#510 私が「私」であり続けるために
アメリカの心理学者エリクソンは、ヒトの児童期発達を、行動の質的差異によって特徴づけられる段階に分割できるという発達段階理論(漸成的発達理論)を提唱しました。
その中で、青年期(13〜22歳)には、「アイデンティティーの確立」が大きな課題だと述べています。
アイデンティティーとは自分が誰なのかということ。私たちは生まれてから他者(広義で言えば社会)と関係性を持ちながら生きていきますが、様々な他者に影響を受けつつも、この世で唯一無二の存在ある「自分」を意識してきます。
それは自分という存在価値を他者(社会)に委ねず、自分自身のありようを自分で決定していくことであると言える。
意思を持った一人のヒトとしての「私」が持つ思考は、誰にも侵される事のない権利であり、その価値を私たちが真に理解できた時、そこに「アイデンティティー」が確立されるのではないかと個人的には思っている。
他者(社会)のルールに縛られ、その中で主体性を徐々に奪われたヒトは、本質的な意味において「アイデンティティー」そのものが消えていく。
そんなことをふと思う、春の一日。