ホワイトムスクとは
娘がすみっこぐらしのバスボールを手に、
「わー、これホワイトマスクのかおりやってー!」
と言うので、ホワイトマスク? 白マスク? いやいや、ホワイトマスクメロン? そんなメロンある? と考えていると、マスクの内側の自分の唾液の匂いがするような気がした。
「ホワイトモスク」の読み違いでは? 香を炊きしめたモスクの香りでは?(※モスクを訪れたことはない)と思ったので、娘に、
「ちょっと見せて」
と、バスボールを手に取った。すると、
「ホワイトムスクの香り」
と書いてあった。ホワイトムスクって、なんだろう。
調べてみると、ムスクというのは麝香のことで、ホワイトムスクというのは動物由来のではない人工のムスクのことらしい(合っているのか)。バスボールを嗅ぐと、優等生的な良い香りがする。新しい語彙が増えた。
「わー、これホワイトマスクのかおりやってー!」
と言ったときの娘の感情は、わからない。何を想像して感嘆していたのかもわからない。いや、それが何かはわからなくても、それこそ語感のもつイメージの喚起力というものなのかもしれない。