[3135]2024年7~9月開催 個人向けIR説明会での主な質疑応答内容
2024年7月~9月に開催しました個人向けIR説明会(計3回開催、のべ約600名ご参加)において、出席者の皆さまからいただいた主なご質問と弊社回答をまとめております。
※なお、回答内容につきましてはいずれも9月20日時点のものであり、記載内容につきましてはテキスト化するにあたり、ご理解いただきやすいよう加筆修正をさせていただいております。
1.リユース市場の展望
Q.マーケット展望と今後の市場成長率をどのように見込んでいますか。また、その前提となる キーファクターについて教えてください。
A.リユース市場の業界平均成長率は年間6.2%で推移しており、その市場規模については2022年に3兆円だったものが2030年には4兆円に迫る見込みです。最近では、個人のリユース意識も高まってきており、また、インターネットの普及により、ネットでの売買が一般的になってきています。こうした背景もあり、リユース市場は年々拡大の一途をたどっています。
また、2次流通に入った商品が再度リユースされる回数も今後さらに増加すると考えていますので、今後も市場規模は拡大していくものと予測しています。
市場成長のキーファクターとして、弊社では2つを大きなポイントとして捉えています。まず1つ目は、人口動態の変化です。日本の現在の人口は約1億2000万人ですが、2060年には9000万人を下回ると政府の統計データでは予測されています。このような少子高齢化や人口減少の状況下、多くの商品が市中に放出され循環するギガトレンドがしばらく続くと見ています。その中で、弊社は様々な商品買取ニーズに対応してゆくことが重要な要素であると考えています。
もう1つは、リユース市場の規模と潜在需要についてです。顕在化している市場規模は約3兆円ですが、潜在需要は67兆円にも及ぶとされています。ただし、統計データには中古農機具や中古自動車など、他の業界セクターとして分類されているものが含まれておらず、リユース市場全体には統計に反映されていない部分が多くあります。そのため、いわゆる中古市場の拡大する余地は相当に大きいと考えています。
当社はデジタルに強い企業として、日本でもっとも多くの買取依頼をインターネット経由で受けており、今後ともヒアリング能力や対応力を高めることで、さらなる業容拡大を目指していきたいと考えています。
2.連結PLについて
Q.直近決算では売上は過去最高ながら最終赤字転落、経常利益以下が大幅に縮小している。この数年見ても赤転黒転の繰り返しだがなぜ安定しないのか?
A.設備投資がひと段落し営業利益率の低下も底打ちし、しっかり利益が出るフェーズになってきたので当期(2025年6月期)は特に2Q以降、金額ベースでも上がっていくと考えている。
前期(2024年6月期)において利益の圧迫要因となったのは、この拠点開設やコンタクトセンターの拡充など設備投資によるもの。その一方で、想定通りの利益が創出されてないということで190百万円の減損損失を計上した背景がある。前期はこの減損損失が最終損益に大きく影響したが、当期は、本来であればこれら設備投資に対し発生するはずだった減価償却費が前期に一括償却された形になっているので、償却負担は軽くなっている。
全体としては、設備投資が完了し販管費はじめとする各種支出(費用)が下がりはじめ、ようやく営業利益が出て、株価も上昇局面に入るフェーズになってきたと考えている。前期は2Qで行った下方修正等でご心配かけたが、ようやくしっかりと伸びていくタイミングを迎えたと考えている。
Q.同業他社に比べて営業利益率が悪いように感じるがなぜか?
A.当社では、前期(2024年6月期)に至るまでは戦略的な投資期間と位置づけ、個人向けリユース分野では東住吉・大阪・広島でのリユースセンターの新設およびコールセンターの拡充、マシナリー(中古農機具)分野では北関東リユースセンターの近隣に第2ヤードを設けるなど、設備投資を加速してきた。また、人材の採用・育成についても加速を図り、現状、多くの人材が戦力化してきている。これらと並行してDX(デジタルトランスフォーメーション)を中心とするシステム投資も推進してきており、当期(2025年6月期)決算においてはその成果が見られるタイミングとなっている。今後の営業利益率の改善状況については、ご期待いただければと思う。
Q.デリバティブ損失と聞くと財務リスク管理に不安があるように感じられますが、これは一体何に関わるものなのか?
