[3135]番外編・デリバティブ評価損益を発生させている「差金決済型自社株価先渡取引」について解説します
当社の連結損益計算書の営業外損益の部に登場する「デリバティブ評価損益」について多くの質問が寄せられておりますので、改めて回答させていただきます。
※なお本稿においては、投資家皆様の理解促進ため、厳密には契約上の用語・定義とは異なった表現を用いる可能性があります。万一、本稿と過去公表の適時開示資料との間で内容に齟齬のある場合は、過去開示資料が優先されますこと予めご承知おきください。
(過去開示資料)
2022年9月14日付「差金決済型自社株価先渡取引の締結に関するお知らせ」
2022年9月14日付「差金決済型自社株価先渡取引に関する補足説明資料」
2024年9月4日付「差金決済型自社株価先渡取引の先渡期間延長及び先渡価格変更に関するお知らせ」
1.きっかけは、大株主からの持株(40万株)売却意向表明
当社グループの損益計算書に、この「デリバティブ評価損益」が登場するようになった経緯は、過去(2022年)に、当社株式40万株(発行済み株式総数の7.5%)を保有する大株主からの持分解消要請があったことに遡ります。
当社は上場時よりYJキャピタル(現・Z Venture Capital)からの出資を受けており、上場から7年経った2022年には、同社から「ファンドクローズとともにYJCが保有するマーケットE全株式(40万株)につき売却ニーズが発生することになった」との意向を受けました。
しかしながら、この40万株が市場放出されると、株式の需給バランスに悪影響が生じ、適正な株価形成を妨げる可能性あることから、当社にはこの事態を回避する必要が生じました。
その際に、当該40万株の一時保有をSBI証券にお願いすることにしたのが、本「差金決済型自社株価先渡取引契約」(デリバティブ契約の一種)のはじまりとなります。
2.関係者と各関係者が負う権利・義務の整理
まず、本契約の締結により、YJCが保有する40万株の当社株式は、SBI証券が市場外取引で購入しており、本契約が有効な期間中(※本稿執筆時においては2026年9月14日まで)は当該株式の処分には一定の制約が課せられています。
当社は、SBI証券に自己資金でこの株式を取得してもらう代わりに以下の二つの義務を負いました。
① 契約締結時に設定した株価(これを「先渡価格」といいます)を基準とした、満期日以降の最低売却額の保証
② 申込証拠金の差し入れ
当社の連結損益計算書にデリバティブ評価損益が計上されるのは、上記①に起因します。(②については契約締結における保証金のようなものですので、今回の説明では割愛します。詳しくは開示資料P3「(17)当初申込証拠金」欄をご確認ください。)
①の契約内容がデリバティブ評価損益の計上根拠になっており、その概要は以下のとおりです。
SBI証券にとっては取得時点での株価(907円)にプレミア(2%)を載せることで、契約満期時(=将来売却時)の最低売却価格(これを「先渡価格」といい、原契約締結時は1株当たり907円×102%=926円で設定(※))を確保し、一方で当社は、契約満期時に当社株価がこの先渡価格を下回っていた場合には最低売却価格を保証する(実売価格と最低売却価格との差分を当社が補填する)リスクが生じるものの、先渡価格を上回っていた場合には、その超過分の売却益を、SBI証券と当社との間でSBI証券25%:当社75%の割合で按分して受け取るという契約内容になっています。
(※)先渡価格はその後、2024年9月の契約更新時に971円に見直されております。
3.デリバティブ評価損益算出に関する具体的な考え方
このような契約内容に基づき、各四半期決算期末においてこの契約から得られる将来収益(ないし将来損失)を時価評価したものが、連結計算書類で計上されるデリバティブ評価損益になります。
以上の前提をもとに、これまで各四半期末において計上されてきたデリバティブ評価損益の算定方法は以下のようになります。
(注)厳密には、本デリバティブ評価損益については監査法人による会計監査を経て確定するものであり、各四半期末時点の株価をもって機械的に評価損益が確定するものでない点、くれぐれご注意ください。
デリバティブ評価損益の計算諸元(IR note用)
ご注意(再掲)
(1) 先渡価格はその後、2024年9月の契約更新時に971円に見直されております。
(2)本デリバティブ評価損益については、厳密には監査法人による会計監査を経て確定するものであり、各四半期末時点の株価をもって機械的に評価損益が確定するものでない点、くれぐれご注意ください。
4.IRお問い合わせ
IRに関するお問い合わせは以下の専用問合せフォームからお問合せください。原則翌営業日までにご回答さしあげます。
※お問い合わせ内容によっては、返信までにお時間をいただく場合がございます。また、沈黙期間中は原則、お問い合わせへの対応を差し控えさせてさせていただきますのでご容赦ください。