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「朝9時」

「じゃあ、朝9時に集合ね」とメッセージで言われた夜、次の日が楽しみだという気持ちからあまり眠れなかった。普段は布団に入ったら大体5分後には眠っているから、いつもと違う場所での待ち合わせに嬉しさとわくわくして、きっとそんな心地だったんだろう。まだまだ寒い時期の話。

母の用事で、私が住んでいる場所の近くまで来るというので、ちょうど良い距離感の駅の構内で待ち合わせをして、一緒に朝ご飯を食べた。「美味しいね」という言葉と一緒に、近況を言い合ったり、仕事の悩みを相談したり、色々話した。厳しいし、難しいこともあるけど、今はまず目の前にあることを一つずつクリアしていこうと思えた。

地元を離れて暮らすようになってから10年が経とうとしている。10年かぁと思う。この10年は、生活や考え方の土台をつくる大事な年月だったと思う。目で見える部分、慣れないこともなるべく一人でやってきたように思うけど、心の置き場所や精神的には「帰る場所」に支えられてきたことも同じように思う。一人じゃ挫けていたことも周りの環境や人間関係によって一歩ずつ乗り越えられたこと、感謝の気持ちを忘れずに過ごしていきたい。

家族は本当に大切。母の、祖父祖母に対する接し方や思いやりを見てきて、心底そう思う。21歳の秋、寒くなった時期に車の後方に座りながら、助手席で見た母の横顔がどうしても忘れられない。祖母が亡くなる間際、急遽地元に帰った時のこと。その時どんな話をしたのか、詳細までは覚えていないけど、場面では、くっきりと思い出せるほど覚えている。もう何年も経つのに、心の中にしっかりと残っている。やさしい人だった、やさしくて温かい人だった、そんな人をとても尊敬していた。

こうして文章を残して、またいつか見返した時にどんなことを思い出すのか、何が記憶に残っているのか、そもそもこの文章自体が残るのかどうかも分からないけど、書き残しておくことにする。前にもそんな風に書いて、どこかに文章が残ったことがあったかもしれない。家族に対する気持ちも、離れ過ぎず付き過ぎず、それくらいがちょうど良いのかもしれない。

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