A.通期決算資料にて説明しておりますので、詳細はそちらをご確認いただければと思います。もとをただすと、弊社は上場前にヤフー社のベンチャーキャピタル・YJキャピタルに7.5%の株式を保有していただいておりました。その後、株式保有期限が満期を迎え、弊社の株式を市場に放出したいという相談が同社よりありました。
もしそのまま市場に放出すると、株価に大きな影響が出る可能性があったため、SBI証券の先渡決済という仕組みを利用し、デリバティブ取引をスタートしました。簡単に説明すると、株式の業績が向上すれば当社の経常利益が増加し、逆に下がると経常利益に悪影響が出るという仕組みです。
初めの設定時点では順調に進みましたが、前期は損失が計上されました。とはいえ、設定時からの2年間トータルでは大きな変化はなく、現実的にもキャッシュの流出は発生していませんが、デリバティブ取引の損益として決算書には計上されるというような状況です。
今後、この取引については弊社としては段階的に解消していく予定です。取引は2年前から開始し、現時点におけても継続中ではありますが、中長期的には解消していく方向で進めていきます。
3.ネット型リユース事業>個人向けリユース分野
Q.他社と比較した優位性はどこにあるのか?
A.デジタル集客というのがまず1番大きな強み。個人向けリユース分野だけで、買取のご依頼が年間43万件獲得できている。他社に比べご依頼をいただくためのコストについて、効率的に買取のご依頼をいただける仕組みになっている。
当社は個人向けリユース全国13拠点のリユースセンターにて、宅配や出張でお伺いして買取をしており、店頭販売を一切していない。当社は業界では先駆的に、創業以来ネット型のリユース事業を展開してきたため、このオペレーションの部分でも、例えば宅配買取では20種類ほどのダンボールがあり、商材ごとに様々な取り扱いができる。
また、AmazonやYahoo!とも提携しており、出張買取は全部当社が担っている。全国にあるこの 買取のご依頼をまずはお受けをして、そこから宅配・店頭・出張など複数の買取方法を提案できるのが弊社の2番めの強み。
また、当社では幅広い商材の買取を行っているため、一部同業他社では生じるこのブランド品しか買えないとか、家電は取り扱ってないといったことがないのも当社の大きな特徴である。
Q.電化製品等の初期不良などのリスクはどう回避しているのか?
A.当社のコンタクトセンターが重要な役割を担っており、店頭に持ち込まれたものを何でも買取するわけではなく、その商品の状態や型番、何年利用されたかなど、しっかりとヒアリングを実施している。実際に買取できる品物なのか、事前にコンタクトセンターで選別する仕組みになっており、リユースできないような商品を買い取ってしまうリスクをなるべく低くする仕組みをとっているため、それが弊社の在庫回転率の高さにつながっている。
4.ネット型リユース事業>中古農機具分野
Q.農家への営業はどのように行っているのか?
A.当社の強みとしてネットマーケティングがあり、例えば「農機具 買取」 や「トラクター 買取」などインターネット上で検索をすると上位に当社のサイトが表示される。
買取のご依頼をいただけるようにSEO対策しており、農家の方だけではなく農家を引き継がれることになったご家族の方からもご依頼を多くいただいている。
また、リアルなアプローチでは新聞等のメディアを通じ地方の方をターゲットに集客に活用をしている。
一方で最近増えてきているのが、農家からのご依頼だけではなくて農機具店やメーカーの販売代理店(ディーラー)からのご依頼。法人からの買取依頼が拡大してきているので、全国の農家がいらなくなったものを、農家の方から直接ご依頼いただくことも、農機具店やメーカーの販売代理店(ディーラー)からもいただくこともある状況である。
Q.欧州をはじめ輸出が拡大しているとのことですが、どこか商社を利用しているのか?あるいは自社のスタッフで海外バイヤー網を拡大しているのか?
