(気持ち悪さ)
・嘔吐
・下痢
・腹痛
・乳房痛
・頭痛

データによると、マイナートラブルの発現頻度は690例9,638周期中29.42%(203/690例)でした。
消化器症状が最も多かったです。

そして頻度は少ないですが、より重大な副作用に「血栓症」があります。

血栓症といっても、四肢血栓症、肺血栓症、脳血栓症、網膜血栓症、などと様々です。下記に症状を挙げます。

・下肢の急激な痛み、腫れ
・突然の息切れ、胸の痛み
・手や足に突然力が入らなくなった、痺れてきた
・突然目が見えにくくなった

このような症状が現れたら、速攻服用を中止して、医療機関を受診してください。
もう少し詳しく知りたい方は、下記のリンクにまとめましたので是非ご覧ください。

「血栓症」をもっと詳しく知りたい方へ

【ピル】血栓症の症状と予防策について解説します。【知らないと危険かも】


怖い病気ですが、妊婦さんよりリスクは少ないので安心してください。


3.低用量ピル「アンジュ」の飲み方・注意点

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「アンジュ」の飲み方、注意点を解説します。

①「アンジュ」の飲み方

飲み方には2種類あります。

✔アンジュ21錠

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引用:LOC 低用量ピル普及推進委員会


・1周期目:1日1錠を毎日一定の時刻に赤褐色錠から飲み始め、順番に従い21日間連続で服用し、7日間休薬します。
・2周期目:29日目より1周期目と同様に赤褐色錠から1日1錠を21日間連続で服用し、7日間休薬します。
・3周期目以降:2周期目と同様に服用していきます。


✔アンジュ28錠

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引用:LOC 低用量ピル普及推進委員会


・1周期目:1日1錠を毎日一定の時刻に赤褐色錠から飲み始め、順番に従い28日間連続で服用します。
・2周期目:29日目より1周期目と同様に赤褐色錠から1日1錠を28日間で服用します。
・3周期目以降:2周期目と同様に服用します。


✔補足:なぜピルに色がついているのか

なぜなら、アンジュは3相性のピルだからです。

ピルには1相性と3相性があります。

・1相性ピル・・・ホルモン配合比率が同じ錠剤を服用する
・3相性ピル・・・21日の間に配合比率を変えた3つの錠剤を飲み分ける

アンジュは3相性ピルなので、1シートの中には配合比率の異なる3つの錠剤があるわけですね。
飲み違いを防ぐために、錠剤が色分けされているのです。


✔おススメなのは、「アンジュ28」

理由:管理がとても楽だから

アンジュ21では、休薬期間が設けられています。
なので、いちいち「今薬を飲まなくなって何日目か」を意識する必要がありますよね。

でも、28ではそんな必要ありません。
7日分は「偽薬」といって、ホルモンの含まれていない錠剤をのむことになります。

目の前にある薬をただ飲み続けるだけでいいので、管理がとても楽です。


②「アンジュ」を服用するときの注意点

・月経第1日目から服用を開始する
・服用開始日が月経第1日目から遅れた場合、最初の1週間は他の避妊法を併用する
・のみ忘れがあった場合、翌日までに気づいたならば直ちにのみ忘れた錠剤を服用し、その日の錠剤も通常どおりに服用する
・2日以上連続してのみ忘れがあった場合は服用を中止し、次の月経を待って服用を再開する(のみ忘れにより妊娠する可能性が高くなるので、その周期は他の避妊法を使用する)
参考:KEGGデータベース

他のピルと注意点は一緒です。

28錠タイプのアンジュの場合、後半に赤色の錠剤があると思います。
これは「プラセボ錠」といってホルモンが何も入っていないつぶなので、飲み忘れても大丈夫です。


4.まとめ

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以上、「アンジュ」についてでした。

本記事のポイントをまとめると、

・「アンジュ」は、エストロゲンが50μg未満の低用量ピル
・錠剤によって含まれるホルモン量が異なるため、飲み間違いを防ぐために色がついている
・副作用には「マイナートラブル」と、「血栓症」がある
・飲み方には2種類あり、28錠タイプの方が管理が楽
・「トリキュラー錠」と全く一緒のホルモン剤。製薬会社が違うだけ

です。

アンジュについての知識をつけるのと同時に、血栓症やホルモンの動きについても理解を深められたらいいですね。

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