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#579 伏魔殿〜学校に存在するSHOGUNの亡霊〜

 江戸幕府の5代将軍である徳川綱吉は、人々が仁心を育むための施策として、「生類憐れみの令」を発布しました。綱吉は自分が死んでからも、この政策を続けるようにと遺言し、1709年2月19日にこの世を去りますが、同年2月中にはこの法令は消滅してしまうということが起こります。

 独裁政治の怖いところは、良くも悪くも、「トップに立つ者の思想」が変化に非常に大きな影響力をもち、またそれが「瞬時」に結果として現れることにある。

 時として、その内容をしっかり吟味せず、「好き嫌い」で物事が成立してしまうことがあります。

  『中学部活動「ヒップホップ禁止令」生徒ら泣いて抗議 専門家も疑問』という記事を見つけました。

 東京都千代田区立・麴町(こうじまち)中学校のダンス部の部活動をめぐり、学校側による事実上の「ヒップホップ禁止令」に生徒や保護者らが反発。区の教育委員会に抗議文書を提出する異例の事態になっているそうです。

 興味深いのは、麹町中学校は、児童・生徒の自主性を重んじる改革を進めていた点で、全国的にも有名な公立中学校でした。記事には昨年度以降、そのような改革を見直す動きが出てきているとのことなので、おそらく校長や教頭と行った管理職の交代が、その原因にあると想像できます。

 日本若者協議会代表理事である室橋祐貴氏は、この記事内容に対して以下のようなコメントを書いています。

 日本若者協議会が法的根拠のある形で学校での子どもの権利保障(学校内民主主義の実現=子どもの意見反映など)を求めているのは、こうした「バックラッシュ」を防ぐためです。特定の校長のリーダーシップによって実現した改革は、同じく特定の校長によって元に戻ることが容易に想像できます。現状、日本では教育関連法規(教育基本法や学校教育法など)や学習指導要領で子どもの権利が明記されていません。学校を民主化し、子どもの意見を尊重した学校に移り変わるためには、法制度化が欠かせません。

 校長や教頭などの管理職が「将軍」と機能する学校現場では、彼らの思想が大きく反映されてしまいます。そこには民主的なプロセスは存在しないし、結果児童・生徒の学びをや主体性を奪うことになりかねない。室橋氏が指摘するように、法整備によって「王」の権力を制限することは、マグナ・カルタでも実証されている大切なプロセスです。

 犬公方が独裁君主として君臨する組織に、未来はありません。

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