A.当社のマシナリー(中古農機具)分野においては、もともとは国内個人の方から中古農機具を買い取り、国内農家の方々に販売するところからスタートし、最近では、徐々に海外への販売も広がりを見せております。
現在、海外ではFarm-Martという自社ECプラットフォームを通じて、直接販売を行っております。アジア地域では主に稲作などの農業機械が人気ですが、全体としては欧州への輸出が多くなっています。日本製の小回りが利くトラクターは欧州、特にオランダなどのワイナリーなどで非常に高い需要があります。
マーケティング施策の成果として、日々多数の問い合わせをいただいており、その中から自社スタッフでバイヤーを開拓し、取引先企業が増加している状況です。仕入では国内個人のお客様だけでなく、最近では国内事業者様からの仕入れも増えており、販売では海外においける相手先事業者の獲得が進んでおります。このように、国内外での需要をしっかりと捉えながら、中古農機具の取り扱いをさらに拡大していきたいと考えております。
5.ネット型リユース事業>「おいくら」分野
Q.長野県の小諸市が、長野県では初めて「おいくら」と連携を開始し、「おいくら」の導入自治体が150になったとのことだが、社会的に信用されているサービスという考えて良いか?連携する自治体は増えてきているのか?
A.日本全体としても、持続可能社会に関する興味関心が高まってきている。今までは粗大ゴミを捨てる際も行政の税金でクルマを使って取りに来て、大きな焼却炉で燃やしたりしていたが、当社の「おいくら」と連携協定をすることによってまず捨てる前に1回リユースしましょうという選択肢が生まれ、それでもダメだったら粗大ゴミに出そうということで、リユースが前提となる仕組みになってきた。これが1年間で約100の自治体と連携が進んだ背景で、今後もますます連携協定が加速していくと考えている。
6.人材採用について
Q.以前、バイヤーの不足を課題とされておりましたが、現在は順調に人材も確保できていると理解しております。しかし、採用に成功した人材が長く定着することが重要であり、今後の人的資本投資についての計画についてお伺いしたい。
A.以前は人員が不足している点、課題でありましたが、事業の再成長に向けて、まずは人材の採用と育成に力を入れて取り組んできました。現在は人材採用の体制が整い、厳しい市場環境の中でも採用を進めることができています。
また、定着率につきましても一定の水準を保っております。今後もこの体制を維持し、さらなる改善を図ってまいります。具体的な施策としては、採用した人材へのオンボーディング施策として、様々な研修制度を整備しております。動画研修や、業界のスタンダードを築き上げるという意味を込めた「スタンダードブック」といったマニュアルの整備にも力を入れています。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、OJTへのRAGチャットの導入等、生成AIを活用した社内プロジェクトも進行中で、生産性向上に向けた取り組みも加速させていく計画です。
Q.社内の雰囲気について、また新卒の人材教育投資などについてのお考えを聞かせてほしい
A.当社では「win-winの関係が築ける商売を展開し商売を心から楽しむ主体者集団であり続ける」が企業理念。創業以来、主体的に働きたい人が当社とマッチすると思い、そこに重点を置いて新卒採用を強化してきた。会社の社風としては、この「主体的に働くこと」を是とする人たちが多い会社になっていると思う。社内報や社内SNSを活用し、主体的に仕事をしやすいように会社の情報をオープンに展開しており、フラットな雰囲気の職場だと感じている。
7.マクロ環境(金利上昇)の業績への影響について
Q.前期(2024年6月期)に投資期間が完了したということは金利上昇局面でも逆風にならないので気にしなくてよいということか?
A.当社はこれまで、売上高は順調に伸びてきたが、一方でここ数年利益水準が追い付いていない状況だった。それは人材採用や拠点開設、コンタクトセンターの拡充などの成長投資を段階的に実施してきた先行投資によるもの。いよいよ拠点網の整備や採用人材の育成も進んできたタイミングのため、しっかりと利益の成長するフェーズとして当期の予想を出しているためそこに注目していただきたい。
8.2025年6月期 通期業績予想について
Q.今後のⅤ字回復に向けた方針や展開について教えてほしい
A.個人向けリユース分野においては設備投資や採用強化を終え、現在では買取チャネルの最適化まで進んできた状況。これらが噛み合いはじめたことにより、業績も向上しはじめている。マシナリー分野に関しても、2度のM&AののちPMIが進み、体制が整ったタイミングで法人からの買取強化や海外販売が加速している状況にある。また、おいくら分野も前年比で成長を遂げており、モバイル通信事業についても引き続き順調に推移しており、全体として、当期は売上高230億円、営業利益7億円と、これまでの業績に比し大きくⅤ字回復にするような局面にある。全体として売上規模の拡大とともに販管費比率の低下が図れるようになってきており、今後の展開に期待していただければと思う。
Q.大阪や広島以外にも拠点の開設を考えていますか
A.現在、弊社の拠点数はネット型リユース事業全体で15拠点となっており、特に個人向けリユース分野において出張買取対応のため拠点を必要としていたエリアについては、すでに充足している状況です。この既存の拠点網を活用し、買取に当たる稼働人員を増やすことで、より多くの買取対応が可能になっていくと考えております。
現時点で、当期中に新たな拠点展開を行う予定はありませんが、中長期的にはリユース市場の拡大に伴い、どの地域に拠点を設置するのが最適かを検討していく予定です。今後も需要を最大限に引き出すための拠点開設やM&Aを否定するものではありません。
ただし、繰り返しになりますが、直近では新たな拠点開設の計画はなく、当面の間においては既存拠点の運営効率の向上や販管費の削減に注力し、営業利益の拡大を目指していく考えです。
9.現状の株価への見解
Q.今の株価どう思っているか
A.正直申し上げて非常に割安だと思っている。これから利益を積み上げていくことによって、投資家皆様の期待にお応えしていきたいと思っている。昨年から今年にかけ、個人投資家向けIR説明会の開催機会を増やし、当社としても売上高、営業利益ともに成長していく段階に入ったことを再三お伝えしており、株価についてもここから上げてまいりたいと考えている。
10.経営課題と今後の成長戦略
Q.経営課題と今後の成長戦略について
A.課題としては、これまで買取需要に応えるべく人材採用やシステム投資、拠点開設等をしてきたので、ここからはまずしっかりと利益を出して現在の株価水準を修正し投資家皆様のご期待に応えていき、利益創出力のある企業だと示ししていくのが一番の課題と思っている。
一方で長期的な展望では、いま会社創設以来19期目ということで2025年6月期を迎えているが、創業以来ではCAGR46%という右肩上がりの高成長率で事業を展開してきた。「市場を冒険的に創造する」という意味を込めたマーケットエンタープライズという社名で創業してから、先々の売上高も300億、500億、1,000億と伸びていく企業体を目指している。リユースのマーケットや持続可能な社会など、日本を取り巻く環境には非常に大きな需要があると考えており、ここからしっかりと成長していく会社であることを証明してまいりたい。
11.プライム市場上場維持へ向けた取組みについて
Q. 時価総額が少ないため、プライム残留へのお考えやアクションなどを具体的に伺いたい
A.プライム上場維持には流通株式時価総額が100億円を超える必要があるが、現状まだ不足している状況にある。しかしながら、現時点で先行投資期間を経て業績回復が進んでおり、今後、企業価値が正しく評価され株価が上昇していけば十分にプライム残留も可能と考えている。また、こうした当社の企業価値が正しく認識され、日々の出来高・株価が上昇するよう施策・対策を進めている状況である。
一方でプライム市場に万が一残留できなかった場合は、スタンダード市場への移行にシフトしていく方針であり、引き続き安心して投資していただける環境は整えていく。今後の利益向上とともに株価についても上昇するよう努めていきたいと考えている。
12.株主還元策について
Q.株主還元へのお考えをお聞かせいただきたい
A.売上高が伸びていく中で、営業利益が前期3億円弱から、当期は2倍強の7億円になっていくという予想を出しており、その先では営業利益20億円を目指している。
利益が数倍に膨れ上がってくようなフェーズに入ったと考えているので、まずはしっかり株価上昇のための取組みも行い、投資家皆様の成長期待に応えてまいりたい。
一方で利益がしっかりと出てくるタイミングのため、前期からスタートした株主優待の拡充や配当の開始など、順次検討し展開していきたいと考えている。
Q.今後の配当方針についてお伺いしたい
A.当社はこれまでの投資期間を経て、いよいよ本格的に営業利益が拡大していく段階に入ったと考えております。前期には、初めて株主優待制度を新設し、投資家の皆様にとってより魅力的な銘柄となるような取り組みを進めてまいりました。
今後も業績拡大を軸に株価の向上を目指し、さらに配当や株主優待の拡充についても適宜適切に検討し、しっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。
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